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【悪魔の騎手】レイチェル・ガブリエル

レイチェルは現在世界の支配者たる【世界五大企業】の一つであり、欧州に強大な勢力圏を敷く【ユーロ・ブリティッシュ合同企業共栄圏】の主力戦略級強襲機動装甲騎兵〈ディアブロ〉のパイロットとして、活動している傭兵の少女 彼女は、月面に建設された工廠都市〈バーデ〉の管理権利を所有していた【バーデ・インダストリーズ】という中小企業の令嬢として生まれた 【バーデ・インダストリーズ】はメーカーを問わず、様々な船舶や航空機、果てにはアサルトフレームの製造を請け負っていた企業であり、中小企業でありながらも、それなりに裕福な企業であり、〈バーデ〉も非常に賑わい、活気に溢れていた都市であった 幼少期のレイチェルは、そんな故郷の事を誇りに思い、日夜響き渡る、機械の音と職人たちの生気に満ちた声を聴きながら、多くの友人達と共に街を駆け回っていた 家族は父でありバーデCEOである【グラン・ガブリエル】の一人であり、母である【アンジェリカ・ガブリエル】は病弱な女性であり、レイチェルが物心がついて間もない頃に病で亡くなってしまっている そして、グランはそんな愛しの一人娘であるレイチェルが寂しい思いをしないよう、非常に多忙な身ながらも多くの時間をレイチェルの為に割いていた そうしてレイチェルは、そんな父の深い愛情を一身に受け、とても実直で心優しい少女に育つ 無論、レイチェルは母が居ない事に強い寂しさを覚えることは何度もあったが、それでも彼女は生前の母から一つの約束と共に、とある物を受け継いでいた為、寂しさを覚えても悲しくはなかったという そんな大好きな父や故郷の元で過ごしていたレイチェルの幼少期は非常に幸せな物であったという しかし、そんな彼女の人生はある日を境に大きく狂っていく事になる それは彼女が11歳の12月1日に、世界五大企業である【ユーロ・ブリティッシュ合同企業共栄圏】を構成する三つの巨大企業の【ユグドラシル・シンジケート】による【バーデ・インダストリーズ】の強制監査が執行された事である この強制監査は「【バーデ・インダストリーズ】が反企業勢力【エルサレム解放戦線】に加担し、彼等の使用する機体や船舶を建造して、提供している」という嫌疑のもと、強制執行された これは、事実無根の冤罪であり、当然バーデはかけられた嫌疑を否定し、無罪を主張するが、ユグドラシルは頑なにそれを認めず、強制監査の実行に拘った 結局バーデは強制監査の阻止は不可能と判断し、逆に堂々とその監査で自らの潔白を証明することに決めた そして、それから少しもしない内に、強制監査の日である12月1日が訪れる こうして、バーデにやってきたユグドラシルの職員達に1から20まであるドックを案内し、その職員達が調査を行っていくが、無論彼らの嫌疑を証明する証拠は見つからない そうして、全てのドックの調査が問題なく終わり無事に終わったと、バーデの皆が胸をなでおろした、その時だった なんとユグドラシルの人間は、21番ドックの調査が終わっていないと言い出したのだ 当然バーデはそんなドック等存在しないと説明するが、しかしユグドラシルは、「21番ドックは月面第七宙域というスペースデブリが漂う宙域に存在している」と主張してきた そして、実際にユグドラシルがバーデ職員を連れ、そのドックがあるという座標に赴くと、なんとスペースデブリに隠れる様にして、巨大な建造物が姿を現したのだった それこそが、ユグドラシルの言う21番ドックであった そして、内部の調査を開始すると、其処には【エルサレム解放戦線】が好んで運用している船舶や、アサルトフレームが建造されていたのだった 内部は無人で稼働している機材は無かったが、それでもドックがつい先日まで稼働しており、建造途中であったこれらの物も最近組み立てられた物であることは明白であった 無論バーデはこんな物の建造は請け負って等いないし、そもそもこの21番ドックすら自社の物では無いはずだが、なんと、そのドックからはここがバーデの所有物である事を証明する正式な書類や、ここで解放戦線に建造の依頼を受けそれを受注していた何者かの音声ログが発見されてしまう こうして、バーデはこの強制監査で潔白を証明するどころか、逆に彼らの嫌疑を確たるものにしてしまい、非常に危険な立場に陥ってしまった 当然グランは、事の元凶である21番ドックや解放戦線の依頼を請け負っていた人物の調査を開始しようとするが、その時間をユグドラシルは与えなかった 彼等はなんと、【バーデは年内に都市の管理権限の全てをユーロ・ブリティッシュ合同企業共栄圏に譲渡する他、住民と共に都市から撤退せよ】という、余りにも横暴な無理難題を押し付けてきた そしてこれにバーデの職人達や住民は憤り遂に25日に暴動にまで発展してしまい、この際に”偶然”バーデに出張で来ていたユグドラシルの役員が殺害されてしまうという事件が発生してしまう そして、それに対しユグドラシルはこの暴動を、【ユーロ・ブリティッシュ合同企業共栄圏に対する武力蜂起】とし、バーデに対して武力執行を強行した そして、これに対して更に怒りを爆発させて歯止めを失った住民達をグランは止める事が出来なかった こうして、翌年元日バーデとユーロ・ブリティッシュ間で互いの宣戦布告による企業戦争が勃発してしまい、幼いレイチェルはこれに巻き込まれてしまう この戦いはユーロの攻撃を、バーデやそれに雇われた傭兵が迎撃するという展開となり、ほぼ一方的な物であった どれ程、士気が高くても世界五大企業のユーロ・ブリティッシュに中小企業であるバーデが勝てる道理など百に一つも無く、みるみる内に戦線は押し込まれ戦況は悪化の一途を辿る 当時のレイチェルはかつての活気を失い、戦争の異様な空気に呑まれた街や日に日にやつれていく父をただ眺める事しか出来なかった そうして開戦から四か月が経過した時、遂にバーデ側の最終防衛線が破られ、先だってユーロの特務執行部隊【アーレス隊】の15機が居住区の制圧作戦を開始した この作戦は、市街地や逃げ遅れた市民への被害を一切考慮しない、非情且つ苛烈極まる物であった そしてこの作戦時、レイチェルは市街地西区で市民の避難誘導を行っている最中であり、不運にも彼女はこの攻撃に巻き込まれてしまう 当時のレイチェルは、戦争を前に何も出来ない己の無力さを嘆き、せめて出来る事を、と父の静止も聞かずに戦場となった市街地に赴き市民の避難誘導に当たっていたのだが、その時【アーレス隊】の一機が放った攻撃が、目標を外れとあるビルに命中する そして、それはなんと現在レイチェルが避難誘導を行っていた市民達のすぐ隣のビルであった そして、自身に向かい崩れ落ちてくる瓦礫を前に出来る事等レイチェルには何も無く、轟音と共に、彼女は意識を失う 彼女が再び目を覚ました頃には、目の前には瓦礫に押し潰された先程まで市民であっただろう肉が飛散する地獄絵図が広がっていた その悲惨な光景と、戦禍という災害を前にした己の無力さに彼女は、深く絶望する しかし、その時どこかから微かに、けれども確かな泣き声が彼女の耳に届いた そして、彼女がその声を頼りに主を探すと、其処には一人の、レイチェルよりも幼い少女が、瓦礫に潰された亡骸を前に涙を流していた その少女以外に、生存者は見当たらず、彼女を守れるのはその場において、自身しか居ないと悟ったレイチェルは、ここで一つの決断と覚悟を決める …それが後の己の人生を更に大きく狂わせ、血に濡れた道にする物になるとは思いもしないまま レイチェルはその後すぐに、少女の元へ駆け寄ると、彼女の手を引きすぐ傍にあった、頑丈な建物へ連れて行き其処で暫くの間、身を潜めさせる その後レイチェル自身はすぐさま踵を返し、とある場所を目指して一直線に駆けだした 一方その頃の【アーレス隊】は順調に、市街地の制圧を進めており、既に中央、北、東区はユーロの手に落ち、南区では抵抗も弱まり、もう制圧の目途が立っている状況であった この戦況に勝利を確信したアーレス隊であったが、市街地西区の制圧を担当していた3機の通信がいつの間にか途絶している事に気付く アーレス隊は直ぐに途絶した小隊の無事を確かめる為に偵察隊を送り込むが、送り込んだ5機の内2機が何者かによって撃墜され、帰還した3機は謎のアサルトフレームによる奇襲を受けたと報告した この報告の後、アーレス隊は南区の制圧を終えた部隊を加え隊を編成し直し、今度は7機でその正体不明機を撃墜しに行く そして、西区に到着した部隊は敵機の捜索を開始するが、その西区は電源が落とされており、まるで深夜の様な暗闇に包まれていた そうして、その暗闇をナイトヴィジョンを頼りに部隊は前進するが、一機が、突然背後から襲撃され、ビームサーベルによって撃墜される 突然の奇襲。だがアーレス隊も精鋭。即応してその機体を攻撃するが、その機体は超反応で攻撃を避けると、続け様にビームライフルによって2機のコックピットを正確に撃ち抜いて撃墜。そのまま素早く離脱していった 暗闇に加え、地の利は敵側にある他、何より余りにも一瞬の出来事でアーレス隊はその所属不明機を逃がしてしまう こうして、初動でいきなり3機も墜とされたアーレス隊は一先ず、西区から撤退しようとするが、その所属不明機はそれを許さず、その後も散発的に奇襲を仕掛けて、その度に一機、また一機と撃墜されて行き、西区に入った7機の内、生きて西区から脱出出来た者は一人も居なかった そうして作戦指揮と、他区への牽制の為中央区に残った3機を残してアーレス隊はたった一機のアサルトフレームに壊滅させられてしまう その後この知らせを受け取ったユーロの司令部が、何度か増援を送ると、その増援すらその所属不明機に返り討ちに会い、遂に事態を重く見たユーロはある作戦を発令する 作戦名は〈エクソシズム〉。これは、所属不明機改め識別名【ディアブロ】の討伐作戦である この作戦ではユーロ側で20機のアサルトフレームが導入された他、ディアブロに懸けられた多額の懸賞金を狙い、作戦に参加した傭兵や賞金稼ぎを合わせ、総勢40機のアサルトフレーム。そして、人員ならば100名を超える大規模な作戦になる この作戦は主に、二段階に分かれ、第一段階が西区の照明電源の復旧作業、そして二段階目がディアブロの捕縛、或いは排除である こうして開始されたこの作戦は、第一段階で苛烈を極め、先発隊として送り込まれた、独立傭兵15機の部隊は暗闇の中、何度もディアブロの奇襲を受け、遂に電源を復旧させた時には、残っている機体は6機だけであった けれども、電源の復旧を成功させたことは大きく、ディアブロの闇に紛れた奇襲を封じ戦局はユーロ側に傾く そうして、作戦の第二段階が開始され、独立傭兵を使い捨て温存した主力部隊をユーロは惜しみなく全て投入する 戦闘は苛烈を極めるが、主力部隊としての実力は伊達ではなく、何より以前は気付かなかったが、ディアブロの動き自体は素質を感じるもののかなり粗削りであり、ユーロはディアブロを着実に追い詰めていく そして、ユーロはディアブロを完全に包囲し、強烈な飽和攻撃を仕掛けて遂にディアブロの機体を機能停止させるまでに至る こうしてディアブロを撃破したユーロはその謎の機体を操っていた人物を捕縛する為機体のハッチをこじ開けると、操縦席に座っていたのは、先程の攻撃で負った傷で金色の髪を血で赤く染めて気絶している小さな少女であった そう、ディアブロの正体とはなんとレイチェルであったのである あの時、少女を隠した後レイチェルはとある物を取りに一つの格納庫へと向かって居た その格納庫内にはただ一機のアサルトフレームが静かに佇んでいた その機体のデータは何処の企業も有しておらず、またどのアサルトフレームの技術系統にも属さない異質なものであった しかし、レイチェルはそんな機体に一切臆さず、それどころかコックピットに乗り込むと、自身の生体認証によって機体を起動させて戦場に向かっていったのだった その機体の名は【セラフィム】。そして、このアサルトフレームこそが母、アンジェリカの形見でありレイチェルが生前の彼女から託された物である アンジェリカは実に謎の多い人物であり、娘であるレイチェルすら彼女の過去や素性は殆ど知らない それは彼女の夫であるグランも同じであり、彼と彼女の出会いは、所属不明の特殊部隊に追われながら貨物船でバーデに密航してきた少女であるアンジェリカをグランが匿った事である アンジェリカは己の素性を語ろうとせず、グランも聞こうとはしなかった ただ、アンジェリカは非常に傑出した頭脳を有しており、まごうことなき天才であったらしく、それが彼女が追われていた理由の一つなのではないかと、グランは推察していた そして、アンジェリカは宇宙に、とりわけ外宇宙に非常に強い憧れを抱いていたらしく、且つて彼女はグランやレイチェルに「いづれ、自分の手で創った”分身”で無限に広がるあの宇宙の、綺麗に輝く星々を渡りたい」と、自身の夢を語ったそうだ そうして、彼女が手ずから作り出した”分身”こそが【セラフィム】である 彼女はアサルトフレームの事を兵器ではなく、ある種の人体の、或いは人類の可能性として見ていたらしい そして、彼女が己の分身として建造したセラフィムは、事実軍用ではなく、深宇宙探索を目的とした機体であった 武装は自衛用のビームサーベルのみである こうして、建造されたセラフィムであるが、当のアンジェリカの脆い体ではアサルトフレームに乗る事が出来ず、更には建造が完了した当時の彼女は既にレイチェルを身籠っており、遂に彼女がこのセラフィムに搭乗する事は無かった けれどもその数年後のある時、アンジェリカがセラフィムの前で自身の夢を語った時、当時幼いレイチェルが夢を叶える事が難しい母の代わりに自分がその夢を叶えると約束してくれた事をキッカケに、アンジェリカはレイチェルにセラフィムを託すことにした セラフィムに登録されていたレイチェルの生体コードはこの時に登録した物で、以降セラフィムはレイチェル以外に動かす事が出来なくなる こうして、アンジェリカからセラフィムを受け取ったレイチェルは母との約束を守り、何時か彼女の夢を叶える為幼い頃からシュミレーションによるアサルトフレームの操縦の練習に励む そうしてこの練習をレイチェルは、アンジェリカが亡くなってしまった後も変わらず毎日続けていた 無論セラフィムの圧倒的な性能があっての事ではあるが、だからこそ、レイチェルは初陣であのユーロ相手にあの獅子奮迅の活躍が出来たのである とはいえ、レイチェルはその健闘も虚しくユーロに敗北し、そのまま虜囚の身となってしまった そうして、一か月にも渡りこのバーデ市街地西区で続いた戦いは遂に終わり、市街地はユーロに完全に制圧されてしまう こうして、後はバーデを擂り潰すだけとなったユーロであったが、なんとこのタイミングでこの戦争に対し介入してくる勢力が現れた その勢力とは世界五大企業の一つであり、ユーロと犬猿の仲である【北方企業連合】である 北連はこの戦争が開戦された当初から、バーデがユーロに完敗して吸収合併される事を危惧しており、凡そ一年前の【北中大陸戦役】の戦後処理がこの時期に落ち着いた為、ここでようやく戦争に介入してきた 彼等は、ユーロに対して事の始まりである、ユグドラシルの強制監査に対して疑問を呈し、北連はユーロに対し、【この一か月の内に北連の調査隊に、エルサレム解放戦線とバーデの関係を再調査させ、それが不可能であれば期間内に停戦せよ】と通告 更には【この二つを、いづれもユーロが拒絶する場合には、北連はバーデへの協力を惜しまない】とした こうして、強制監査からこの戦争の事を指導していたユグドラシルの上級役員である【ジェイド・フェネクス】の命でこの戦争はユーロとバーデ間で停戦協定【ルナ条約】が締結された事により終わりを迎える 【ルナ条約】は圧倒的にユーロ側に対して有利な不平等条約であったが、それでもバーデは玉砕の後ユーロに吸収合併され消滅するという最悪のシナリオを回避する事が出来た こうして、何とか存続する事が出来たバーデは戦争で破壊された街の復興に向けて、住民達が力を合わせて動き始める けれども、その街にレイチェルの姿は無かった あの戦いの後、レイチェルはユーロに身柄を拘束されたままであった ユーロ上層部は、あの戦いでレイチェルが見せた才能と、何よりも彼女が乗っていた【セラフィム】に強い関心を示したのである ユーロはレイチェルの身柄を拘束している事を発表しておらず、それどころかユーロは適当な遺体を見繕い、【レイチェルは市街地の戦闘に巻き込まれ死亡していた】という事にしていた 更に、レイチェル自身には【ユーロ・ブリティッシュ専属の傭兵として、今後様々な任務をこなす他、セラフィムのデータ収集に協力するならば、今後の活躍次第でバーデの賠償金をいくらか減額する】という条件を、【ルナ条約】の破棄をチラつかせながら迫った こうして、バーデ復興の為少しでも故郷の皆の負担を減らしたいという思いや、再度ユーロと戦争になれば今度こそバーデは再起不能の打撃を受けてしまう事をわかっていたレイチェルにこの脅迫を断る術は無く、レイチェルはこれを承諾 そうして、彼女はユーロ・ブリティッシュのPMCであり、懲罰部隊でもある【タルタロス】へと送られる事になった こうして始まった【タルタロス】での日々は正に地獄であり、回されてくる任務は生存度外視の危険で高難易度な任務ばかりであるうえ、休みは全くもって無く、任務が終わればまたすぐに、次の任務に出撃させられ、任務に失敗したり機体を損傷させて帰還すれば、【看守】達の壮絶な”懲罰”を受ける。更にはユーロ・ブリティッシュ内で彼らタルタロスに対する非常に強い差別意識が根付いておりレイチェルは無理やり連れてこられたユーロ内でも差別を受けて、一切の居場所がない日々を続ける だが彼女は故郷の為、そんな日々に耐え続けながら戦った その後、生来の才能と故郷で続けた練習の成果。そして、数年にも及ぶ悪夢の様な実戦での経験が彼女を成長させ、レイチェルはユーロ・ブリティッシュでも屈指のエースパイロットとなる そうして、遂に彼女のパイロットとしての価値を再確認したユーロ上層部は、新型の戦略級アサルトフレーム【ディアブロ】の専属パイロットに彼女を選出した こうして、ディアブロを与えられたレイチェルは企業の命令でこれまで以上に戦場を駆け、更なる戦禍に身を投じる事になる そうして、多くの陣営から膨大な額の懸賞金を懸けられ、恐れられると同時に常に命を狙われている【悪魔の騎手】であるが、その正体が故郷の為、とうに限界を超えている身体を薬で無理やり動かしながら、望まない戦いを続けている少女であることは誰も知らない だがここ最近の彼女には、一人だけではあるが心の拠り所にたる人物が現れたようだ その者の名は【ニール・ワイバーン】 彼はユーロの精鋭である特務執行部隊【ARTEMIS】所属の青年である 理由は不明ではあるが、彼は強くレイチェルの事を気にかけており、事あるごとに彼女の手助けをしたりしているそう 初め、この数年間の地獄のような日々のせいで彼の事を信用できていなかったレイチェルも、今では彼が本気で自身の事を打算無しに気にかけてくれている事を理解しており、彼に厚い信頼を寄せている …最も、信頼以上の大きな感情を彼に抱いている事には、まだ自覚が無い様子ではあるが