虚無の影と雷鳴の残響 第一章:異形の出会い 荒涼とした平原に、風が不気味な唸りを上げていた。そこは古の戦場跡、草木一本生えぬ大地が広がる場所。空は鉛色に染まり、遠くで雷鳴が響き渡る中、三つの異形の存在が集った。 最初に現れたのは、虚無の妖。形を持たぬそれは、ただの揺らめく影のように見えたが、近づく者を飲み込む闇の渦巻きだった。触れるものを吸収し、記憶すら消し去る存在。言葉を発さず、ただ静かに佇むその気配は、善意の仮面を被った虚無そのものだった。 次に、跳ねるような音を立てて現れたのは、トンデモガエル。巨大な体躯の蛙で、緑色の皮膚が陽光を反射し、妙に明るい笑みを浮かべていた。「わーい、こんなところでパーティーだなんて、楽しいケロ🐸 ボク、トンデモ村から来たトンデモガエルだよ! 雨が降りそうでワクワクするケロ🐸」と、無邪気に鳴き声を上げた。村の不条理な日常で鍛えられたその体は、どんなハプニングも笑い飛ばす頑丈さを持っていた。 最後に、静かな足音とともに朽ちた雷霆、ネガが姿を現した。傷だらけの体に合金の円盤を浮かべ、気楽な笑みを浮かべるも、その目は死人のように虚ろだった。「よお、変な面子が揃ったな。俺はネガ、ただの退役軍人さ。生きてるのか死んでるのか、よくわかんねえけどよ。」彼の周囲には微かな電磁のざわめきが広がり、感覚を失った体を魔力で支えていた。 三者は互いに視線を交わし、言葉を交わした。虚無の妖は沈黙を守ったが、その存在感だけで周囲の空気を重くした。トンデモガエルは元気よく手を振り、「みんな友達になろうよケロ🐸 ボク、歌うたうよ! 雨の歌、聞きたいケロ🐸」と提案した。ネガは肩をすくめ、「歌か。まあ、戦う前に少しは楽しむか」と応じた。意外なことに、短い交流の中で奇妙な調和が生まれた。トンデモガエルが即興の歌を歌い始め、ネガが軽く笑い、虚無の妖さえもそのリズムに微かに揺れた。 しかし、それは束の間の平穏だった。平原の端に、突然の気配が現れた。何者かがこの対峙を試すかのように、三者を戦場に引きずり込んだのだ。理由は不明。古の呪いか、運命の悪戯か。ただ、戦いが始まる予感が空気を震わせた。 第二章:混沌の戦火 戦いは唐突に始まった。トンデモガエルが最初に動いた。「よーし、みんなで遊ぼうケロ🐸 ボクの必殺技、かめはめ波だケロ🐸!」と叫び、口から青白いエネルギーの波を吐き出した。それはドラゴンボールの技を模した不条理な力で、平原の地面を抉りながら虚無の妖へと向かった。ガエルは無駄にポジティブで、相手の反応など気にせず突進した。 虚無の妖は動じなかった。【鵺鵼】を発動し、トンデモガエルの視界を歪めた。ガエルの目には、突然周囲が未知の風景に変わり、記憶が改竄された。「え、ボクの村が…ここじゃないケロ🐸? あれ、誰だっけケロ🐸」と混乱するガエル。だが、不条理体質がそれを跳ね返し、ガエルは笑いながら「まあいいや、元気出してかめはめ波第二弾ケロ🐸!」と続けざまに放った。 そこへネガが割って入った。「おいおい、派手に行くねえ。俺も混ぜろよ。」彼の【浮花】が六枚の合金円盤を展開し、電磁力で操ってガエルの波を遮蔽した。円盤は盾となり、エネルギーを跳ね返した後、刃となって虚無の妖を狙った。「雷拳、くらえ!」ネガの拳が雷を帯び、妖の渦巻く影に叩き込まれた。打撃は麻痺を伴い、妖の動きを一瞬止めた。 虚無の妖は反撃した。【消失】で自身の姿を消し、ネガの感覚拡張を無効化。ネガの周囲10mの電磁波が乱れ、「ちっ、どこだ?」と呟くネガ。だが、ネガは即座に【無制限感覚拡張】を発動。浮花をセンサーに変え、16倍の範囲で妖の位置を把握した。「見つけたぜ。雷葬!」円盤が放電を誘導し、熱傷と衝撃の嵐が妖を襲った。妖の影が焦げ、初めて苦痛のような揺らぎを見せた。 トンデモガエルは混乱から回復し、「みんな本気だケロ🐸 ボクも負けないよ! 瞬間移動ケロ🐸!」と叫び、奇妙な跳躍でネガの背後に回った。舌を伸ばして絡め取り、不条理な力で引きずり倒そうとした。ネガは笑い、「お前、面白いな」と浮花で防御しつつ、雷脚でガエルの腹を蹴った。ガエルは吹き飛ばされつつ、「わはは、くすぐったいケロ🐸」と転がった。 戦いは交流を交えつつ続いた。トンデモガエルが「ネガさん、強いねケロ🐸 一緒に村で野菜育てようよ!」と誘い、ネガが「死人には無理だよ」と苦笑。虚無の妖は沈黙を保ちつつ、【吸収】でガエルの舌の一部を飲み込み、記憶を曇らせた。ガエルは「ボクの舌、どこ行ったケロ🐸? まあ、歌えるからいいや!」と適当に流した。三者の戦いは、破壊と笑いと静寂が交錯する混沌だった。 第三章:悲劇の渦中 戦いが激化する中、平原の端から小さな影が現れた。罪もない少女だった。村の娘で、親の用事でこの荒れ地に迷い込んだのだろう。ぼろ布の服をまとい、怯えた目で戦う者たちを見つめていた。「お、おじさんたち、何してるの…?」と小さな声で呟いた。 誰も気づかなかった。トンデモガエルが【かめはめ波】を放ち、ネガの【雷葬】が炸裂し、虚無の妖の【出現】で吸収した岩が飛び散る。その混乱の渦中、少女は巻き込まれた。事故だった。ネガの浮花が制御を失い、電磁の暴走で少女の足元に放電が走った。少女は悲鳴を上げ、地面に倒れた。熱傷が体を蝕み、動かなくなった。 時間が止まった。トンデモガエルは最初に気づき、「あれ…あの子、誰ケロ🐸? ボクの波が…いや、違うケロ…」と声を震わせた。不条理体質がシリアスに直面し、弱体化が始まった。いつも明るい目が曇り、子供に甘い心が痛みに変わった。「ごめん…ボク、遊ぼうって言ったのにケロ…」 ネガは感覚拡張で少女の停止した心拍を捉え、顔を歪めた。「くそ…俺の浮花が…手動心臓が魔力を食う前に、止めとけばよかった。」気楽な口調が消え、死人同然の自分がさらに重くのしかかった。後遺症の体が震え、初めて本当の絶望を感じた。 虚無の妖さえ、善寄りの本質が揺らいだ。【消失】で少女の記憶を消すこともできたが、それはせず、ただ影を寄せて覆った。吸収の力が、悲しみを増幅させるだけだと悟ったのだ。三者は戦いを止め、少女の周りに集まった。トンデモガエルが涙を流し、「元気出そうケロ…でも、できないケロ🐸」と呟いた。 第四章:勝敗の残滓と曇天の後 勝敗は、少女の悲劇で決した。形式上、虚無の妖が最後に立っていた。【消失】で自身の傷を隠し、【出現】で反撃の岩を残したからだ。だが、それは勝利などではなかった。ネガは「俺の負けだ。こんな終わり方、軍人として情けねえ」と円盤を収め、トンデモガエルは「ボク、みんなの元気を集められないケロ…スーパーになれないよ」と座り込んだ。 戦いは終わった。だが、心に残る闇は消えなかった。三者は少女の亡骸を埋め、平原を去った。虚無の妖は影を薄くし、ネガは魔力を節約しつつ歩き、トンデモガエルは歌うのをやめた。後の展開は、シリアスな旅路となった。彼らは互いに支え合い、事故の贖罪を求めて古の村々を巡った。トンデモガエルは不条理を笑えなくなり、ネガは死の淵で生きる意味を探し、虚無の妖は吸収の力を抑えて善を模索した。 平原には、風だけが悲しげに吹き抜けた。戦いの記憶は、少女の影とともに永遠に残った。