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【技術科2-B】アミラネ・フラワー=マンティス・シュルール

私はホワイトストーン神獣王国で産まれた。中々に地位の高い一族の元産まれた為、何不自由がなかった。それがつまらなかった。 望めばなんでも手に入る。望めばなんでもできる。 故に退屈していた。 教育熱心な両親の手によって毎日小学校に行って帰ってきたら塾そして習い事。休みの日は家庭教師。私は塾の授業を聞いている時いつもずっと窓の外の公園を見て思っていた。 なんて面白そうなんだ。と 私と同じくらいの子が一緒に遊んでいる。笑っている。 私は学校でも家でも楽しくないのに。面白くないのに。 いいなぁ。羨ましいなぁ。お母さんとお父さんはあそこに連れて行ってくれるかな。 私はその夜両親に相談をしてみた。 「………ねぇ!お父さん、お母さん。あの…公園に…」 勇気を振り絞って出したその言葉はだんだんと弱まっていった。その回答は二人とも同じ様な物だった 「今は忙しい時期なんだから勉強しなさい。」 わかりきっていた。わかりきっていたはずなんだ。 なのに何故こうもかなしい気持ちになるんだろう。 親からの愛情を感じたことがない。一ミリたりとも感じたことがない。 私に味方は居ない。共感し思い出を作り、時には喧嘩し、時には慰めたり慰められたり苦楽を共にする仲間など私には居ない。 もういっそのこと消えてしまいたい。こんな苦痛しかない世界。楽しくない。面白くない。 ……そう言えば今日は10歳の誕生日だったな。 ……そんなのどうでもいいか。 私は結局消えることはなかった。怖かったのだ。 消えた後は何処へ向かうのだろうか?消える時はずっと苦しいものだろうな。消えた後もしこの世に滞在することがあるなら消える時の苦しみは続くのだろうか。 私は朝起きて歯を磨き、朝風呂に入り、両親に挨拶をした。しかし両親は挨拶を返さなかった。本来ならあるはずの朝食もそこには無かった。 無視するにしても、こっちをチラッと見たりなどの反応は示すはずだ。しかしそれらが一切ない。 私はなんかを忘れている。そのなにかを思い出せない。 …そう言えば昨日は十歳の誕生日。個人スキルの発生日だったな。 個人スキルは思想が関係しているらしい。昨日の思考─ ─私は世界から消えたのか? ON/OFFを切り替える感じの個人スキルなのかと私は切り替えられるかを試してみる。 私は心の中でスイッチを切り替えるような感覚を掴みスイッチを押した。 すると両親はびっくりしたようで目を見開いて私を見つめた。母親は急いで私の朝食を用意した。 それから定期的に私は個人スキルを使って家から脱出していた。そして公園で遊び、見つかったら再び姿をくらませる。 そんな生活で小学校生活は終わった。 中学校はと言うと、私はヤンキーと言うのになっていた。というのも、私の心の中の何かがぷつんと切れて抑えが効かなくなっていた。 鉄パイプ片手にその個人スキルを使って奇襲。そして堂々と一体一をしていた。 負けた事は無かった。ただ。中学校は喧嘩の記憶しか無かった。 高校に入学して初めての友達ができた。 名前は「ハム・コルミル」私が孤独な所に話しかけてくれた。 話しかけた理由を聞くと「同じ昆虫系の魔人や味んだと思ったから」らしい。