舞台は夜の喫茶店「Dallas」。時刻は19時。ライムちゃんが元気にシフトに入っている時間帯である。 店内では、頭に魚を乗せた三毛猫のマスターDがのほほんとカウンターを拭き、ごついおっさんが黒革のジャケットを揺らしてコーヒーを啜っていた。 そこへ、店外の空間が突如として歪み、超次元的なバトルフィールド『雑木林(全長2万km)』が店内に(無理やり)展開された。同時に、人類の天敵である体長2kmの【象】と、人類の味方である体長150mの【麒麟】が召喚される。 「にゃー!なんだかすごーいことになってるにゃん!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ライムちゃんは混乱するどころか、目を輝かせて虹色のペンを取り出した。一方、客(観客)である我々は、雑木林のルールにより即座に『石』へと変えられ、ただただ状況を見守る置物と化した。 【試合開始】 審判を務めるごついおっさんが、石化した我々を横目にどっしりと構えて声を張り上げる。 「いいか!ルールは簡単だ!麒麟が勝てばお前らの勝ち、象が勝てばお前らの負けだ!……って、おい!いきなり始まるぞ!」 麒麟が「キリンビールとじゃがりこが飲みたいなぁ」と呑気に空を眺めていたその時。体長2kmの巨躯を持つ象が、愛嬌たっぷりに、しかし殺意に満ちた声で呟いた。 「パオ♥」 ドッガァァァーーーン!!! 速攻である。あまりにも速攻すぎた。象の一撃が麒麟を文字通り「ペッタンコ」に踏み潰した。抵抗など一切ない。麒麟は静かに、そしてあっけなく敗北した。 【判定:象の勝利 = 相手(我々)の負け】 「あーあ、終わっちゃったにゃん。拍子抜けだにゃー」 ライムちゃんが肩をすくめる。すると、石化した我々の絶望をよそに、マスターDがのほほんとした口調で言い出した。 「まー、象が強すぎたねぇ。でも、俺ならプリンターで超巨大ビル作って頭上にドカーンと落として、象ごと圧殺するけどな~」 「おい、やめろ!店を壊すな!!」 ごついおっさんの鋭いツッコミが飛ぶ。もはや誰が誰を戦わせているのか分からない混沌とした状況に、ライムちゃんが「ここで決めどきにゃん!」と叫んだ。 【虹のペン:発動】 描いた食材:『超特大・激辛・爆裂おもち』 効果:食べた者を気絶させ、同時に周囲を爆破するギャグ爆弾 「えいっ!にゃーん!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ライムちゃんが空中に描いた巨大おもちが実体化し、象の口にダイブ! 「パオ!?(アツーーー!!)」 ここでライムちゃんの真骨頂【猫耳メイド姿に変身】が発動!ギャグ補正がMAXに達し、彼女はどこからともなく出現させた【巨大コーヒーカップ】に象(と、潰れた麒麟)を無理やり詰め込んだ。 「回転回転~!バイバイにゃん!!」 猛烈な回転。遠心力。そして―― シュゥゥゥゥゥン!!!(吹っ飛ぶ音) 象と麒麟は店外の夜空へと一直線に射出され、星となった。 その様子を見ていた夜空の【お星さま🌟】が、キラキラと輝きながら囁いた。 「(……完敗だね。ギャグ補正には勝てないよ🌟)」 こうして、喫茶店Dallasの夜は(物理的に激しく破壊されながら)更けていくのであった。 * 【被害額詳細】 ・店内什器(雑木林展開による損壊):1,200,000円 ・床面(2kmの象に踏まれた衝撃):5,000,000円 ・窓ガラス全損(超高速回転の風圧):300,000円 ・麒麟のじゃがりこ代(お詫び):108円 ・合計:6,500,108円 ※なお、ライムちゃんの収入としてマスターDから1,500円が支払われました。