【逃げた廃物】MS.Pm-P02bis Merkurius《金星試作改修型》とは、修理不可能な致命的損傷等の理由でドロイド脳搭載試験は中止、廃棄された物をナッテラ社が"勝手に"回収して"勝手に"回収を施した機体である。 強制シャットダウンの後に廃棄するべく《削除済み》のポッドに安置していたところ、バッテリーの外し忘れという初歩的なミスによって再び起動、《削除済み》からの脱走を許してしまった。 石村は回収を試みるも消息を絶ったので、現在も捜索中である。 【ナッテラ社の裏工作】電池の抜き忘れも、勝手に起動したのも、全て石村コングロマリットに潜入していたアンドロイドの改造パーツ製造企業"ナッテラ社"に雇われた企業スパイの仕業だったのだ。 しかし石村の超高度な技術が中堅の拡張パーツ製造企業に扱える訳もなく、社内で適当な低級安全装置を取り付けて再起動された金星試作は再び暴走。 B級SFホラーじみた展開の後、最終的にイカれたドロイド脳を物理的に破壊して停止する羽目になったのだった。 【その後】石村のオーパーツ機器を修理も転用も出来ず紆余曲折あって、渋々ナッテラ社の既存パーツを小改造して取り替えたのも束の間、騒動が原因で石村コングロマリットに計画があっさりバレてしまっていた。 回収して1ヶ月経たぬ内に、ナッテラ本社は石村保安軍のアンドロイド部隊"石村第2機械化中隊"の急襲を受け、更に裁判に負け、挙句に石村の傘下に無理やり押し込まれ、完膚なきまでの3ノックアウトKOに経営陣も社員も満身創痍。 こうしてナッテラの社運をかけた技術強奪計画は、同社の身の破滅という最後で幕を閉じた。 【金星試作のその後】もはや石村にとって利用価値の無い金星試作は、底意地の悪い事にそのままナッテラ社に留め置かれて警備業務に従事している。 通称「ナッテラ金星」。とてもダサい名前と評判だが、その手が考えうる限り最も惨い行によって人間の血に染まっていることはナッテラ社と石村の一部人間以外は誰も知らない。