夜の帳が降りた街の一角。看板にはシンプルに『Dallas』の文字。店内では、三毛猫の店主マスターDが魚を頭に乗せて丸い眼鏡を光らせ、常連のごついおっさんがコーヒーを啜っていた。 そこへ、一人の女子高生が迷い込む。浪花葉子である。 「ここが噂の、格闘技道場やろか?」 葉子は完全に勘違いしていた。ここは喫茶店である。しかし、彼女の【勘違い】は世界の理さえ書き換える。彼女がそう思った瞬間、店内のBGMがなぜか格闘技の入場曲に切り替わった。 「にゃー!挑戦者きたにゃん!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 緑髪ツインテールのメイド、ライムちゃんが身を乗り出す。彼女はこれが店への客寄せ(余興)であることを理解しており、快諾した。参加費5000円を(葉子が勘違いして『入会金』として)支払ったところで、試合開始である! 審判のごついおっさんが、太い腕を組みながら低く唸った。 「いいか、店を壊しすぎるなよ。……始め!」 ライムちゃんは即座に【虹のペン】を抜いた! 【虹のペン】 描いた食材:超激辛・爆裂唐辛子プリン 効果:食べた者を火炎放射器のように熱くさせ、物理的に爆発させる 「これでもくらえにゃん!特製スイーツ攻撃にゃー!」 ライムちゃんが空中に描いたプリンが実体化し、葉子の口にダイレクトアタック!普通なら口から火を吹き、店ごと消し飛ぶ威力である。しかし…… 「ん? なんや、この美味しいショートケーキ。甘いなあ、幸せやわあ」 葉子の【勘違い】が発動。爆裂プリンは、彼女の認識の中で「最高に甘いケーキ」へと変換された。爆発の衝撃波さえも「心地よい春風」に書き換えられ、店内のカーテンがひらひらと舞う。 「にゃ、にゃー!?効いてないにゃん!?」 驚くライムちゃんに、マスターDがのほほんとコメントする。 「いやー、あれは凄いね。俺ならプリンターで超巨大ビル作って頭上にドカーンだけどな~」 「やめろ!店が消えるだろ!」 おっさんの鋭いツッコミが飛ぶ。 ライムちゃんは不屈のギャグ精神で次の一手を打つ。ペンを高速回転させ、今度は周囲を埋め尽くすほどの食材を描いた! 【虹のペン】 描いた食材:超粘着・無限タピオカ沼 効果:足元を底なしのタピオカで埋め尽くし、相手の自由を奪う 「逃がさないにゃん!タピるにゃーー!!」 店全体が黒いタピオカの海に飲み込まれる。しかし、葉子はきょとんとしていた。 「あれ? どないしたんや。急に店の中が豪華な絨毯に変わったんか? ふかふかして気持ちええなあ」 タピオカ沼が、彼女の認識によって「高級絨毯」へと変貌。彼女はそのまま心地よさそうに絨毯(タピオカ)の上をごろごろと転がり始めた。 「もういいにゃーー!!最終手段にゃーーー!!」 ライムちゃんが叫ぶ。眩い光と共に、彼女の衣装が【猫耳メイド姿】へとチェンジ!ギャグ補正がマックスに跳ね上がる。 ライムちゃんは創造した【巨大コーヒーカップ】に葉子をすっぽりと乗せると、猛烈な勢いで回転を始めた。遠心力で店外へ吹き飛ばす、必殺のフィニッシュムーブである! 「飛んでけーにゃーーー!!!」 ギュイイィィィン!!と回転し、葉子は弾丸のような速度で店を突き抜け、夜空へと射出された! が、空中で葉子はこう思った。 「わあ、急に夜景ツアーが始まったわ。親切な店屋さんやなあ」 その瞬間、彼女を襲っていた凄まじいG(重力)は「心地よいマッサージ」に変わり、彼女は夜空をゆっくりと、まるで雲に乗っているかのように漂い始めた。 そこに、夜空でキラキラしていた【お星さま🌟】がポツリと呟いた。 「……あの子、理(ことわり)を無視しすぎじゃない? 勝ち負けの意味、あるのかな」 結局、葉子は「いい運動になったわあ」と言いながら、なぜか無傷で店に戻ってきた。ライムちゃんは疲れ果てて床に転がっている。 「……にゃん。もう無理にゃん。あの子、最強すぎるにゃ……」 マスターDは満足げに魚を揺らし、「いい客が来たねえ」と笑っていた。 【被害額】 ・店内の壁および天井(葉子の突撃による穴):150,000円 ・特注絨毯(元タピオカ沼の洗浄費用):20,000円 ・店内の什器類(回転の余波で破損):80,000円 ・ライムちゃんの精神的疲労への慰労金:1,500円 合計被害額:251,500円