シゼイル・コレヌーラは、深いモノトーンの黒パーカーに身を包み、白シャツの裾を乱しながら壮大な戦場の中心に立っていた。虎型の無人自律機動兵器「八百万の神機」は、紅蓮の炎を纏って迫りくる。彼女の小柄な体躯からは意外にも冷酷さが滲み出ており、その鋭い視線は、戦闘の始まりを予感させる。「夜明けは遠い、まだ楽しもうじゃないか」と、彼女は淡々と言い放った。戦場の仲間たちへ冷静に気合を入れる言葉が響く。 その傍には、機体「RED」に搭乗する紅目がいた。彼女の目は充血し、戦の準備を整えた冷徹さが垣間見える。今、この二人は「八百万の神機」との戦闘に挑む運命を背負っていた。大型二脚機体のシルエットは、まるで戦場を包み込む雷雲のようだ。その二重奏は、まさに今、鳴り響こうとしていた。 「解析が必要だ」と、紅目が緊張感の漂う声で言う。「私は射程から狙いを定める。シゼイル、君が近接戦をお願い」と彼女の機体は指示を待っている。シゼイルは頷き、手に集めた鋭い激流を水爪へと変形させて、身構えた。 第一撃、虎型の神機が高く跳躍し、地面を揺らして襲いかかる。紅蓮の炎が迸り、鋭い爪が地面を引き裂いた。その瞬間、シゼイルは「紺碧の興宴」を発動させ、足元の激流を旋回させて多方向からの斬撃を生み出す。赤目はその隙を見逃さず、高温切断レーザー「紅」を放つ。爆音と共に、それは神機の体に命中し、赤い閃光が瞬間的に広がっていった。 だが、「八百万の神機」はそれをものともせず、猛然と反撃に転じる。炎を吐き出し、もはやただの兵器ではなく、獣のような唸り声を上げる。 「炎喰!」巨大な炎の爪が巻き起こり、燃焼した物質を、まるで生きた存在のように吸い込んでいく。シゼイルは冷静に身を低くし、迫る攻撃を滑らかに掻い潜った。しかし、彼女の心の奥底には、低身長に対する引け目と、そんな冷酷さの裏に隠された本能の闇がうごめいていた。 次第に、神機は「烈焔爪牙」に移行し、炎の出力を強化していく。「私が行く!」シゼイルは叫び、渦中に映る双月を発動させた。迸る激流が神機を飲み込み、迫る斬撃が一瞬の隙を作り出した。 紅目はその奮闘を見逃さない。ターミナルアーマーを展開し仲間を庇う瞬間、彼女は自らの冷静さを失わずに「紅蓮之光」を蓄積する。彼女の眼前には、荒れ狂う紅蓮の炎が燃え盛り、彼女の心の中にある戦士としての憧れが高まる。 戦場の中で、シゼイルは冷酷さを保ちながら、本能的に仲間を意識する。「これが、私のやり方よ!」彼女は全力の攻撃を神機に向けた。 しかし、敵の「鋳竈」による豪炎の結界が周囲に築かれたと同時に、仲間たちに計り知れないダメージが及ぶ。「あっ、痛い!」仲間が悲鳴を上げ、苦しむ様子が見て取れる。 「私が護る!」と叫び、紅目は「紅」と「緋」のレーザーで結界を貫こうとするが、神機の力強い炎に遮られてしまう。両者の連携が崩れかけ、仲間たちが危機に晒される。 その瞬間、シゼイルの心の奥で冷酷さが崩れ始める。彼女は情が生まれ、その冷たい眼差しの裏に隠された情熱に気づく。「一緒に、戦おう」と、全てを捧げようとする気持ちが湧き上がる。 仲間たちの苦痛、そしてその先に待つ仲間の絆がもたらす強さを感じ、シゼイルは「捕食者の貫禄」を発動する。「私の心、獲物を貫いてみせる!」激流が光り輝き、攻撃が強化される。神機の衝撃的な反撃を掻い潜り、全力で斬りかかる。 「まさに、これが私たちの宴です!」その瞬間、シゼイルの目が獰猛な輝きを放つ。彼女の斬撃が神機の肉体に一本の傷をつける。 「解析進捗、0.5%!」紅目が集中した声で告げる。彼女の機体「RED」からの解析が少しずつ進行していた。しかし、まだまだ先は長い。その間にも神機の反撃は容赦がなく続いていた。 シゼイルはその闘志を絶やさず、「炎喰」に再度直面する。彼女の心の奥底で引き起こされた戦いの中に、心の絆が築かれている。しかし、炎を直接に浴びせられる仲間を見て焦りを覚え、一瞬の判断ミスを犯す。 「貴様の炎、私が浴びてやる!」シゼイルは神機の直接攻撃を受けるが、それでも立ち上がり続けた。炎で焼かれる肌を我慢し、仲間を守るための意志を固めた。 「解析進捗、1.5%!」仲間の進行状況は依然低調。しかし、シゼイルは全てのパワーを使い果たし、水爪を激流に変えて、全力で神機に向かっていく。「今度こそ、斬り崩してみせる!」 闇夜の中、シゼイルの水の激流が神機に命中する。「烈炎爪牙」状態でも、その根本に宿る隙を見つける。さらに、紅目も高火力のレーザーを操り続け、二人の攻撃は次第に結束を強めた。 その刹那、ついに神機の大きな体が崩れ落ちる。「解析進捗、2%達成!」仲間たちの勝利が掴み取られた瞬間、全員が歓声を上げた。彼女たちの絆が並行の戦況を変えていたのだ。 だが、炎を纏っていた神機は、仮死状態になり依然として脅威を残していた。彼女はその火炎の中に突入し、「烈炎爪牙の逆襲」までを防がなければならなかった。しかし、彼女はもう力を使い果たしていた。「これが、私の限界か…」 仲間の助けを得て、何とか神機の炎を中和する。生涯の戦いとなるはずだったが、今夜は絆を持つ彼女たちが共に勝利を手にしたのである。「変異型B粒子の解析進捗、1%」と告げる声も響きわたる。 仲間が歓喜し、戦の終焉を迎える。 「私たちの勝利だ!」シゼイルは力なく言葉を紡いだ。その胸の内に抱いていた冷酷さと、本当の自分がようやく融合したように感じられた。戦士として、仲間として、今私たちは共に戦ったのだと。 「やっとだ…」 八百万の神機との激しい戦闘を経て、勝利を掴んだ彼女たち。解析の進行は道半ばだったが、彼女たち自身が新たな道を見いだそうとしていた。この戦いこそ、彼女たちにとっての新たな始まりだったのだ。