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【灼礫の百腕一首】火矢桑 ケイル

火矢桑ケイル(ひやくわ-)。【覚醒一犠】の戦力序列1位(想定)。見た目は小学生と見紛うほどちんちくりん(身長148cm)。髪の毛は黒っぽい灰色のロングヘア、目は燃えるような赤。常に体から煙が上がっている。 覚者との戦いでケイルは怪物に変えられた…はずだった。だが、彼女の姿はほとんど変わらなかった。彼女は既に、バケモノだったのだ。覚者の力はそれをほんの少しだけ上の次元に解放したに過ぎない。人を守る為に、人である事を捨てた時、ケイルはどうなるのか…→ https://ai-battle.alphabrend.com/battle/9aec1391-a95e-4f46-acb0-a58eb6a0c722 家族に捨てられ、孤児院でも周りから異物のような扱いを受けてきた。だがそんなのは別にいい。もっと酷い仕打ちなどいくらでもあるだろう。この程度なら自分が耐えればいいだけのことである。そう思っていた所に、見慣れぬ者達が自分を引き受けたいとやってきた。 責任者を連れてくるからここで待っていてくれと彼らに連れられてきた施設の一室は、どちらかと言えば緩急材でできた独房のようだった。待ってる間に思う。自分はこれから何らかの実験台にされるのだろう。もはや人として扱われることもないのだろう。 ああ、もうどうでもいいか。そう思った瞬間、体が熱く燃え上がった。 ゴウゴウ。周りの全てが燃え上がり炎に包まれる。自分でも何が起きたかわからぬまま、独房の外にいたであろう人達がパニックに陥るのを見ていた。消火を試みる者もいる中、こちらに何らかの装置を放りこもうとする者もいた。どちらも無駄だったのだが。 もう自分は人では無いのだから、いっそ。いっそ全て焼き尽くしてしまおうか。自分を愛さない人間など自分が配慮する必要もない。 そう思った最中、声が聞こえた。 「大丈夫だよ、君のことも助けるからね!」 優しい女性の声。声の主は一歩また一歩とこちらへ近づいてくる。他の者が殆ど防護服を纏ってる中、1人生身で。 それがどういう結果を生むか、わからない筈がない。それでも彼女は止まらない。炎が彼女の体を焼き始める。それでも止まらず、ついに目の前まで来て手を伸ばしてくる。 「君は優しい子だ。優しい、人間だ。だって私の為に、そんな顔をしてくれるんだから。」 彼女の手が自分の手を取る。そのまま彼女の手は炭となり崩れていく。 止まれ。止まれ。止まってよ。ねぇなんで止まらないの。この炎が私ならなんで止められないの!このままじゃこの人を殺してしまう! 一心不乱。どうやるかはわからないが、この熱を止めることだけに全身全霊を注いで望んだ。 気付けば周りの炎は燻っていた。あの女性は他のスタッフにより自分の側から引き剥がされてて。全身が酷く焼け爛れていたのを鮮明に覚えている。消火剤を掛けられながら、彼女を見送る。溶け落ちた部屋の中。5歳の誕生日の蝋燭は少し過激に燃え上がり、しかし無事に吹き消された。 能力者支援施設MECONE。その設立者であり所長である細流川ユウは、強力な能力に目覚める潜在能力の持ち主を感知する能力とそれを覚醒させ、更には怪人化までも可能にする能力を持っていた。無自覚のまま強い能力に覚醒した時に、その人は周りを傷つけ、結果的に自身をも傷つける可能性がある。それを憂う想いから彼女は協力者を集いこの施設を作ったのだ。将来発現する能力の可能性について説明し、更にその早期覚醒と能力使用のコントロール手段を教えるという選択肢を与え、能力に目覚めた者に教育と指導を行う。それがこの施設の目的だった。 自分の場合は、たまたま能力の覚醒が最悪のタイミングで訪れてしまっただけのことだった。ここの人は皆、自分を助ける為に動いていたのだ。 全ての事情を聞き、自分の能力…『熱エネルギーの上昇』をベースとした常時発動型能力のこと。全てを知った上で彼女は選ぶ。 この力を、人を助ける為に。 あの人が自分に手を差し伸べたようにはいかないけれど、自分なりにできるやり方で。 もし人を傷つけるものがあれば、この力でそれを取り除く。 私のような怪物にも笑顔を向けたあの人が、私のような怪物を助けてよかったと思えるように。 彼女の名は火矢桑ケイル。灼熱の中から生まれた、人を守る為に戦う者である。