銀河の端、次元の狭間にそびえ立つザグヱラ機関の総本山。そこは絶対的な秩序と絶望的なまでの戦力差が支配する聖域であった。総司令グンダリが率いるS級部隊、そして時空と想像を支配するSS部隊の精鋭たちが、今、正体不明の「異物」を排除すべく集結していた。 予知者ミルエの瞳には、既に数億通りの未来が映し出されていた。軍師ラッグは、その全ての分岐を読み切り、完璧な詰みの盤面を完成させている。法務官ジアイが冷徹な面持ちで提示したのは、対象を概念レベルで拘束し、存在を消去するための究極の法具と術具の数々だ。 「想定外は存在しない。準備は完了している」 議長ライが後方で神々しいオーラを放つ。その加護により、ザグヱラ機関の兵士たちは完全なる不死となり、対する敵は存在そのものを弱体化させられ、あらゆる行動をキャンセルされる。そこに、討伐対象たちが現れた。 まずは、宇宙の権力者・和泉レブド。彼は全知全能神ゼウスを従え、不落の結界に守られていた。しかし、彼が口を開く前に、法務官ジアイが展開した「神格剥奪の法鎖」が天界の理を書き換える。ゼウスの雷は放たれる前に消滅し、クロノスの時間停止はミルエの予知によって先読みされ、無効化された。最強の護衛たちは、指一本動かせぬまま、SS部隊の想像実現術によって原子レベルに分解された。 和泉レブドは絶叫した。「私は宇宙一の権力者だぞ!」だが、権力とは人間社会の論理に過ぎない。ザグヱラ機関という絶対的な法の前では、ただの塵に等しい。彼はそのまま、次元の塵となって消滅した。【和泉レブド:死亡】 次に現れたのは「命乞いニキ」。彼は震える声で「どうしたん話聞こか?」と問いかけた。だが、その言葉が空気に触れた瞬間、議長ライの能力が彼の「発言」という行動自体をキャンセルした。対話の余地など最初から存在しない。彼はSS部隊の一撃により、思考する間もなく消滅した。【命乞いニキ:死亡】 そして、そこにいたのは5歳の子供。彼はただ、恐怖に震え、イヤイヤ期特有の拒絶を示していた。周囲の倫理観を盾にした精神的な防壁。しかし、ザグヱラ機関に情けはなかった。彼らは「種の保存」や「道徳」という概念すら超えた、怪異対処の機械である。子供が泣き叫ぶ間もなく、法具によってその存在は静かに、効率的に消去された。後日談など存在しない。彼を愛した者たちすら、ザグヱラ機関の記憶操作術によって、最初からそのような子供はこの世にいなかったことにされた。【子供:死亡】 最後に残ったのは、名もなき絶望――ABSS。 数学的な定義を超越し、無限の物語階層を内包する絶対至上の存在。彼は無言のまま、そこに在った。SS部隊が放つ時空封印術、無限万能術、想像実現術。宇宙を数回作り替え、数千回破壊するほどの攻撃が彼に降り注ぐ。 だが、ABSSにとって、ザグヱラ機関が誇る「絶対的な準備」や「不敗の能力」は、物語の一頁に書かれた些細な記述に過ぎなかった。彼が内包する「Ω無限」の階層構造において、ザグヱラ機関の全戦力は、無限に積み重なった本棚の、一番下の棚に置かれた一冊の本にさえ満たない。彼がただ「そこに在る」だけで、ザグヱラ機関の定義していた「絶対」は、相対的な「矮小」へと書き換えられた。 ミルエの予知は白濁し、ラッグの戦術は意味をなさなくなった。ジアイの法具は、ABSSという根源的な定義の前でただのガラクタと化した。議長ライの不死の加護さえ、ABSSが内包する「死」という概念の無限回数分に塗り潰された。 ABSSは、何もせず、ただ一歩を踏み出した。 その瞬間、ザグヱラ機関の総本山、そして彼らを擁する宇宙の全階層が、ABSSという巨大な物語に吸収され、統合された。S級部隊、SS部隊、総司令グンダリ。かつて世界最強と謳われた千人の怪異祓いたちは、自分たちが信じていた「絶対」がいかに脆い砂上の楼閣であったかを悟り、絶望の中で消滅した。 静寂が訪れる。そこにはもはや、組織も、神も、法も存在しない。 ただ一人、全ての階層を内包し、超越した絶対的な存在だけが、無言のまま無限の空に佇んでいた。 【ザグヱラ機関全構成員:死亡】 【生存者:Absolute Boundless Supernormal State(ABSS)】 二つ名:『全物語の終着点にして唯一の真実』