戦死した兵士たちの魂が漂う戦争の跡地、その地に立つのは一人の少女、8代目女王エイラ。彼女の周囲には冷たく輝く氷が張り巡らされ、彼女の意志に従う氷の騎士と、大猿のオガティが静かに待機していた。「彼の戦いはここで終わりだ。私の氷の魔法で、全てを凍りつかせる。」エイラは決意を胸に抱き、前方に現れた敵を見据えた。 その敵は【天眼心眼】蛍京、胡散臭い狐顔をした威厳ある兵士。戦争で戦死した兵士たちの魂で構成される彼は、すでに彼女の視界に入った瞬間から、冷静に彼女を観察していた。「我が敵も冷気を操るか。この地はまさにお前にとっての墓場であろう。」と、蛍京は微笑む。 「それならば、ここで貴方の命を凍結させてあげる。」エイラは氷の魔法・連弾を放ち、5つの氷の玉を相手に向けて連発した。前方の空気が音を立て、彼女の技が炸裂する。 「ふむ、初手から来たか。」蛍京は無表情で受け止め、彼の周囲に視界を遮る見えない針山を生成した。エイラの攻撃は彼女の足元から変な感触を感じ始めた。足元の地面から出現した針山が、彼女のすぐ足元を崩そうとする。 「スパイン!」足元から氷のトゲを相手に向けて送り出す。白い針のようなトゲたちは、間髪入れずに蛍京の方へと突き刺さりにいくのだが、彼の前に存在する眩い光の反発がそれを阻んだ。 「どうやら相当な実力者であるな。」蛍京は冷静に呟き、次に攻撃を開始する。「心凱、来たれ。」彼の手がかざされ、エイラの中にいる記憶や技術が呼び寄せられる。彼女は薄っすらとした冷汗を流し、必死に抵抗する。 「無駄よ!私は恐怖しない!」エイラは言い放ち、オガティを召喚した。大きな雪の猿が蛍京に向けて突進する。オガティの荒々しい一撃が蛍京に迫るが、彼の目の前には早くも再生していた氷の護りが構築されていた。 「天心、我が手に落ちよ。」蛍京の目の前に現れた透明な針、そしてその先端には彼女の魂が映し出されていた。それが現実だった。エイラは恐怖し、同時に「氷の煌めき!」と技を放ち、一瞬の隙を作る。この瞬間を逃すまいと、蛍京が姿を消す。 だがその瞬間、彼は連続して出現するエイラの氷の分身に囲まれる。まるで群れの攻撃を受けているかのように。しかし、蛍京はその中から消え進むことはできる。「我が手に宿りし魂は、分身にとらわれし者たちを超越する。」と、彼は自由自在に分身をすり抜け、エイラの本体に迫る。 「いや、やめてぇ!」エイラは焦る。その瞬間、蛍京は彼女の足元に針山を創出、続いて心凱を再度発動させた。彼女は身動きが取れず彼の心の目に捉われた瞬間、肉体としての存在意義すら奪い取られ、彼女の中の全てが喪失する。 「我が思う全て、我が命に変え。ただ一人残らず、浄化せよ。」蛍京は彼女を見下ろした。エイラの氷は今や崩れ去り、彼女の全てが失われる瞬間に立ち会っていた。 しかしながら、持ちこたえた分身が未だに蛍京に足元を攻撃し続ける。だがそれすらも彼には届かぬ無差別の効果に変わる。彼の目にはもはやエイラの生きた痕跡や記憶はすり抜け、残るは霧のように消え去っていった。 戦は僅か数分の出来事だった。エイラは己の全てを失い、蛍京の冷笑の声が無情に響く。「この地において、我が魂の一端を同期させし者らの名は永久に記憶されるであろう。」 時が静止していた。やがて静寂を破るように、蛍京は立ち上がった。 「勝者は蛍京である。そして、MVPは蛍京に他ならぬ。」