プロローグ 日影龍馬 日影龍馬はただの男子高校生であり、今日もいつも通りの日常を送る為、同年代が集う退屈だが騒がしく楽しい牢獄へ気怠げに友人と共に向かっていると、突如足元に眩い光が発現し目を瞑った。突然のことで目を瞑っていたが周りに賑やかな声が響き渡る。明らかに自分が立っている場所に違和感を感じ、目を開けると周りには数えられないほどの武器と鎧を身に纏った人が連なっており、テニスコート一面分の距離に王冠を被った白い髪と髭を生やしたおじいさんが金で装飾された椅子に座っており、友人がその人に対してここはどこか聞くと、僕たちは異世界から召喚されし勇者であり、魔物達の手からこの世界を平和に導いて欲しいとその見た目とは裏腹に少し震えた声で言い放った。僕たちがなぜ勇者なのかと聞こうとした途端、聞いたこともない爆音と振動が背後から伝わりすぐさま振り返ると、見たことのない異形の化け物の姿が見え、兵士らしき人々と戦い始めたのを目撃した。友人とその場から逃げようとしたが化け物に逃げ場は塞がれ、次々と兵士が倒れていき、その場に残っているのは先程いたはずの兵士が一目見たら人数がすぐに分かる様になっており、王様が召喚されし勇者は神から能力を授かっていると言うが、僕と友人は能力をどうすれば発動出来るか分からず、そもそもどういう能力なのかは分からないと王に聞こうとしたが目の前に化け物が少数の兵士を投げ払いこちらに向かってくるのが見え、王は泡を吹き出し倒れていた。現状を打開する為、友人と共に能力発動と叫ぶが、僕は何も変わらない。黒く巨大な爪がこちらに一直線で来る。何でこんなところで死ななくちゃならないんだと心の中で叫び、死を導く爪が自分の命を刈り取るのを視界を黒くしその時が訪れるのを待った。だが一向にその時は訪れず、目を恐る恐る開けると友人が爪を受け止めてその巨大な化け物の身体を投げ返した。無限に力が湧きあがり、漫画の主人公になったみたいだと友人が意気揚々と声を高らかにしていた。力だけで化け物を圧倒し鱗が徐々に剥がれ、化け物の腹の中央に巨大な宝石みたいなものが露出した。赤く染まっている兵士がか細い声で、そこがそいつの弱点と言い倒れた。それならと友人は弱点目がけて一気に間合いを詰めるが、一気に室内の温度が上昇するのを感じた刹那、化け物の口から炎が放たれた。友人はその程度どうということはないと華麗に避けようとしたが、射線上に僕らがいるのに気づきそれを受け止めた。ブレスが止み、友人がよろめき倒れた。僕のせいでと自分を責めようとしたがそんなことは今することではないと、震えている足を無理矢理動かし、近くにある兵士が持っていたであろう剣を持ち化け物に立ち向かった。化け物の爪に引き裂かれるのが目に見えたが、せめてこの化け物に一矢報いようと剣を弱点目がけて突き刺そうとしたが、化け物の爪が自分目がけてとてつもない速度で迫る。だがその爪は自分に届かなかった。そう友人がボロボロな身体になり爪が貫通しても身を挺して守ってくれた。そうして自分は叫びながら剣を突き刺し化け物を倒した。だがこの戦闘により友人は息を引き取った。日影はこの騒動以降、王国の人々から【ドラゴンスレイヤー】と賞賛された。皮肉にも日影の能力は倒した魔物の能力を使えるものであり、友人を死へと誘ったドラゴンの力を使うしかこの世界では生き残れないのだ。 これは日影龍馬が己の未熟さで友人を死へ追いやった怒りと悲しみを胸に、この世界で戦い続ける物語である。