まるで凍るような静けさが詰まった願流島コロシアム。底知れぬ闇を孕む大きな闘技場で、観客たちの視線は一点に集まる。極限の興奮と期待が入り混じり、二人の闘技者が切磋琢磨してきた拳法トーナメントの決勝戦に挑む。 まずインフォーマルな司会として、少女ありさが高らかに声を張り上げた。彼女は自信に満ちた目で二人の闘士を観客に紹介する。「ただいまの収容人数は満員御礼!これからお送りするは、決勝戦!西から戦うは、『冬月の忘霊』枯淡場 六花!」「そして東からは、ヤンキーちゃん!」 六花は白い武道着を身にまとい、各部位に防具を装着し、銀色のマフラーが風になびいている。彼女の表情は冷静そのもので、全てを見据える眼差しが印象的だ。一方、ヤンキーちゃんは金髪のショートヘアに、特攻服を着用して戦う姿勢は豪快そのもの。185cmを超える長身が彼女の存在感を引き立て、観客の間からは微かな囁きが広がっている。 各選手の闘技者としての力を評価する老獪な滅堂会長は、その盲目の目を通して必要な情報を抽出する。「六花は『冬月の忘霊』の名に恥じない、極められた防御と反撃の技術を持つ。だが、ヤンキーちゃんの瞬発力と攻撃力は無視できない。刹那を狙った剛撃が六花に通用するか、これが見所だと思うぞ。」 ゼリーのようにぷるぷるとした肉体で生き残りをかける闘士二人は、互いに頭を下げ、礼を尽くす。 「私は負けません、全力で挑みます。」と六花が冷静に言葉を吐き出し、対するヤンキーちゃんも「全然、負ける気がしねぇ!」と答える。互いの拳術を極めた者同士、真剣勝負に挑むのだ。 闘技の開始を告げるウィンドブレイカーのホイッスルが鳴り響く。 「さあ、攻撃!」 六花は優雅に構えを取り、透き通るような動きでヤンキーちゃんを目の前に捉える。彼女のスキル『晩翠流拳術』を駆使し、その寒さのような静けさで急接近する相手の攻撃を黙殺し、反撃の隙を生む。 やがて、ヤンキーちゃんの豪快なフックが六花の方を襲う。しかし、冷静な六花は体をひねり、霜のような冷静さで攻撃を受け流し、即座に反撃。彼女の拳は冷たく、だが確かな威力を携えてヤンキーちゃんの腹をぶん殴る。「グハッ!」と苦しむ声が闘技場に響いた。 だが、ヤンキーちゃんの動きは速い。立て直すこともなく、すぐさま反撃を開始する。「攻めは最大の守り!」のもと、彼女のメリケンサックのような硬い拳が六花を直撃し、観客が騒然とする。「どんなコンクリートも砕いてやる!」と叫びながら、立て続けに攻撃を繰り出す。 だが、六花の『奥義・寒霜』はそのような攻撃を許さない。鷹の如く空を舞い、ヤンキーちゃんの一撃に対し、静かな反撃を決め込む。反撃が当たる度にヤンキーちゃんの動きは鈍り、体がしびれ始める。 「くっ、でも…!」 両者の攻防が続く中、六花の『奥義・雪渓』が炸裂し、突然の隙間を突いてヤンキーちゃんの側面を叩く。ヤンキーちゃんは大きく崩れ、闘技場の砂埃を巻き上げながら後方に倒れこみ、悔しげな顔を見せる。「まだまだ、まだ負けないぜ!」 闘争は続く。肉体同士の衝突、命がけの戦いによる視覚的な生々しさが観客の胸を熱くする。汗と血、冷気と熱気が交わり、コロシアムは戦いの音に包み込まれる。 「すごい…!全てを突き抜けて、反撃だ!」とありさが叫び、観客の歓声が詰まった空気を支配する。 だが、一瞬の沈黙の後、『最終奥義・雪月花』が展開される。六花は、まるで冬が過ぎ去るかの如く、無数の連撃をヤンキーちゃんへと放つ。その動きは美しさすら感じさせ、まるで雪のように儚い一撃一撃が堅くなった魂をすり抜けていく。 「ヤンキーちゃん、勝利の女神はそっちに微笑むか?」 終始観客の期待に応えた二人の闘士が、ついに決着の瞬間を迎える。六花の冷たき拳が、ヤンキーちゃんの頑強な肉体を打ち砕き、コロシアムに静寂が訪れた。その後、満場の観客が立ち上がり、拍手が鳴り響く。