「不可視の千剣」は、私たちが思い描く一般的な獣とは異なる存在だった。大きな鹿の姿をしてはいるが、その動きは人間の理解を超越している。浮遊する大盾に守られ、意識を妨げるその特異な能力は、まるで闇が生み出した「化物」のようだ。私、《「獣」の女王》ヴォーティガーンは、冷静かつ冷酷にその動きを観察していた。 「化物」退治と行こう。この言葉を心の中で繰り返しながら、私は仲間たちと共にその場に立っていた。私と同じように、各々が自らの役割を果たすために身構えているのだ。引き締まった空気が流れ、参加者たちの目には決意が宿っている。 その時、巨大な影が一瞬のうちに私たちの視界を覆った。「不可視の千剣」の咆哮が響き渡る。周囲の空気が揺らぎ、私の周りにいる者たちが不安に駆られ、顔をしかめていた。 その瞬間、私は自らのスキルを発動させることにした。「竜撃」。左腕が竜の腕に変化し、私の普段の力を超えた威力で敵に接近することができる。この一撃で、忍び寄る「飛燕剣」に何としても気を取らせなければならない。 冷静に、敵の動きを観察しながら、「飛燕剣」を排除する準備を進める。私の目に映るのは、13本の剣が自律的に動き回る姿だ。それぞれが意志を持ち、連携しながら攻撃を繰り出してくる。私たちが注意を払わなければ、あっという間にやられてしまう。 「逃げろ!」と仲間が叫んだ直後、一つの剣が私に向かって突き刺さる。それを察知した瞬間、私は自らの筋肉の動きを最速に引き上げ、瞬時に方向転換。かわしたその瞬間、身の危険を感じた感覚が混ざりゆく。何かに触れたかのような感覚が、私を後ろに引き寄せた。 仲間の一人、螺旋の半竜アラベ・ネームレスが、鋭い目を光らせていた。彼は寡黙な性格で、言葉少なだが、その存在感は圧倒的だ。彼が二振りの鉈を駆使して、飛燕剣に立ち向かう。 「祈れ、風に」と彼が呟き、直後、竜の力を発揮し、肉断鉈で一心不乱に飛燕剣を振り下ろす。その切れ味は見事で、剣の一つが思わぬ隙に引っかかり、地面へと叩き落とされた。「さすがだ」、心の中で評価する。 その間にも、「不可視の千剣」の巨大な盾が間合いを詰めてくる。周囲の認識が阻害され、どこを見ればいいか分からなくなってしまった。まるで濃霧の中を走っているかのようだ。私たちの意識が自らへの恐怖に飲み込まれようとしている。 その時、私は「狂いゆく英雄」のスキルを発動した。恐怖や絶望が全て私の力に変化していく感覚。心が無でも強さが溢れ出てくる。恐怖を感じた瞬間、私は思わず大声を上げた。 「絶望の獣、現れよ!」 黒い翼が広がり、竜人の姿に変貌していく。周囲の空気が震え、私の放つ魔力が敵を包み込み、炎をまとった力を放出する。「我こそが絶望の獣」と叫びながら、まずは視界を阻む敵を焼き付くす。炎が周りの空間を変え、数本の「飛燕剣」が弾き飛ばされ、弾ける光が砂煙の中で散らばる。 その中でアラベが、「蒼焔裂消」を発動させた。彼の青白い焰が周囲を覆い、一瞬で広範囲を消失させる圧倒的な攻撃が、敵を襲った。どんな敵でも避けることができない技。大地が揺れ、周囲の者が驚愕しているのを感じた。 距離を取り、敵の態度を観察した。「不可視の千剣」は一歩下がり、その姿を乱す。攻撃を受けた痛みがこもったかのようだ。その隙を逃さず、アラベは素早く肉断鉈を構え、反撃を開始する。私も一緒に前に進み、敵の動きを封じるように大盾を前に引き寄せた。これが決定的な瞬間だ。 その時、不可視の千剣の後ろから、約束通り、参加者たちが飛燕剣と向き合い、力強く立ち向かう。 剣と剣、火と炎、各々の力が渦巻く中、私たちの連携が互いを補い合っていた。恐怖や絶望を超越する瞬間に身を置いている。絶え間ない戦闘によって、不可視の千剣はその動きが減速し、私たちの思った通りに「解析進捗」を進めたのだ。アラベの怒涛の攻撃は徐々に影響を及ぼす。 残り時間が刻々と迫る中、再び敵の攻撃が訪れる。その瞬間、ただ「転嫁の獣」を発動して攻撃を防ぐ。反撃として敵に恐れられた全ての力を反響させ、彼へ跳ね返す。強烈な衝撃が、周囲の者たちを刺激する。業火が剣 HIT し、次々と影を吹き飛ばす。 最後の一撃。皆で力を合わせ、次々と飛燕剣を撃ち落とし、敵の姿が徐々に見え始める。やがて、「不可視の千剣」が姿を現し、私たちは一歩前に進む。 時間が全てを飲み込んでいく。皆で立ち向かうべく、一丸となって敵を打ち負かす瞬間。小さな進捗が確実に実を結んでいくのだ。私たちの力で、不可視の千剣に立ち向かい、ついに勝利した。 戦い終えた後、解析進捗を確認する。トータルの進捗はこうだ。 ・撃破成功 ・不可視の千剣の解析進捗: 1.8% ・飛燕剣の解析進捗: 1.5% この瞬間、私の心は満たされる。「化物」を討ち果たす喜びへ。仲間たちとそれぞれ勝利を喜び合う。 彼らと共に戦ったことで得た信頼。それが確固たる絆につながることを感じていた。雲間から漏れる光がその場に輝きをもたらし、私は思った。この一滴の光は、私たちが今後も共に戦っていく道しるべなのだと。