ヴェロニカ・ムーンスペルはこの塔への侵入者を許さず、殺害した侵入者を魔力で整形して塔の一部へと変形させた。この事実は知られてはいないが、行方不明者が後を絶たないとして説明されている。 その被害者数は看過できないほどの数になったため、王国は彼女を指名手配した。そして現在、指名手配から364年経った現在でも彼女の首を王に献上できた人間はいない。 実は数年前に起きた人類が7割死滅し、魔族も9割死滅した魔界大戦においての魔王軍の目的は「人類を殺戮すること」ではなく、「永獄の塔の所有権を強奪すること」であった。(正確に言えば、「永獄の塔の所有権を持つ人間のみが独占できる無限に近い魔力の強奪」。) 要約すると7割の人類が死滅した戦争の原因は、彼女が建てた塔である。 実際に魔界対戦のゴタゴタに乗じて転移系魔法を使ったであろう四天王級の強さを持つ魔族が何匹も塔の一部になっていることから、魔王軍の狙いは永獄の塔で間違いないだろう。人類はこの事実に、終戦後も気づいていない。 永獄の塔の所有権は所有権保持者、または管理者が死ぬことで付近にいる生命体がランダムで管理者の思考に支配された状態で付与される。 そのため、例えヴェロニカが死んでも代替品として別の誰かが洗脳されて、新たなるヴェロニカが誕生する。 このことをヴェロニカは把握しており、常に塔の地下に自身と風貌の似ている少女を数百人拉致し、監禁している。 ただ、監禁されている少女たちは呪いにより洗脳されており、ヴェロニカを崇拝していると同時に「ヴェロニカ」になることを望んでいる。 「器が似通っていなければ、塔の魔力が馴染まずに今まで通りの力が扱えない」という魂に関する古文書に従い、様々な女性を誘拐して集めているようだ。 固有単語の読み 無減苦獄:ムゲンクゴク 針千本:ハリセンボン 永獄の塔:エイゴクのトウ