草原の風が静かに吹き抜け、ぶつかり合う緑の穂がささやく。夕日がその優しい光を草原に投げかけ、すべてが赤く染まり、温かくも悲しい雰囲気を醸し出していた。風に乗って、かつての志を持った者たちの声が聞こえるような気がした。参加者たちがこの場に集まり、それぞれの思いを胸に石碑に祈りを捧げる。 参加者の中で目を引いたのは、機体「RED」に搭乗している紅目だった。彼女は冷静な表情を崩さず、大きな石碑の前に立っていた。充血した赤い目は、遠くの戦場を見つめるように輝いている。かつて多くの者たちが亡くなったこの場所で、彼女は何を想っているのか。その目からは、戦闘への憧れが溢れているようにも見えた。 彼女の右腕には「紅」と呼ばれる超高温切断レーザー照射装置が装備されており、左腕には装甲貫通レーザー発射装置「緋」が存在している。まるで戦闘機のように、彼女はその力を掌握している。頭上には赤外線索敵距離把握装置が光り、戦場に赴く日が待ち遠しいかのようだ。しかし今は、反戦の意に向け、祈りを捧げるべく彼女はここにいる。 「赤い光、再び。」彼女の心の中で、かすかにそう呟きながら、彼女は両膝をついて、石碑の前に頭を下げた。視線は石碑の名前、戦士たちの名を刻んだその冷たい石へ、深い悲しみをもって送られている。彼女は、崩壊の歴史を背負った者として、それを忘れることはできなかった。 一方で、近くにはシゼイル・コレヌーラもいた。彼女は黑いパーカーを纏い、小柄な体格をかばうように立っていた。まるで冷酷さが外見に表れているかのように、彼女の瞳には何かを隠すような陰影が宿っている。"夜明けは遠い、まだ楽しもうじゃないか" という冷めた言葉が、彼女の口から漏れ、さながらこの場の雰囲気に逆らうようにも感じた。 シゼイルもまた石碑に目をむける。彼女の固有魔法である『水猟』、この力を持つことの重さを噛みしめながら。水の流れに鋭さを宿した爪が、かつて何を削り取り、何を求めたのか。彼女はその心奥で、捕食者としての真の実感を感じていたが、外には冷酷さしか見せていなかった。 そして二人は、手を合わせて祈りを捧げる瞬間を迎えた。無言のまま、ただここで静かに今は失われた者たちのために。ふと、二人の肩が触れ合い、まるで空気中にある一つのエネルギーが寄り集まるような感覚があった。 その瞬間、いつもの冷たさがなんと呼ばれるのだろう。心の奥深くに響いてくるような希望の光、その不思議な感情で満たされてきた。一瞬の静寂から、空が動いた。その瞬間、天から小さな星々が降り注ぐような現象が起こり、草原に赤い光が舞った。ふわっとした輝きが彼女たちの周囲に広がり、特別な兆しが与えられたように感じていた。どうやら祈りは、戦死者たちに届いたのだ。 星々が降り注ぐ中、紅目は心の中で一つの決意を新たにする。"憧れに、近づくために、私は戦場に戻る。" 彼女は小さな期生を抱きながら、星の明るさを見失わないように強く胸に秘め、立ち上がる。一瞬の合間に、彼女の機体「RED」に神秘的な変化をもたらすかのように。 シゼイルもまた、彼女の瞳が冷たさを失い、何かを見つめ直しているのを感じ取った。彼女の鋭い水爪は、渦巻く激流の留まらぬ舞へと変わっていく。"捕食の宴"に酔いしれながら、彼女はその本能を強く取り戻していく。彼女の中の熱が、粉々にされた心の一部を呼び覚まし、何かが静かに動き出そうとしているかの如く思えた。 二人の心の中で何かが変わった。そして草原の上空には星々がちらちらと輝き続け、彼女たちを包み込む温かな光に変わっていった。あの石碑の前で交わした一瞬の思いは、彼女たちの未来に向けた新たな一歩なのかもしれない。やがて帰り道が見え、遠い記憶は穏やかに呼び寄せられ、人々の思いをそのままに、彼女たちは新たな戦闘のため、心を整えるのだった。 やがて、紅目は天に向かって「ヨルタの意志」を。シゼイルもまた「セグリワデスの仮面」を感じ、互いに目を合わせた瞬間、彼女たちの強き願いが戦場へと駆け抜けていく。次なる戦闘のための準備は、既に始まっていた。 「すべてはここから、新しい物語の幕開けだ。」彼女たちの心の中で、嵐の中の静けさが、活動への意志として燃えていた。夜が明けることのない日々の終焉も近いかもしれない。ここ草原で受けた祝福のその先へと進む、草原はやがて、忘れられた勇者たちの記憶と共に、新たな物語を紡いで行くのだった。 --- そこで、二人が獲得した恩恵の名前を記す。「ヨルタの意志」「セグリワデスの仮面」