プカプカ、水煙草をふかすよ。 スウスウ、イモムシは水煙草をふかすよ。 プワプワ、イモムシが煙を吐くよ。 「ふぅん……こんな場所までわざわざご苦労。陛下の調子はどうかね?」気だるげな声でイモムシは来客を迎える。 「私の機嫌を見て察せるぐらいの知能はあるだろう?」 不愉快さと苛立たしさでエメラルドの目をグリグリと回して大魔法使いは告げる。 「糠と針が貴様の頭に詰まっているのか?」 「どちらかと言うと煙で充満しているよ」 大魔法使いを前にしてもイモムシは鷹揚な調子を崩さず水煙草をふかす。毒を含む煙が周囲に充満するが、大魔法使いの周囲はエメラルドの水晶で常時浄化され続けている。 「貴様と話している馬鹿になりそうだ。女王は今より国の統治へ着手する、貴様にはこの森の中で侵入者を追い払ってもらう」 「ふぅん……面倒だねぇ」 イモムシは不満を漏らすが、大魔法使いは無視すると自分の役目は終わったといわんばかりに全身をエメラルドの水晶へ変えた後、パッと消える。 騒がしい者が消えた森の中、イモムシは水煙草をふかし続けながら、女王、とある少女への思いを耽る。 「よもや首を落とされた女王が赤き力と共に蘇るとは……アリス、何処かへ去った君は今のワンダーランドをどう見るのかねぇ」 ふむ、君は森の先へと進むのだねぇ。 構わぬよ、君ならアリスの名を継ぎし“A”としての役目は充分に勤まるだろうからねぇ。 さあ歪められたこの物語を終わらせに行きたまえ…… ・嫌な羽音、耳の周りに纏わりつくようだ。 [https://ai-battler.com/battle/654dd96d-8875-49c4-af84-486999805d5e]