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【破滅の未来と死ねない身体の少女】ルル

⚠️グロ描写注意⚠️ 「ハッピーバーズデールル〜。ハッピーバースデールル〜。ハッピーバースデーディアルル〜。ハッピーバースデールル〜。」 私が六歳ぐらいの時の誕生日だった。 その時は未だパパだってママだって妹だって生きていた。 「ふーっ!」 クラッカーの音が響いた後、私はケーキに立てられた蝋燭の火を消した。 「改めてお誕生日おめでとう。ルル!」 「愛でたいな〜ハッハッハ!パパはルルの成長が見れるのが嬉しいぞ〜!」 そう言いながら、パパはワインのコルクを素手で開けた。 「あっ!またお酒開けて…お父さんはお酒が飲みたいだけでしょ!?」 「良いだろ?祝い事の日くらいはよ〜」 「ダメ!直ぐに現役終わったらどうするのさ!」 また始まった。パパとママの痴話喧嘩。 「ねぇねぇお姉ちゃん。外に星を見に行かない?今日双子座流星群が見れるんだって!」 と妹のララがこっしょり話しかけてきた。 「面白そう!見に行こ見に行こ!」 善は急げ。私とララは裏口からこっそりと家を出て、近くの小さな丘の上に二人。 「お姉ちゃん!見て!」 「わぁ…凄いね!」 姉妹二人はキャッキャキャッキャとはしゃぎながら流星群を見ていた。 「おぉ。本当だ。流星群なんて産まれて初めて見た」 「お父さんいつも体に宿してるのに?」 「あぁ。…初めて見たわ!」 いつの間にか痴話喧嘩をしていたパパとママも双子座流星群を見ていた。 そうして、沢山の流星群が流れて、儚く散っていく。 その儚く散っていく中に、突如としてこちらに向かってくる流星群。 「わぁ…!ララ!青い!綺麗だね!」 「うん!」 「おいおいおいおい!まじで言ってんのかよ!」 「レレ!二人を連れて言ってくれ。俺、アレを破壊してくるわ」 「ッ…また無茶言って!アレ一つがあんたがいつも宿してる『星』だよ!?」 「そうだ、任せろ。あっちは意志はない。こっちには意志も希望もあるぜ?」 「どうせ止めても行くんでしょ?……無事戻ってきてね!」 「あぁ……まかせな!」 「お母さん、パパ何処に行くの?」 「パパ…パパは…あの人は…」 「…?お母さん、どうしたの?泣いちゃって…悲しい事でもあった?」 後ろ側が、ぴかっと青く光る。 そして、無数の双子座流星群が、辺り一帯を穿つ。 「ゲホッ…ゲホッゲホッ…ママ…?パパ…?ララ…?皆…どこ…?」 私が何故か生き残り、目覚めると、眼前には炎。 私は煙を吸い込んでしまった。 「ゲホッゲホッ苦じぃ…熱い…誰か…」 肌が焼け焦げ、鉄の匂いが鼻に付く。 「いだい…ぐるじぃ…だれか…だれか…」 ここで死ねたら、良かったのかも知れない。 だが、生まれつきの異次元的再生速度は焼け焦げた肌を直ぐに修繕して肌を造る。 「や゙ぁ…あ゙づぃ…あ゙…づい…」 「いだい…よぉ…ひっく…ひっく…」 儚い鳴き声は青く光る空に響く。 そして山火事にまで発展したその炎は一晩中私を焼き尽くした。 暗く明るい夜が終わり、辺り一帯には焼け朽ちた黒い大地。その中心に私はポッツンと膝を抱え込み地面にひれ伏して泣いた。 衣服も全て焼け朽ち、温もりを求めて人里に降りる。 その道中で見たのは、台座に座って眠る、私と同じ裸の少女。 淡いピンク…赤とも言える色合いの美しく長い髪は、私の視点を集めた。 「あは…あはは…ねぇ、君一人…なの?」 どこか安心して笑みが溢れた。 私が彼女に話しかけると、彼女は目を開けた 「…我の名はリリ。汝の名を聞こう。」 「…なん…ぢ?」 言葉が分からず、私は戸惑う。頭に?マークが浮かぶ。 「…汝と言うのは…貴方、と言う意味だ」 リリは少し肌を赤らめ、私に『なんぢ』と言う言葉の意味を教えてくれた 「なるほど!私、ルルって言うんだ!リリちゃんはどうしてこんな所で眠っていたの?」 「我は…この台座に刺さってた…剣の筈…」 「剣…?」 「うん。剣。」 「なんか分からないけど…格好いいね!」 「そう…か?…えへへ…照れるな…」 「そうだ!私、お洋服を探してたんだった!良かったら、リリちゃんも一緒に探さない?裸だと寒いし…」 「そう…なの?」 「そうだよ!探しにいこ?」 私は、リリちゃんの手を引く。 私とリリちゃんが人里に降りると、人々は私達の格好に悪い意味で釘付けになった。 一人の優しそうなおばさんが、私達に話しかけた。 「ちょっと…貴方達その格好はどうしたの?お父さんお母さんは何処に居るの?」 「パパとママは…それより、私達衣服探してるの。なにかありませんか?」 「衣服…娘のお下がりでいいのなら上げられるわ」 「それ!ください!」 私とリリちゃんはおばさんの娘さんのお下がりを貰った。緑色のフリフリした服や黄色いフリフリした服で、フリフリの服ばっかりだった。 「可愛い!ありがとうね!おばさん!」 「いえいえ…ふふっどういたしまして」 「じゃあ…私達はもう行くね!ずっとお世話になるわけにもいかないし…」 「ルルは…その…物怖じとかしないんだな…」 「うん!ものおじって何?」 「…その…何も気にせず話しかけられる…と言う意味だ」 「気にする必要あるの?」 「……何でもない。聞いた我が馬鹿だった」 私達はその夜何処で寝ようか、今日何を食べようか、とか話していると、すぐに夜が来た。 リリちゃんが元々居た所に戻ろうと言う話になり、あの黒くなった森に戻った。 「…この台座だな。我が刺さって居た場所は…」 「所でルルよ、知っているか?」 「ん?なになに?」 「今日は大予言の日でな…世界が滅亡する程の地震が来ると言われて居るんだ。」 「へっ…?」 「ふふっ…何をビビっている?そんな予言来るわけなかろう─」 その時、地面が大きく揺れた。 「へっ?うわぁ!!なにこれ!なにこれ!?」 私とリリちゃんの間の地面が割れ、私が立っていた方の地面が持ち上がる。 「ルル!!」 持ち上げられた地面は一気に直角90°以上になり、ミシッミシッと世界が崩壊する音が聞こえる。 私は重力に従って落ちていくが、途中で地面に激突し、顔の肉が抉れ、眼球が飛び出て欠損する。 「カッ…クッ…ググゥ…」 喉も破れ、まともに泣き声を出すことすらできなかった。 「ガッ…グゥゥゥ…」 盛り上がった大地が、私の腹を貫き、次第に顔以外の全身を押しつぶした。 次々と、肉を紡ぎ、神経を張り巡らせ、私の身体は造られて行く。 「ハァッハァッハァッハァッ」 息を荒くした私は、恐怖に怯え、完全に意気消沈して動けなくなっていた。 そのまま、世界は終焉を迎えた。 苦しい…息ができない…息をしたい! 私は口を開けた。 冷たい…寒い…痛い… 何かに押し潰されそうで、今にも死んでしまいそうだ。 あっ─ 私の身体はピチュっと潰れ、目玉や神経だけがその場に残り、宇宙空間に飛び出した血液はバラバラになっていった。 そこで何度も身体を再生し、何度も身体は潰れた。 眼の前が暗くなったかと思うと、見覚えのある部屋。そして、あの歌が聞こえた。 手に取るように分かる室内構造。リビングに私は一直線に向かい、そこに居たのはやはり、もう一人の私ともう一人の私の家族達。 「わぁ!私だ!凄い!」 「えっ?ルル?ルルが二人!?」 「おいおいおい…まじでか!?」 「お姉ちゃんが二人ー!わははは!!」 このままじゃ…嫌だ…! もう…家族が死ぬのも…一人で苦しむのも嫌だ…! 「逃げよう!」 「え?どうしたの?私。」 「これから来るんだよ!双子座流星群が!」 「双子座流星群…?確かまだまだ先の時期よね?」 「あぁ…後8ヶ月は先だな…」 「来るの!それで皆…死んじゃうんだから…だから…来て!逃げようって!」 「変なの〜。来るわけないじゃん!後8ヶ月だよ?」 「来るんだよ!…もう一人の私なら…分かってくれると思ったのに…もう知らない!私のばか!」 私はそのまま、家を飛び出した。 飛び出した私が向かう先は、リリちゃんの台座。 「我の名は─」 「リリちゃん!」 私はその青く夜空のように光り輝く眼を見ると、即刻抱きついてしまった。 「なっ何だ貴様!?我の名を知っていて、更にいきなり我に抱きつくか!?普通!」 「……こほん、知っているか?今日は大予言の日なんだ。」 「ッ…大地震の…」 「大地震…?違うな。今日は大噴火が予言された日だ。」 「まぁ、予言なんて当たる訳無─」 その時、その山の火山が噴火した。 火山弾が、リリちゃんの胸部を貫く。 連鎖する様に、私の心臓を穿った。 そして、結局、世界は終焉を迎えた。 その度に私は苦しみながら別の世界へと転移し続けた。 転移する度に、徐々にもう一人の私は別物になっていった。 だけど、リリちゃんだけは唯一、ずっっっっっっと本物のリリちゃんだった。 私は血塗られた首が修復されるのを待たずに喋る。 生首のリリちゃんを抱えて、囁くように、喋る。 「ゲフッ…お゙ぎで…お゙ぎでよ゙…もう…一人は嫌だよ…リリちゃん…」