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【土の勇者】グラン

巨大な岩山に囲まれた豊富な鉱山で潤う国、ドゴンド出身の青年、好物はドゴンド名物激硬煎餅、過去の大地の勇者達が使った大地の大槌は街の広場の中心に飾られており、年に1回、大地の勇者の資格がある者を見つけるために、祭りと旅人達を呼び込む意味も含め、大地の祭りを開催する、我こそはと思うものは全員大地の大槌を持ち上げることに挑戦することができた、しかし大地の大槌は物凄く重くて、伝承では大地の勇者の資格が無いものは持つどころか横になった大地の大槌を起こすことすら不可能であるとされ、実際によくある勇者の剣みたいに台座に刺さってるわけでもないのに誰も持ち上げることは叶わなかった、根性で持ち上げようとしたもの、力で持ち上げようとしたもの、数人がかりで持ち上げようとしたもの、時には鉄の国いちの発明家を自称するものが巨大なアームを使って持ち上げようとした時もあった、しかしその全てが失敗に終わり、グランが大槌に選ばれる頃にはその祭りは実質屋台で買った食べ物や飲み物、酒を大地の大槌を持ち上げようと四苦八苦する挑戦者を見ながら楽しむ祭りになっていた、グランは趣味として彫刻作りにハマっていて基本的には祭りには行かず彫刻を作るか屋台の食べ物目当てで祭りに行くことはあっても挑戦は一度もしてこなかったが18歳になった年の祭りの日に丁度アイデアが枯渇し、何か良いアイデアはないものかと悩みながらなんとなく散歩してると大地の大槌持ち上げチャレンジが目に映る、たまにはダメ元でやってみるかと挑戦することにした、周囲の人々はグランがどんなふうに持ち上げようとするか、四苦八苦するかをみるために視線を向ける、グランは緊張しながらも大槌に近づき、とりあえず普通に両手で持って踏ん張ろうと思い、近づきながら手を伸ばす、が、台座の段差に気づかずに足を引っ掛けて転んでしまった、周囲の笑いが聞こえる中、グランの体は前に倒れ、頭が大槌の持ち手にぶつかりそうになる、グランは思わず目を閉じたが、グランは何かを巻き込んで一緒に倒れる感覚しか感じなかった、周囲の笑いが一瞬で消える、理由は明白だ、何十年も位置がずれることすらなく、ずっと不動を貫いてきた大槌が転んだグランを支えるように共に倒れたからである、空気が急に変わったことに気づいたグランが恐る恐る目を開けると、目の前には自分と共に倒れてる大槌、しかしグランはしまったと思った、直ぐには気づかなかったグランは慌てて元の位置に戻そうと大槌を持ち上げて台座の上に立て直し、位置を微調整した、周囲はその光景を見て口をアングリさせた、グランは大槌を、元の位置に戻した後、周りが驚愕してることに気づいた、そこでようやく、自分がしたことに気づいた、何十年も大地の勇者の訪れを待っていた老人は語る「こんなヌルっと現れるとは思わなかった」老人の言葉に国民たちは勿論、国王さえも深く頷いた。 彼はまだ成長途中である、だからまだ【土の勇者】なのである。