プリシラはナグサダール大陸の中央諸国の一つである【リテア聖教国】の第一王女であり、妹にかけられた【忘却の呪い】を解呪すべく呪いをかけた魔族と、人でありながら魔族に寝返った弟を討つべく聖教騎士となった女性 リテア聖教国は【聖テンブルクス教】を信仰し、そして【バディラック王国】の北に位置している国 リテア聖教国は古来より聖テンブルクス教の教えに従い、魔族と戦い続けてきた国で、バディラック王国や同じく魔族と戦っていた国【聖アレイア王国】とは同盟関係にあった 特にリテアの王家である【リアステリア家】は聖テンブルクス教と深い繋がりがあって500年に渡り、王家は代々聖教騎士や名高い英雄を輩出してきた 特に初代リテア国王の【ガリエル=リアステリア】は500年前の魔族との戦争、【浄魔戦争】において強大な力を持つ七体の魔族【七帝】の一体である【魔剣の銀狼マリア】という魔狼を討ち果たした英雄であり、また150年前の女王【ジョセフィーヌ=リアステリア】という女傑は【四方魔神戦役】で魔族の長きに渡る大攻勢を【勇者シュラル】が現れるまでの3年間【ゲルエティラ平原】で捌き続けた名将 そんな王家に生まれたプリシラは幼い頃から類稀なる武の才能を持ち、その才を民の安寧と己の兄妹達を守る為だけに使っていた 無論天賦の才を持つ彼女を聖教騎士団は迎え入れたいと願うが、彼女は兄妹達の傍に居たいと願い断り続けていた しかし、彼女が20歳で成人の儀を行う為バディラック王国の【聖都コールバレー】に向かい21歳で国に帰った時、彼女の人生は一つ目の転換点を迎える それは彼女の愛する妹である【オブリビオン=リアステリア】に謎の呪いをかけられた事であった その呪いはかけられた者の傍に近寄る者の記憶を全て奪い去る物であり、家族を除いてオブリビオンは誰の記憶にも残れなくなってしまう そして皆に忘れられる事を恐れる妹の呪いを解き幼い彼女を救う為プリシラは動き始める 先ずプリシラは妹にかけられた呪いについて調べ始めた。そうして王家の蔵書や遠く離れた【アルテミシオン連合魔術学園】という学園の大書庫のありとあらゆる本を読み漁り、時には【魔術連合】の名立たる幹部達に自ら聞きまわり、ようやく妹にかけられたのが【忘却の呪い】という黒魔術に属する物で、更にはそれを扱える存在がこの世で一体しか存在しない事と、オブリビオンが語った「何の予兆もなく、急に低い獣の様な呻き声と共に辺りは濃霧に包まれ、一切の光がなく真っ黒で、余りも巨大なこちらを見据える一つの目が自身の眼前に現れた」という呪いをかけられた時を説明する証言から、オブリビオンに呪いをかけた者が【七帝】の一体である【白鯨】という魔族である事が判明する そうして彼女は【白鯨】を討ち、妹にかけられた呪いを解く為に、魔族達が住まう最北端の地【暗黒半島】へと名将であり、共に妹を救おうと立ち上がってくれた【レオン=リアステリア】という弟と共に赴くことになる そうして数多の兵を従え、暗黒半島に遠征に赴いた彼女達は多くの魔族との戦いを制しながら、魔族の地を進み続けていった だが暗黒半島を進み続けていた彼女達の歩みは【白鯨】と同じ七帝の一体、【獄炎騎士ボフニエール】という竜人によって断たれる事になる プリシラ達はボフニエールを下し【白鯨】の情報を得ようと彼に挑むが、【カラルド】という炎の魔剣を意のままに操るボフニエールの圧倒的な力になすすべもなくプリシラ達の遠征軍は壊滅し、敗走中にレオンも行方不明となってしまう そうして、【七帝】の力に完膚なきまで敗れたプリシラは妹の呪いを解く為とレオンの仇を討つ為に、聖教騎士団でも【聖騎士王ウィリアム】に認められた特別な上位10名の騎士である【十傑】にのみ下賜される強大な力を宿す神器【テンブルクスの十宝具】を求めて聖教騎士へとなる こうして聖教騎士となったプリシラは、血反吐を吐くような思いで己の才を更に磨き上げる事で、短期間で【十傑】にまで上り詰め遂に【神弓フェルトリス】を下賜された この弓の力は絶大であり、七帝にも敵いうる力を手に入れたプリシラは今度こそ【白鯨】を討ち妹を救う為に、再度暗黒半島に遠征に向かうが、聖教騎士となった彼女の前に立ちはだかったのはなんと死亡したと思われていたレオンであった 始めプリシラは彼の生存を喜び共に帰ろうとするがレオンはそれを拒否し、なんと「妹を連れプリシラも暗黒半島で共に魔族と生きよう」と申し出てきたのだった 無論聖教騎士であり、何よりも愛する妹に呪いをかけたのが他でもない魔族であるプリシラはそれを拒否し、レオンの説得を試みるがレオンは頑なに譲らず、それどころか「今の人類の歴史は邪神であるウィリアムに歪められた物であり、奴の元では妹を救えないどころか世界が滅ぶと」などという突拍子も無いことを言い始めた プリシラは最初レオンが魔族に洗脳されていると思っていたが、彼の必死の形相をみてそれが本心からの訴えである事を確信し、彼女は聖教騎士として人類を裏切ったレオンを討つことを決意し、逆にレオンは姉は決して揺らがない事を確信し、妹を救う為彼女を討ち、攫ってでも妹を暗黒半島に連れていく事を決意した そうして始まった、プリシラとレオンの命を懸けた姉弟喧嘩は神弓を持つプリシラの優位に進んでゆくが、彼女は弟に止めを刺す直前で躊躇ってしまい、その隙をつかれてレオンを助けに来た魔族の奇襲を受け負傷してしまい、その上でレオンを取り逃してしまう その後、帰還したプリシラは今回の己の失態を恥じ、戦場では冷酷であろうとするようになる その後【白鯨】とレオンを討つために更なる鍛錬と武勲を積んだ彼女は名立たる聖教騎士を抑えついに第2位の座に上り詰める そして今、刻一刻と強まっている妹の呪いを今度こそ解く為、同じ【十傑】であり魔族に強い憎しみを抱く第7位の聖教騎士【千刃のエミール】と共に暗黒半島へ進軍を開始した