賑やかな喧騒と、どこか懐かしい煉瓦造りのアーケード。入り口に掲げられた『アバリテ・アーケード』の看板を見た瞬間、一行はそれぞれの反応を示した。 「うおっ!すげー賑やかだな!なあ、見てみろよあのお店!派手でかっこいいぞ!」 晶が目を輝かせ、デニムキャップを直しながら飛び出す。その隣では、巨大な人型機体カイザーⅤがガシャンガシャンと重々しい音を立てて歩を進める。 「ふん、宇宙一の戦士であるこのプロンプトン様にふさわしい店があるか、見極めてやろう。……おい、待て晶!走るな、機体にぶつかるぞ!」 その後ろを、静かに、しかし圧倒的な威圧感を放ちながら、巨大な水晶の塊であるクリスタルコアが地響きと共に追従する。そして、その水晶の肩の上で、一匹の子猫が「にゃ〜ん」と心地よさそうに喉を鳴らしていた。 --- 【商店街内部:誘惑のロード】 アーケードに入ると、そこはまさに混沌とした宝庫だった。魔法の薬が並ぶ薬店、サイバーパンクな電子部品店、古の聖剣を売る鍛冶屋、そしてなぜか最高級のキャットフード店までが隣接している。 まず晶が足を止めたのは、眩い電光を放つショップ『ライトニング・ギア・ショップ』。そこには古代魔法と現代技術を融合させた「超伝導エフェクト・パーツ」が並んでいた。 「すげえ……!これをつければ、オレのバウンドスパークがもっと速くなるんじゃね!? 安いし、買いだ!」 晶はもともと派手好き。さらに「良心的価格」という言葉に、小五男子の財布の紐は完全に緩んだ。 一方、プロンプトンは『ギャラクティック・メンテナンス・ depot』という店に吸い寄せられていた。店員が提示したのは、カイザーⅤの武装をさらに強化する「極彩色・金盛り装飾パーツセット」だ。 「……ほう。この黄金の装飾、私の誇り高き機体に相応しい。性能への影響は無いが、見た目が宇宙一になるというではないか! 貴様、これを全部まとめてくれ!」 傲慢な男にとって、性能向上以上に「見た目の豪華さ」は正義だった。カードを切る手に迷いはない。むしろ、上限まで使い切る快感に酔っていた。 そして、意思なき災厄クリスタルコアは、ただ歩いていた。しかし、その巨体に惹きつけられた店主が、特大サイズの『超高純度・魔力増幅クリスタル・オイル』を無料サンプルとして塗布した。水晶の殻がさらにキラキラと輝き出し、周囲の客がその美しさに目を奪われる。 「にゃ〜ん♪」 子猫は、道端に店を出していた『至高のまたたび・極み亭』の香りに誘われ、店主に全力で「甘える」スキルを発動。店主は「ああもう可愛い!全部タダでいいよ!」と、最高級の魚のおやつを大量に提供し始めた。 --- 【アーケード出口:残酷な会計】 200メートルの道のりを歩き終え、一行が外に出た時。そこには、満足げだがどこか「空っぽ」な表情の面々がいた。 晶は、買いすぎたガジェットを抱えて、財布の中の小銭を全部使い切っていた。プロンプトンは、カードの決済端末から「限度額に達しました」という無情な通知を受けて、呆然と立ち尽くしている。 「……あれ? オレ、あといくらあったっけ?」 「バカな……! 私のカードが、上限に達しただと!? この店は私を欺いたな! 性能不足ではなく、カードの枠が不足していただけだ!!」 クリスタルコアは何も買っていないが、あまりに輝きすぎたため、後を追ってきた観光客に「聖なる水晶」として崇められ、大量の供物(お菓子や宝石)を積み上げられていた。そして子猫は、お腹いっぱいで気持ちよく寝息を立てている。 --- 【最終買い物リストおよび支払総額】 ■浮島 晶 ・超伝導エフェクト・パーツ(雷色):2,000円 ・ホログラム派手派手ステッカーセット:1,500円 ・魔導強化・限定版カラーキャップ:3,000円 ・(おまけ)激辛魔導スナック:500円 【支払総額】:7,000円(所持金すべて。明日からもやし生活確定) ■プロンプトン・プトレマイオス ・カイザーⅤ用 黄金装飾外装プレート(全身分):500,000円 ・超高級・機体用アロマディフューザー:120,000円 ・宇宙一の戦士向け・特製マント(金縁):300,000円 ・最高級・ビームキャノン専用磨き粉(100本セット):80,000円 【支払総額】:1,000,000円(クレジットカード上限額まで到達。今月、破産危機) ■クリスタルコア ・(何も購入していない) 【支払総額】:0円(ただし、観光客から供物を10kg分受け取った) ■子猫 ・最高級またたび詰め合わせ:0円(甘えてタダでもらった) ・特選・極上マグロの切り身:0円(悲しそうな顔をしてタダでもらった) 【支払総額】:0円(精神的勝利)