終焉の記憶 ――燃えゆく都市に朽ちていく我が家―― ――その中央に、私にとっての唯一の家族である、姉のエネアリスが居た―― ――姉は、私を抱きしめながら何かずっと呟いていた―― ――どんなことを話していたのかは、その時の私にはもう聞き取ることもできなかったのだろうけど……―― ――それでも、姉の瞳が憎悪の焔で燃えているのには気が付いた―― ――このままでは、姉は世界から殺されてしまう―― ――私の優しいお姉ちゃんが、居なくなってしまう……―― ――そう思った次の瞬間には、枯れ果てた喉から必死に最後の声を……音を出そうとした―― ――『お姉ちゃん。』―― ――やっと出てきた言葉に、姉はハッとした顔で私を見る―― ――『復讐心に囚われないで……優しい貴方を見失わないで……。』―― ――恐怖と哀しみに震える声を必死に制しながら、言葉を出し続ける―― ――『どんなに世界が憎かったとしても、どんなに世界が貴方から奪おうとしたりしても……。』―― ――『どうか、世界を愛し続けて……私の愛おしいお姉ちゃん……。』―― ――姉に伝わり切ったのかは分からないが、姉の目から伝い落ちる涙が私の顔を濡らす―― ――既に炭化しきって、感覚が無くなってしまった腕で、そっと姉を優しく撫でる―― ――触れた所から崩れ落ちようとも構わずに、撫で続けた―― ――……。―― ――…………。―― ――もう、何も見えなくなってしまった―― ――それでも、近くに姉がいることは分かる―― ――見えなくなる前に呟いていた言葉は、多分―― ――『守ってあげられなくて、ごめんね。』かな?―― ――お姉ちゃんのせいじゃないのに……そういう所は、本当に昔から変わらないな―― ――自分の生命が、魂が薄れゆくのを感じる―― ――死んでしまうのは怖い、でも……―― ――姉が孤独でずっと苦しんでしまう未来の方が、もっと怖い―― ――だから本当は、私がもっとお姉ちゃんの傍に居て支えてあげなくちゃいけないのに……―― ――ああ、お姉ちゃんは、無事に生きていけるのかな?―― ここで、記憶は途絶えている。