荒れた海岸。海の音が鳴り響き、荒波が岩を打つ音が耳をつんざく。空は灰色の雲に覆われ、光はほとんど差し込まない。岸辺では、海神御海と2人の勇者、並行世界の迷い猫エルン・シュレーディンと元奇術師ふぇいMax.3が、互いに緊張感を漂わせつつ対峙していた。 御海はその巨体から発する威厳に満ちた存在感を放っていたが、エルンとふぇいはその不自然な形の一体感を持った姿に圧倒されることはなかった。彼女たちには、それぞれの能力と希望があった。 「さあ、待たせたふぇい。私の未来予知を見せてあげることにする。」エルンは不安定な笑みを浮かべながら、海の神を見つめた。彼女のホログラムのような姿が、周囲の空気をゆらめかせる。わずかに見る者の視線を奪い、幻想のような妖艶さを放つ。 「私も邪魔をさせていただく!神を相手にするのは難しいが、妹を守るためならどんな試練もいとわないふぇい!」ふぇいMax.3は自らのタキシードを整え、シルクハットを高く掲げた。彼女の目は決意に満ち、シスコンらしい妹への愛情も見え隠れしている。 御海が、その象り出した『海神之鑓』を両手で構えると、周囲の海水が急に渦を巻き、三又の槍が海水の中から生成され、静かにその先端に神力を宿らせた。 「我は、海の神。この大海を守る者なり。」御海の言葉が響き渡ると、彼の背後から巨大な波が襲い、エルンとふぇいを飲み込もうとした。 しかし、エルンは事前にこれを予知していた。彼女は瞬時に次元を外れ、自らの能力で「生きても死んでもいない」状態に入った。この状態では、相手は自分に対して全てを無視せざるを得なくなる。彼女はその隙間を突いて急速に接近し、同行するふぇいに指示を出した。 「ふぇい、私の次元を使って海神の神力を干渉しよう。あの槍の奇襲を避けるんだ!」 「了解!行くよ、クラスター!」ふぇいは力強く歌い上げ、タキシードから放たれる魔法のエネルギーが空中で弾ける。無数の衝撃波が御海の方へと飛び出し、彼の動きを妨げようと襲いかかった。しかし、御海はその衝撃を軽々と受け流す。 「無駄な足掻きよ。」彼は冷静に言った。その言葉の後、言葉通りに槍を振るい、衝撃波を打ち消していく。しかし、その動きが続くにつれ、エルンは自分の状態を維持したまま、次の一手を計画していた。 その時、エルンは自らの能力を使用し、彼女が「呼び出した世界」から死の次元を呼び寄せる。彼女の潜在能力から生まれた次元の影が、御海の足元に迫り、彼の足を踏みつけようとする。 「我は不死なり!」御海はもう一度言い放った。すぐに彼の体が光を放ち、彼は再生を始める。次元の影が彼に触れることはなかったが、その光景はエルンに甘美な楽しみを与えた。 「これで終わるわけではない。ふぇい、今度はあれを使うよ。」エルンはふぇいに命令を下す。ふぇいもそれに応じ、現在の状況が整ったと目算し、彼女の奥義を放つ準備を始めた。 「私の力を見せる時が来た。ふぇい•フィル•フィスト!」ふぇいが放つ魔力の奔流が、時間を逆行させていく。御海は次元外からの奇襲に戸惑い、何も理解できぬまま攻撃を受ける準備を余儀なくされる。 ふぇいの攻撃が放たれる瞬間、彼女は全力を使い果たし、海神の存在の根源を圧倒する。 その瞬間、荒れた海岸の空気が静止した。御海は手を挙げ、次元を逆転させる力の前に立たされ、彼が何も出来ない隙をつくる。彼の巨体は、まるで一瞬で古代の神話のように消え去るようだった。 やがて、海が静まり、ふぇいとエルンは見詰め合った。 「ふぇい、勝ったね。」エルンは笑みを浮かべ、しなやかに人間の姿に戻り、無惨な御海の消滅を見つめていた。 「妹のために戦ったからこそ勝てたふぇい。私の願いはここにあるのだ。」ふぇいも嬉しそうに応じた。 勝者はエルン・シュレーディン、そしてMVPはふぇいMax.3。