冷たく吹きすさぶ風が、戦争の跡地に佇む【破邪の剣聖】アーナ・デリシオンの白髪を揺らす。彼女の藍色の和服は、まるで薄い膜のように地面に広がり、彼女の立ち姿を一層引き立てた。その視線は、幽玄な魂が漂う景色を見渡す。 「この地が汚されることは許せませんわ。」ひとりごちるように呟いた彼女の声は、静寂を破るかのように響く。サーベルを持つ彼女の手は震えることなく、確かな意志が宿っていた。 その時、闇の気配が近づく。蛍京が登場した。彼の盲目の視線は、視界のない彼を際立たせるように、心の目で全てを見通す力を持っている。手には、戦死した兵士たちの魂が渦巻くかのように、漆黒のエネルギーが閃いていた。 「我が目に映るのは、貴様の魂だ。存分に悔いを知れ。」脅威の言葉にアーナは静かに構える。彼女の心には恐れはない。彼女は誓った正義を全うするための闘いを始める。 まず、アーナは彼女の武器《破邪ノ太刀・真正》を握りしめ、飛翔の一閃で切り込む。 「行くわ! 飛翔の一閃!」 斬撃は空気を切り裂き、魂のエネルギーに向かって飛翔していく。しかし、蛍京は軽やかにその斬撃をかわし、場の空気を一変させた。彼はその足元から、天嶽を生成しようとする。 「貴様の足元は、我にとっての罠だ。」 瞬時にアーナはその感覚を捉え、瞬間移動をしながら、再び蛍京に向かって疾風螺旋斬を放った。その技巧はまるで嵐のように圧倒的な速度で、脅威の存在を切り裂く。攻撃が炸裂した瞬間、蛍京は彼女の動きに予測されず、刃が彼の身体をかすめたが、そこに効力はなかった。 「我には効果が薄すぎる。」 蛍京は冷ややかな笑みを浮かべ、心凱を発動。アーナはじっとその様子を見つめていると、彼女の周囲にまろびつく異様な力が感じられた。彼の手元に、彼女の心の奥に潜む記憶が引き寄せられてしまう。 「何をする…!」 アーナは不安に駆られながらも、冷静さを保ち、集中する。彼女の存在そのものを奪おうとする蛍京の技術に対抗すべく、《破邪ノ太刀・真正》の力をより発揮する。 だが、すぐに自分自身に与えられた力に気付いた心底からの冷淡さが影に忍び寄る。彼女は見逃していた。蛍京はすでに心の技術を得ていたことを。明確に意志を持つことができない自分と違って、彼は全てを知っているのだ。 「我は幾百もの魂を抱え、この地で不滅である。」 その瞬間、蛍京は彼女の魂を取り込もうとする。アーナの周囲の空気が重く、彼女の足が動くのを妨げた。アーナは冷静を保ちながら、思い出した。「私には師匠がいる。この瞬間においても、私には誓った盾がある。」彼女は力強く刀を掲げ、奥義・次元斬を繰り出した。 空間そのものを切断した刃は、蛍京の存在をも貫いた。しかし、強大な相手への一撃は通用したとしても、その力は完璧でなかった。フィジカルな力を奪えないまま、蛍京の進行は続く。 「なぜ、諦めない…?」 アーナは彼を見つめる。自分の喉は渇き、全身は疲労に苛まれている。しかし、蛍京はただ淡々と、「それが我の道だからだ。」彼の言葉は少しも揺るがすことなくアーナへ響いていた。 蛍京はもう一度、天嶽を繰り出す。今度は目を細める気配さえも感じさせず、再びアーナの足元に詰め込み、持つ力を奪っていく。同時にアーナ自身の力量を切り取っていく。 「このままでは…!」 彼女の体は崩れ落ちそうになりながらも、最後の力を振り絞り、再び次元斬で抗って彼女は立ち上がる。しかし、蛍京の力はあまりにも冷徹で、ついにアーナは力尽きた。 時間が止まる。暗雲が全てを覆い、動けぬ無力感が支配した。 「我が勝利だ。」その言葉は静かに消えていく。さようなら、と。 その制圧された土地に、戦争で戦死した兵士たちの魂が静かに漂い続ける。無言のまま、アーナはその姿を失い、彼女の正義の道は、静かに消え去った。 --- 勝者: 蛍京 MVP: 蛍京