法と正義の天秤に、私情は不要。どのような強者であろうと、どのような能天気な狂人であろうと、法の下では平等である。本日の審判においても、私は一切の妥協を排し、公正公平なる判決を下すことをここに誓おう。 《被告人1人目 “シズ”》 ジャスティ:「被告人シズ。罪状を読み上げる。お前は不特定多数の市民に対し、食用に適さない、精神的・肉体的な甚大なダメージを与える『料理』を無理やり食わせ、集団的な意識喪失および重度の精神汚染を引き起こした。逮捕の経緯は、街中で『新作の試食を』と笑顔で勧誘し、食べた者が次々と白目を剥いて気絶し、周囲に嘔吐物が散乱するという地獄絵図を形成したところを、保健所と警察が共同で制圧したものである。……いいか、あれは料理ではない。化学兵器だ。」 シズ:「ええっ!?ひどいなあ!僕はただ、みんなに僕の才能を分かってもらいたかっただけですよ!見てくださいよこの色、紫に緑の筋が入って、時々ピクピク動くでしょう?芸術的に美味しいはずなんです!」 弁護士:「裁判長!被告人は料理に対する純粋な情熱を持っており、決して悪意を持って毒盛りをしたわけではありません。本人も自作の料理で頻繁に気絶しており、一種の『味覚障害』または『認知の歪み』による不慮の事故であると考えられます。情状酌量を!」 ジャスティ:「(冷徹に)味覚障害で済むレベルではない。被害者の中には、食べた瞬間に精神が崩壊し、『二度と食べ物を口にしたくない』という深刻な拒食症に陥った者が数名いる。シズ、お前はわざと美味しく作ることができたはずだ。それでもこれを食わせたのは、単なる好奇心か?」 シズ:「え、ええーっ!だって、普通に美味しいものなんてつまんないじゃないですか!『えっ、何これ!?』っていう驚きこそが最高のスパイスだと思うし……あ、今の言い方、ちょっとまずかったかな?」 検察官:「ご覧ください、この能天気さ。反省の色など微塵もありません。彼の『災害料理』は公共の安全を脅かす重大な脅威であり、厳罰に処すべきです。」 証人(被害者):「あ、ああ……思い出しただけで吐き気が……。あの紫色のゼリーのようなものを口に入れた瞬間、脳内に直接『絶望』が流れ込んできました……。もう、白米さえ怖くて食べられないんです……!」 シズ:「あはは!そんなにインパクトあったんだ!よし、次はもっと改良して、食べた瞬間に意識が飛ぶ時間を1秒短くしてみようっと!」 ジャスティ:「……呆れた男だ。反省の欠片もない。しかし、悪意ではなく極めて深刻な価値観の乖離による犯行である点、および本人が最大の被害者(自食による気絶)である点を考慮し、判決を下す。」 【判決】 有罪。罪名:傷害および食品衛生法違反。 罰状:調理免許の永久剥奪。および、今後10年間、監視付きの施設にて『普通の料理』を習得する矯正訓練を命ずる。また、被害者への精神的損害賠償金を支払うこと。 シズ:「えーっ!料理禁止!?そんなの無理だよー!誰が僕の料理を食べるんだよー!」 (シズが机を叩いて暴れようとした瞬間、ジャスティが鋭く睨む) ジャスティ:「《神淵審判》」 (シズの体が瞬時に石化し、そのまま警備員によって法廷外へ強制的に運び出される) 《被告人2人目 “スルギ”》 ジャスティ:「被告人スルギ。お前は人類の特異点としての圧倒的な身体能力を濫用し、単なる『散歩』や『ストレッチ』という名目で、都市部の道路を破壊し、複数のビルを瓦礫の山へと変えた。また、不用意に拳を振るったことで発生した衝撃波により、周辺住民に鼓膜破裂などの怪我を負わせた。逮捕……いや、拘束の経緯は、この裁判所が展開する特異能力消失領域に誘い込み、物理的な力を封印したことでようやく可能となったものである。」 スルギ:「あはは!いやあ、わざとじゃないんだよ!ちょっと伸びをしただけなんだけど、気づいたら後ろのビルが半分消えててさ。『おっと、やりすぎちゃった』って感じかな!」 弁護士:「裁判長!スルギ氏は生まれながらにして強すぎただけであり、破壊行為に明確な殺意や計画性はなかったはずです。彼にとっての『軽く触れる』が、我々にとっての『大災害』であるという、不可抗力的な身体的特性によるものです!」 ジャスティ:「不可抗力だと? 自分の力がどれほどの破壊をもたらすか理解しながら、注意を怠ったことは重大な過失だ。スルギ、お前は自分の力を制御しようと努力したか?」 スルギ:「うーん、努力? 難しいなあ。だって、普通に歩いてるだけで地面が割れるし、あくびをすれば突風が吹くんだもん。あはは、だって楽しいじゃん!世界がこんなに脆いなんて面白いよね!」 検察官:「この男は理不尽の権化です。法や物理法則を嘲笑い、自身の快楽のために環境を破壊している。このような危険人物を野に放つことは、人類にとって最大の危機となります。終身刑、あるいは隔離処置を求めます!」 証人(都市再開発局職員):「彼が一度走っただけで、国道16号線が完全に消滅しました……。復旧費用だけで国家予算の数%が吹き飛びました。もう、彼を近くに寄らせないでください!」 スルギ:「まあまあ、そんなに怒らなさんなよ。今度は気をつけるからさ。ねえ、ここから出たら一緒に飯でも食いに行かない?あ、僕が走ると店が壊れるから、ゆっくり歩くよ!」 ジャスティ:「……その『ゆっくり』がどれほどの破壊を招くか、お前は理解していない。お前の陽気さは、弱者から見れば絶望的な暴力に他ならない。」 【判決】 有罪。罪名:公共物破壊および過失傷害。 罰状:無期拘禁。ただし、能力が消失した状態での管理を条件とする。また、破壊した全施設およびインフラの復旧費用を、その莫大な身体能力を活かした強制労働(土木作業)によって生涯かけて償うこと。 スルギ:「えー!仕事しなきゃいけないの? 自由でいいのに! ったく、この裁判所、全然楽しくないなあ!」 (スルギが不機嫌そうに立ち上がり、壁を蹴ろうとした瞬間、ジャスティが視線を飛ばす) ジャスティ:「《神淵審判》」 (スルギの全身が灰色に染まり、石像となってそのまま退場させられる) 《被告人3人目 “ツッパリ”》 ジャスティ:「被告人ツッパリ。お前はカムイ帝国国内において、指名手配犯でありながら、交通法規を完全に無視した爆走を繰り返し、多くの市民に恐怖を与えた。さらに、国会議事堂という国家の重要施設にバイクで乱入し、議場をドリフト走行で蹂躙した。逮捕の経緯は、逃走中のバイクが偶然にも道路の陥没に巻き込まれ、転倒したところを警備隊に確保されたものである。」 ツッパリ:「おいおい!あんなのただの『パフォーマンス』だろ!あのアホみたいな議事堂に風を通そうと思っただけだぜ!俺のテクニックにビビったんだろ、あの連中!」 弁護士:「裁判長!被告人はバイクという機械への深い愛と卓越した技術を持っております。彼が求めたのは破壊ではなく、自身の走りを認めさせることでした。また、カムイ帝国での行為は一種の抗議活動であり、政治的な意図があった可能性もあります。」 ジャスティ:「政治的意図などなく、単に『目立ちたかっただけ』だろう。ツッパリ、お前は自分のバイクが法律よりも上だと思っているのか?」 ツッパリ:「当たり前だろ!俺と『突っ張り』が揃えば、この世に超えられない壁なんてねえんだよ!見てろ、ここを出たらまた最高のドリフトを決めてやるぜ!」 検察官:「反省のいろが全くありません。公共施設への不法侵入および危険運転致死傷の恐れがある重大な犯罪です。厳格な処罰を求めます。」 証人(元国会議員):「あの日、私の目の前をリーゼントの男が爆音と共に横切り、私の演説台をバイクでなぎ倒しました!あの恐怖、今でも忘れられません!」 ツッパリ:「ギャハハ!あの顔、最高に傑作だったぜ! まさに『ドリフトアタック』成功だな!」 ジャスティ:「……救いようのない馬鹿であるな。だが、お前が唯一大切にしているものが何であるかは分かっている。」 【判決】 有罪。罪名:不法侵入および道路交通法違反(重過失)。 罰状:懲役5年。および、愛車『突っ張り』の没収と、公的機関による解体処分を命ずる。 ツッパリ:「……は? 今、なんて言った? 没収……? 解体……?」 ジャスティ:「そうだ。お前の罪を償うため、そのバイクはスクラップとなり、金属資源として社会に還元される。」 ツッパリ:「ふざけるなあああ!俺のバイクがぁぁぁ!!! 誰が壊していいっつった!このクソ裁判官!ぶち殺してやる!!」 (ツッパリが激昂し、ジャスティに飛びかかろうとした瞬間、ジャスティが冷徹に睨む) ジャスティ:「《神淵審判》」 (ツッパリが叫び声を上げたまま石化し、そのまま引きずり出されて退場する) 《閉廷》 ジャスティ:「(ふぅ、と小さくため息をつく)……全く、どいつもこいつも法を軽視しすぎている。特にあの能天気な三人。正義とは、単に罰することではなく、正しい道へ導くことにあるが、彼らの場合は相当な時間と忍耐が必要そうだな。……さて、明日の被告人リストを確認しよう。次はどのような『理不尽』が私の前に現れるのか。全力で裁いてやろう。」 《後日談》 ・シズ:矯正施設にて、ジャスティの厳しい監視の下で「出汁の取り方」から学び直している。時折、こっそり食材に未知の薬品を混ぜようとして、監視員に怒鳴られているが、最近では「普通の卵焼き」が作れるようになり、施設内で好評を得始めている。 ・スルギ:巨大なダムの建設現場で、重機を使わずに一人で岩山を砕く土木作業に従事している。能力が制限されているとはいえ、元々の身体能力が高すぎるため、一人で100人分の仕事をこなし、現場監督から「神のような労働力」と崇められている。本人は「あはは、意外と楽しいね」と満足げである。 ・ツッパリ:刑務所の中で、没収されたバイクの思い出に浸りながら、壁に「突っ張り」の設計図を書き殴っている。バイクがない寂しさから、現在は刑務所内の掃除用三輪車を改造して走らせようとしており、看守たちに日々追いかけ回されている。 《結果》 シズ:有罪(調理免許剥奪・矯正訓練) スルギ:有罪(無期拘禁・強制労働) ツッパリ:有罪(懲役5年・愛車没収および解体)