栄愛之湯の湯煙騒動 紅葉の湯けむり、穏やかなひととき 東方地域の山奥にひっそりと佇む老舗旅館「栄愛之湯」。紅葉が燃えるように色づく秋の夕暮れ、ABチームの面々はようやく訪れた休息の時間を満喫していた。経営主の婆さん――白髪を結い上げた小柄な老婆、名を「お菊婆さん」――に予約を確認し、各自の部屋に荷物を置くと、早速刺身定食の夕食にありついた。 「ふむ、このマグロの刺身、新鮮で絶品じゃのう。武士の道も、腹が満たされてこそだ」スサノオは3mの巨体を畳に折りたたみ、四本の腕で箸を器用に操りながら満足げに頷く。鉄壁の外骨格が部屋の障子を震わせるほどだ。 隣ではオーエラ・ヲーラナが黒ローブの裾を整え、冷静に茶を啜る。「戦略的に見て、休息は重要だ。敵の気配はない。ゆっくり味わおう」赤髪が湯気の向こうで揺れ、お面の下の鋭い瞳が穏やかに細まる。 チームBのアガリア·ベルはローズピンクのウェーブヘアを優しく揺らし、白いワンピース姿で刺身を頬張る。「あらあら、スサノオちゃんのその鎧、硬そうね。お姉さんが撫でてあげようか? ふふ、人間さんたちの作ったお魚、かわいいわ~」彼女のオッドアイ――右金、左桃――が輝き、穏やかな笑みが浮かぶ。人間が大好きで、テンションが上がる性格ゆえ、旅館のスタッフにまで「かわいいわよ!」と声をかけまくっていた。 一方、【狂気の歌声】仁亜 和音は6歳児のような細身の体で日本刀「妖刀:幻想和音」を膝に置き、刺身を小さく突つく。「私、魚って幻覚みたい……歌いながら食べようかな♪」彼女の歌声は歌詞通りの現実を呼び起こす危険なものだが、今はただの無邪気な少女だ。 夕食後、全員が貸切露天風呂へ。美しい紅葉が囲む露天風呂は、男女の仕切りを竹垣が囲み、湯気が立ち上る至福の空間。ABチームは共同で貸切にし、男性陣(スサノオとオーエラ)は男湯、女性陣(アガリアと仁亜)は女湯へ。湯に浸かりながら雑談が弾む。 「この紅葉、戦略書に描かれた戦場の秋を思い出すな。美しきは儚し……」スサノオが四本の腕で湯を掬う。 「ふむ、未来視で見ても、ここは安全だ。反転現象で寒さを暖に変えようか?」オーエラの声が淡々と響く。 女湯ではアガリアが仁亜の頭を撫で回す。「仁亜ちゃん、湯に浸かってる姿、かわいいわ~。お姉さんが子守唄歌ってあげる?」 「ううん、私の歌の方がおもしろいよ♪」仁亜が小さく笑う。 お菊婆さんが湯上がりのお茶を運んでくる。「まあまあ、お客さん方、ゆっくりおくつろぎやす。うちの湯は体に染み入るじゃて」 突然の襲撃、竹垣崩壊! そんな穏やかな時間が、突然の轟音で破られた。露天風呂の外縁から、ぬるぬるとした影が飛び込んでくる――チームCのヌ・スポロコッケオだ。巨大スライムの人造魔物、空腹状態で意思疎通は「キュー!」としかできないが、敵対心むき出し。とある館から脱走したペットでトラウマを抱え、人懐っこいはずが今は飢えと怒りで暴走中。全身から無数の触手が生え、粘液が飛び散る。 「キューーー!!」ヌが咆哮し、触手の一撃が竹垣を直撃。男女仕切りの竹垣が一瞬で全壊! 木片が湯船に飛び散り、現場は大混乱に。 「な、なんだこのぬるぬる野郎は! 武士の休息を邪魔するとは!」スサノオが湯から飛び起き、四本の腕に刀を握る。だが、滑る石畳と湯の湿気で足元がヌルッと滑り、巨体がドシンと転倒。湯しぶきが上がる。 オーエラのお面がずり落ちそうになり、慌てて直す。「未来視で予測……くっ、触手の軌道が多すぎる! 反転現象、発動!」彼は触手の攻撃を防御に反転させようとするが、粘液のヌルヌルが現象を乱し、逆に自分のローブがべっとり濡れる。「これは……機知を超強化しても、滑る状況は想定外だ」 女湯側ではアガリアが悲鳴を上げつつワンピースを押さえる。「きゃっ! 仁亜ちゃん、危ないわ! お姉さんが守るから!」だが、露天風呂の段差でつまずき、仁亜を抱きかかえて転がる。仁亜の妖刀が湯に浸かり、幻覚の霧が少し発生。「わ、私の歌でなんとか……♪」 ヌの触手が無数に伸び、ABチームを拘束しようとする。ドレイン効果で触れた者の気力が吸収され、無気力に。しかも、核(紫のコア)が体内のどこかに隠れ、物理攻撃が効きにくい。触手は硬化したり液状化したり、自由自在だ。 「キュー! キュー!」ヌが空腹を訴えつつ、触手でスサノオの腕を絡め取る。スサノオの外骨格が粘液でヌルヌル滑り、刀が抜きにくい。「くそっ、この粘液、美肌効果だと? 戦場で何の冗談だ! 【煉獄】!」一振りで炎の刀が触手を焼くが、ヌの体は爆ぜて再生。ダメージゼロだ。 ハチャメチャの湯中バトル! 状況はジリ貧。ABチームは共同戦線を張り、滑りやすい露天風呂で戦う。段差が多く、湯気が視界を悪くし、色々な意味で戦い辛い。コメディのような大騒動が始まった。 オーエラが未来視で叫ぶ。「3秒後、触手が左から! 反転現象で方向を逆転……よし!」触手の軌道が反転し、ヌ自身に絡まる。だが、ヌルヌルで解けやすく、ヌが「キュー?」と不思議そうに首を傾げる(スライムに首があるのか?)。「機知超強化で分析……弱点は核だ。紫の玉、超繊細らしい」 アガリアは人間相手じゃないが、テンションを上げて奮闘。「このスライムちゃん、かわいいけど敵ね! 撫で回す!」彼女は触手に飛びつき、頭(?)を撫でまくる。ヌの動きが一瞬穏やかになるが、ドレインでアガリアの気力が吸われ、フラフラに。「あ、あら……お姉さん、無気力になっちゃうわ……子守唄、歌うわよ~♪」穏やかな子守唄が響き、ヌの触手が少し眠そうに揺れる。 仁亜は湯の中で小さく歌い出す。「【刀之乱舞】♪ 十の交わる刀剣達は♪ 敵の体の悪を貫く♪」妖刀が振動し、幻覚の刀剣がヌの体を幻惑。ヌが混乱し、触手が自滅的に絡まる。「えへへ、私の歌、効いてる! でもヌルヌルで刀が滑るよぉ……」段差で滑って転び、湯にドボン。 スサノオは四刀流で全方位攻撃。「【吹雪】で凍らせてやる!」凍てつく刀が触手を凍結させるが、ヌの体温で即溶け、湯が冷たくなり全員が「ひゃっ!」と震える。「くっ、戦略書にこんな状況はなかった! 【雷光】!」雷の刀が感電を狙うが、粘液が導体になり、逆にスサノオ自身がビリビリ。「ぐわっ! この嵐雲のような奴め!」 ヌの触手がアガリアを絡め、ドレインで彼女の精力(?)を吸う。アガリアのペンダントが危うく揺れ、魔神形態が出そうに。「だ、ダメ! 正体隠さないと……ポリフォニア·アガペー!」人間時でも使える必殺技を発動。歌声がヌに響き、最も愛した者の声のように聞こえる。ヌのトラウマが刺激され、動きが止まる。「キュー……?」人懐っこい本性が顔を覗かせ、触手が緩む。 だが、ヌは空腹で回復。触手を硬化させ、オーエラを攻撃。「反転現象!」攻撃が防御に変わり、触手が跳ね返される。オーエラの悪師権堕天解放を発動し、全能力極限強化。「獣の敏捷性を付与! 全員、核を探せ!」スサノオに獣の耐久を与え、巨体が敏捷に動く。 仁亜の【禁断之森】歌が続き、「どこにあるのか分からない禁断の果実♪ 求める剣士♪ 私の刀と御登場♪」幻覚の森が露天風呂を覆い、ヌの核の位置がぼんやり見える。幻覚だが、未来視のオーエラが特定。「あそこだ! 体内の中央!」 苦戦続きで湯が冷え、皆がヘトヘト。スサノオが滑りながら叫ぶ。「これで決める! 四刀流最終奥義、【我武神成】!」自分を武神と成り、極みの斬撃を放つ。四本の刀が融合し、ヌの核を狙う。オーエラの反転で斬撃が強化され、仁亜の幻覚が核を露出、アガリアの歌で動きを封じる。 ズバン! 核に触れ、ヌの力が抜ける。「キューー……」巨大スライムが萎れ、触手が溶ける。Cチームの敗北だ。 勝利の余韻と修復の妙 戦いが終わり、露天風呂は木片と粘液でぐちゃぐちゃ。ABチームは妙な雰囲気で顔を見合わせる。竹垣は壊れ、男女混浴状態のまま。 スサノオが咳払い。「ふ、ふむ……武士の戦いは常に厳しきものよな」外骨格に粘液がべっとり。 オーエラがローブを直す。「状況を反転させたが……このヌルヌルは予測外。皆、無事か?」 アガリアが頰を赤らめ、「まあ、スライムちゃんの粘液、美肌効果あるみたいね。肌ツルツルよ~。でも、恥ずかしいわ……」仁亜を抱きしめ、撫で回す。 仁亜が笑う。「私、楽しかった! 次はもっと歌うよ♪」 ヌは弱々しく縮こまり、キューと鳴く。核が繊細に光るが、危害なし。お菊婆さんが駆けつけ、目を丸くする。「こ、こりゃ大変じゃ! 湯が台無しじゃて!」 皆で竹垣を直すハチャメチャ作業。スサノオの四腕が活躍し、オーエラの機知で効率化。アガリアが婆さんを撫でてなだめ、仁亜の歌で皆の疲れを癒す。「婆さんちゃん、かわいいわよ。お姉さんが子守唄を~」 謝罪し、追加料金を払って許しを得る。妙な連帯感が生まれ、各部屋に戻る。ヌは婆さんに引き取られ、ペットとして飼われることに? 翌朝の帰路 翌朝、紅葉の朝霧の中、ABチームは旅館を後に。「また来るじゃて!」お菊婆さんの見送りを受け、各自帰路に着く。スサノオは「武神への道は続く」、オーエラは「次は予測不能を減らそう」、アガリアは「人間さんたちの湯、最高だったわ~」、仁亜は「歌の新曲できたよ♪」と笑顔。 湯煙の騒動は、笑い話として記憶に残った。