『蠱毒』それはおぞましき呪法。毒虫らをひとつの壺に閉じ込め最後の一匹になるまで殺し合わせ、最後に残った虫は死んで逝った虫達の怨念を受け継ぎ強力な『使い魔』として使役する呪法。 『餓鬼』それは欲深き者、飢えたものが堕ちた成れの果て。痩せこけ長い髪を振り乱し、男か女かも分からぬ判別つかぬ哀れな亡者。その飢餓は満たすこと叶わず、口にするものは『炎』へと変わる。生者へ取り付き飢餓へと誘う怪物。 ここに2つの存在を合わせた愚か者がいた。 己の身体を『蠱毒の壺』とし、その魂を『蠱毒の虫』とした鬼は、己が身に入れるもの全てと喰い合い喰われ合い、より強大な『力』とした。 その「身体」こそが『己』であり、その「魂」こそが『己』であり、その全てが『己』である。 怪物はここに成った。 それは全てを呪い、全てを喰らい、万物を欲す。 飢餓の理をその身とし、喰らい満たす程に力を増し、枯れ飢える程に力を増す魔王となった。 倒す方法はただ1つ。より強大な力でもって呪いを成す前に倒す、ただそれだけである。