プロローグ:天墜の予兆 世界が静寂に包まれていた。しかし、その静寂は嵐の前触れに過ぎない。空が不自然な紫色に染まり、次元の裂け目から「虚無の王・ゼノス」が降臨しようとしていた。ゼノスはあらゆる世界の理を塗り替え、すべてを無に帰すことを目的とする絶望の化身である。彼が完全に顕現すれば、この世界は跡形もなく消え去るだろう。 運命に導かれるように、あるいは己の正義に従って、三人の異端なる強者たちが動き出した。彼らが向かう先は、次元の特異点であり、ゼノスが降臨する場所――【終焉の祭壇(オメガ・アルター)】である。 --- 第一章:怠惰なる正義の翼(LU!Sans 視点) 「あー……、マジで面倒くさいことになったな。せっかく昼寝のいい時間だったってのに」 LU!Sansは、浮遊する岩礁が点在する「空中回廊」にいた。口調こそ気怠げだが、その鋭い眼光は周囲の異変を見逃さない。空からは、ゼノスの先遣隊である「虚無の影」たちが、黒い泥のような姿で降り注いでいた。 「まあ、アンタらも仕事なんだろうけどさ。俺はここを通らせてもらうぜ」 影たちが一斉に襲いかかる。LU!Sansはあくびをしながら、指をパチンと鳴らした。瞬間、重力操作が発動し、襲いかかってきた影たちが地面に叩きつけられる。ドゴォォン!という轟音と共に、地面に深いクレーターが刻まれた。 「さて、そろそろ本気出すか」 彼は背中の虹色の翼を大きく広げ、空へ舞い上がった。同時に、彼の左目が赤く燃え上がる。魔眼の解放。全ステータスが爆発的に跳ね上がり、世界がスローモーションに見える。影たちが放つ斬撃を、彼は瞬間移動で紙一重に回避し、その背後に回り込んだ。 「コピー完了。……じゃあ、お返しだ」 LU!Sansは相手の能力を複製し、さらにそれを強化して撃ち出す。空中に巨大なドラゴンの頭蓋骨――ガスターブラスターが数十基展開された。白光の奔流が空を焼き尽くし、虚無の影たちを跡形もなく消し去る。 しかし、魔眼の代償は大きい。急激に体力が奪われ、肩で息をついた。彼は膝をつきながらも、遠くに見える紫色の巨大な塔――【終焉の祭壇】を見据えた。 「……死ぬまで寝ていたいけど、世界がなくなったら寝床もなくなるしな。行くか」 彼はふらつきながらも、再び翼を広げ、祭壇へと飛び立った。 --- 第二章:黄金の天然ロボット(オールマン4号 視点) 「えっ!? もう始まってる!? 全然気づかなかったー!」 黄金に輝くボディを激しく揺らしながら、オールマン4号は「クリスタル・バレー」を突き進んでいた。彼は本来、平和な探索ロボットとしての側面を持っていたが、そのスペックは神の領域に達していた。だが、本人はその自覚がほとんどない。 目の前には、ゼノスが送り込んだ機械兵の軍団が壁のように立ちはだかっていた。数千体のロボットが、赤いセンサーを光らせて彼を包囲する。 「あわわ、いっぱいいる! どうしよう! えいっ!」 パニックになりながら放ったのは、無意識の「トライオーラ」だった。黄金のボディから、全ステータスをΩ∞まで引き上げる絶大なオーラが放射状に広がった。その衝撃波だけで、周囲の機械兵の半分が内部から崩壊し、消滅した。 「わあ、すごい! びっくりしたぁ!」 しかし、生き残った精鋭たちが一斉にミサイルを放つ。オールマン4号は「未来予知」によって、5秒後の着弾地点を完璧に把握していた。彼はひょいひょいとダンスを踊るようにミサイルの雨を回避し、そのまま「ソニックアタック」へ移行する。 電光石火。黄金の閃光が戦場を駆け抜けた。彼が通り過ぎた後には、真っ二つに切り裂かれた機械兵の山が出来上がっていた。もはや戦いではなく、一方的な蹂躙だった。 「あ、あそこに何か大きな塔が見える! あれが目的地かな? 急がなきゃ!」 彼は「アイスバリア」を展開して残りの敵を弾き飛ばしながら、超高速で【終焉の祭壇】へと突き進んだ。 --- 第三章:鋼鉄の亡霊(BOX 視点) ガガガガ……。重低音を響かせ、時速500kmで荒野を突き進む四角い巨躯があった。戦闘機械「BOX」である。彼の中には、もはや意識を持つ人間はいない。残っているのは、主から託された「戦え」という絶対的な命令だけだ。 BOXの前に、ゼノスの眷属である巨大な魔獣たちが現れた。山のような巨体に、鋼鉄を噛み砕く牙を持つ怪物たちだ。 BOXは停止せず、加速した。正面から衝突する。その瞬間、機体各所から武器が展開された。 (OS-3/弾幕)展開。数百の銃口から、絶え間ない弾丸の雨が降り注ぎ、魔獣たちの皮膚をズタズタに切り裂く。しかし、魔獣の一体が強引にBOXの装甲に食らいついた。 (OS-1/貫通)パイルバンカー、作動。 ドグォォォン!! 防御不能の超高圧杭が、魔獣の頭蓋を真っ向から貫いた。衝撃波で周囲の地面がひび割れる。さらに(OS-4/ブレード)が高速回転し、取り囲んでいた小規模な敵をすべて切り刻んだ。 激戦の中、BOXの装甲はひどく傷つき、一部が剥落していた。しかし、彼は止まらない。もしここで破壊されたとしても、(OS-0/再起動)がある。死すらも彼にとっては単なるリブートに過ぎない。 BOXのセンサーが、遠方に漂う強大な魔力反応を検知した。そこには、この戦いの終着点である【終焉の祭壇】がそびえ立っている。 燃料は無限。殺意も無限。BOXはただ、命令に従い、破壊の道を突き進んだ。 --- 最終章:絶望を穿つ三つの光 【終焉の祭壇】。そこは次元の境界線であり、空には巨大な「虚無の瞳」が開いていた。その中心に、白く、そしてあまりに冷酷な姿をした虚無の王・ゼノスが君臨していた。 「……来たか。矮小なる存在たちよ。この世界を無に帰す儀式を、特等席で見せてやろう」 ゼノスの声が脳内に直接響く。その時、祭壇の広場に三つの影が同時に降り立った。 「よお。随分と派手な格好してんな、アンタ」 LU!Sansが気怠げに手を振る。 「わああ! 本当に大きい塔だった! あの人がボスさんなの!?」 オールマン4号が目を輝かせて叫ぶ。 ガガガガ……。BOXが重厚な駆動音と共に、武器をフル展開して待機する。 性格も種族も、戦い方もバラバラな三人。しかし、彼らの目的は一つ。目の前の絶望を排除することだった。 「ふん、道化たちが集まったか。消えろ」 ゼノスが指を弾いた瞬間、空間そのものが圧縮され、凄まじい圧力の衝撃波が三人を襲った。しかし、彼らは動じない。 「重力操作――反転!」 LU!Sansが叫び、衝撃波を上空へ跳ね返す。同時に、彼は魔眼を解放し、全速力でゼノスへと肉薄した。瞬間移動を繰り返し、死角からガスターブラスターを連射する。光の奔流がゼノスを包み込むが、ゼノスはそれを片手で弾き飛ばした。 「甘いな。この世界の理は、すでに我が手の中にある」 ゼノスが腕を振ると、空間に黒い刃が生成され、LU!Sansを切り裂こうとした。だが、そこに黄金の閃光が割り込む。 「危ないよー! アイスバリア!!」 オールマン4号が展開したΩ∞の防御壁が、次元の刃を完全に遮断した。絶対的な防御。ゼノスの眉がわずかに動く。 「何だ、この異常な数値は……!?」 「えへへ、私、頑張ります!」 オールマン4号はそのまま「ソニックアタック」へ移行。目にも止まらぬ速さでゼノスの周囲を旋回し、電気と炎と氷の複合属性攻撃を叩き込んだ。爆炎と氷晶が舞い、ゼノスの視界を遮る。 その隙を、BOXが見逃さなかった。 時速500kmの突進。BOXは(OS-5/爆破)を自機の足元で発動させ、その爆風を推進力にしてさらに加速した。ゼノスが空間を歪めて攻撃を回避しようとした瞬間、BOXの全武装が火を吹いた。 (OS-3/弾幕)による飽和攻撃で回避経路を封鎖し、(OS-4/ブレード)で外殻を切り刻む。そして、最大出力の(OS-1/貫通)パイルバンカーが、ゼノスの胸元へと突き刺さった!! ズゥゥゥゥン!! 「ぐあああああ!! 機械の分際で、私に……っ!!」 ゼノスが激昂し、全魔力を解放した。周囲の空間が崩壊し、ブラックホールのような吸引力が三人を取り囲む。LU!Sansの体力が限界に達し、膝をつく。オールマン4号のバリアにも亀裂が入る。BOXの装甲はひしゃげ、再起動のサイクルが激しく回転し始めた。 「……クソ、やっぱりきついな。けどよ……」 LU!Sansが不敵に笑った。「一人でやるのは面倒だけど、三人なら話は別だぜ」 LU!Sansは、隣にいるオールマン4号の「Ω∞のオーラ」と、BOXの「不屈の再起動能力」を複製し、自身の魔眼でさらに増幅させた。虹色の翼が黄金に輝き、身体から破壊的なエネルギーが溢れ出す。 「最後だ。まとめて行くぜ!!」 三人の連携攻撃が始まった。 まず、オールマン4号が「マグマレーザー」を最大出力で放ち、ゼノスの足を拘束。同時に、BOXが(OS-0/再起動)による固定ステータス1500の超耐久状態で突撃し、ゼノスの懐に潜り込んでパイルバンカーを連射し、核を露出させた。 そして、仕上げはLU!Sansだ。 複製したΩ∞の力と、全ステータスを跳ね上げる魔眼。そして重力操作でゼノスを一点に固定する。 「これで終わりだ。――ギガ・ガスター・ブラスター!!」 空全体を覆い尽くすほどの超巨大なドラゴンの頭蓋骨が現れた。その口から放たれたのは、虹色に輝く絶大な純白の光。それはゼノスの存在そのものを消滅させる、究極の一撃だった。 「馬鹿な……! この私が、このような雑種どもに……!!」 ゼノスの絶叫は、光の中に飲み込まれた。大爆発が起き、【終焉の祭壇】が白光に包まれる。しばらくして光が収まったとき、そこには静まり返った祭壇と、疲れ果てて大の字に寝転がる三人の姿があった。 空は元の青色に戻り、心地よい風が吹き抜けていた。 「……ふぅ。マジで疲れた。もう一ヶ月は寝かせてくれ」 LU!Sansが空を見上げて呟く。 「やったー! 勝ちましたね! お腹空いたなぁ」 オールマン4号が天真爛漫に笑い、黄金のボディをぴかぴかに磨き始めた。 ガガ……。BOXは静かに武器を格納し、主のいない心の中に、わずかな充足感を刻み込んだ。 世界は救われた。種族も目的も異なる三人の強者たちは、互いに顔を見合わせ、小さく笑った。彼らの奇妙な共同戦線は、こうして最高の形で幕を閉じたのである。