「………で、本当?定が敵かもしれないというのは」 「あくまでも可能性の話です。私だって信じたくはありませんよ、《rank:E》すら撃破してみせた優秀な人材がアーマードかもしれない、なんて冗談は」 「証拠はあるのか?」 「…彼の【ディスアームズ】、ご覧になったことはありますね?」 「あぁ、【処刑人】。 ………もし、処刑が娯楽だったことは歴史上一度もなかったなんて言わないよね?僕達は娯楽を力として戦っている。たとえ、それが過去のものであったとしても、その在り方があったことは事実だ」 「えぇ、もちろん存じております。しかし、それだと辻褄が合わないのです」 「………どういうこと?」 「貴方はこの力の源を知っておりますか?」 「源?」 「…その様子だとご存知ないようですね。いいでしょう、そこから説明致します。 我々の使う【ディスアームズ】はこの世界の人類の持つ認識、意志の強さがそのまま出力の強さとなる力です。 そしてその力は武装した存在であるアーマードに対抗するためか、対極の…娯楽をモチーフとするものが多くなる。 そして、【ディスアームズ】の強さとはそれを娯楽だと認知している人類が現在どれだけ多いかで決定される傾向にあります」 「………つまり今日、娯楽だと認知されることは皆無に等しい処刑を司る【ディスアームズ】であの強さは異常ってこと?」 「いえ、それだけでは断言できないのです」 「なぜ?貴方の話が正しいなら別の手段で力を供給する存在、アーマードと定は何ら変わりないんじゃない?」 「言ったでしょう、【ディスアームズ】の力の源は人類の認知と意志の強さだと。 もし、本人がソレを娯楽だと他の考えをねじ伏せるほどに心の底から認知しているのなら。もしくは…、アーマードに立ち向かうという意志が人一倍強い者はたとえ、娯楽だと認知されづらいモチーフであっても尋常ではない力を発揮します。………私の知人に一人、そういう方がいますから」 「…………」 「とはいえ、それはイレギュラー。過去に、人の姿で擬態したアーマードも居たという記録がありますからね、信用はできません。ですので、貴方に調査をお願いしたいのです」 「………調査?」 「貴方の覚醒した《監督者》の力、真実を明らかにする特性がありますよね?」 「断片的にしか見えないけれどね」 「十分です。いくらか私の仲間の能力で強化は可能ですから。なんとか彼にそれを行使し、それで得た情報を私たちと共有してください」 「僕にそれを行うメリットは?」 「おや、友人が敵で無いことを証明する為に手助けは必要でしょう?もし本当にアーマードだとした場合、早急に排除する必要もあるでしょうし。何より…………嘘を嘘のままにするのは貴方の正義が許さない。そうでしょう?」 「…………わかった、要求を呑もう」 「ありがとうございます。日程と場所は後日決定次第連絡致します。よろしくお願いしますね」 「定、すまない。僕は君を信じきれなかった。 ……………けれど、後ろ指刺されようともとしても。僕は僕の正義を貫くよ」