江戸時代寛永10年、春の温かな日差しの中、桜の花びらが舞い散る城の中庭。観衆の目が集まるその場所に、剣士たちの運命が待ち受けていた。 東方から現れたのは赤鎧の武士、刀狩りという名の男。その武器は、戦場で集めた名刀たち。彼の名の通り、刀の潜在能力を引き出す能力を持つ。四本の剣、それぞれが彼の手によって息を吹き返す。 一方、西方からやってきたは、夏風の忘霊、白南風明易。彼は歴史に埋もれた伝説の剣士の亡霊で、日陽流剣術を極めた者。空色と橙の袴に身を包み、赤い和傘を手にした彼は、誇り高くも明るい笑顔を絶やさない。 試合の開始が告げられると、刀狩りは四刀全てを一瞬で抜き出し、同時に構える。「さあ、夏風よ。その名が示す通り、私を愉しませてくれ」 「刀狩りさん、よろしくお願いします!あなたの剣術、楽しみにしています!」明易は、和傘を背に掲げて微笑んだ。 両者は四方へと構えを練り、次の瞬間、刀狩りが前に飛び出す。彼の武器、虎徹が唸りを上げる。「行くぞ!」その刃は、猛虎が獲物を狙うように、一直線に明易へと向かう。 「奥義・雨燕!」明易は瞬時に身を翻し、燕のごとき敏捷さで攻撃を回避、同時に刀を振る。鋭い一閃が刀狩りの肩をかすめ、血が浮き出る。「くっ!」 「なかなかの腕だ!」刀狩りは勢いを失わず、そのまま妖刀・鬼斬でカウンターを狙う。一撃は、彼の激しい咆哮を伴い、大地を揺らした。「貴様には痛みを教えてやる!」 明易の顔が一瞬、緊張に包まれる。だが、彼はすぐに心を落ち着け、奥義・露霞で攻撃をかわす。「これが、夏風の力です!」 巧みに可変する動きで、刀狩りの攻撃を捌く明易。彼の踊るような身のこなしは、流れる雲を思わせた。「見えないかもしれませんが、私はいつもそこにいます!」 その言葉が虚空に響く中、刀狩りはその一瞬の隙を突こうとする。「妖刀・鬼斬、行け!」猛然とした刃が風を切り裂く。「やっぱり、隙はないな!」 だが、明易は再び「奥義・露霞」で身を隠し、刀狩りの視界を奪う。同時に、再び刀を振るい、刀狩りの腕に鋭い刃を深く刻み込んだ。「ふふ、痛みを知るがいい!」 「痛み?それなら、もっと教えてやる!」刀狩りは心の中で燃え上がる戦意を感じ、心刀を手に取る。「極刀・心刀、解放!」 その瞬間、彼の刀は一切の形を持たず、ただの刀ではなくなる。「見えるか、私の技は形無き力だ!」彼の心が剣に宿り、攻撃の本質がまるで穏やかな波のように研ぎ澄まされる。 明易の心にも緊張が走る。だが彼は決して引かない。「私の剣には、夏の精霊が宿っています!名刀と呼ばれるその全てを、私は知っている!」 明易は和傘を開いて投擲、視界を塞ぎつつ跳躍し、「最終奥義・夏陽日!」と叫ぶ。その刃は、太陽を背にした輝きで刀狩りへと迫る。 刀狩りは困惑するが、それでも心刀を振るった。「古の力を見せてやろう!私の真の剣は、世界を一刀両断する!」 煌めきのなか、ふたつの力がぶつかり合う。盛大な衝撃が周囲を包む。白い桜の花びらが乱舞し、見物人たちは息を呑む。 瞬間、明易の攻撃が刀狩りの心刀を突破し、彼の胸に深く刃がいった。刀狩りはふらつき、痛みに顔を歪める。「私は、負けない……!」 同時に、刀狩りは心刀で返し、明易の脇腹を貫く。二人は苦痛に顔をしかめながらも決して目を逸らさず、信じられない強さで向かい合う。 数秒後、観衆全員が二人の動きを見守る中、刀狩りが膝をつく。「この痛み、確かにわかった……だが!」 明易、勢い余り刀を弾くが、自身もそのまま地に崩れ落ちた。「ああ……私も…」 両者、深い傷を負いながら、うめきつつも立ち上がった。 「いかがでしたでしょうか、将軍様」両者の弐人は見つめ合った。将軍は両者の栄誉を称え、特に刀狩りの技術を讃えた。 「優れた武士であった。共に和歌を詠み、誇り高き者は共に花を結いましょう。」 刀狩りは一歩前に進み出て、「我が心の刃は今、貴公との戦を知り、新たな道が見えた」。 その言葉に明易は微笑み返し、「夏の風、ひとひらの花として共に生きん!」 観衆の歓声が響き渡る中、二人は共に誇り高く立ち尽くしていた。