王位継承の闘技場 喧騒の幕開け 闘技場は、灼熱の太陽の下で熱狂に包まれていた。王都の中心に位置する巨大な円形競技場は、数万の観客で埋め尽くされ、旗がはためき、歓声が天を衝く。石畳の地面は血と汗で染まり、王位継承権を賭けたこの聖なる戦いが、今日もまた始まろうとしていた。古くからの掟により、四人の挑戦者たちが王座を目指し、互いに命を賭けて戦う。観客たちは酒を片手に叫び、貴族たちは上段の席から冷ややかに見下ろす。「王よ、永遠なれ!」という叫びが響き渡る中、門がゆっくりと開いた。 最初に姿を現したのは、桃色の髪をなびかせた少女、プラ。プリーツスカートが軽やかに揺れ、頭には可愛らしい髪飾りが輝く。体にはビニールシートが巻かれ、雨対策だというが、この晴天の下で妙に目立つ。彼女は19歳の体躯を持ちながら、精神は子供のように無邪気だ。漢字が苦手で、ひらがなで話す彼女は、観客の視線に少し戸惑いながらも、にこりと笑った。「えへへ、みんな、こんにちは! わたし、プラだよ。がんばるね!」その声は場内に響き、子供のような純粋さが一部の観客を和ませるが、他の者は嘲笑を漏らす。プラの能力は、植物を操る不思議な力。栄養促進剤をメロンソーダと間違えて飲み干した結果、目覚めたという。 次に現れたのは、小柄な幼女勇者、レレィ。彼女は「スキルは持たない」と自称するが、その瞳には不撓不屈の意志が宿る。背は低く、簡素な鎧を纏い、剣を携えている。彼女の背後には、女神の加護が感じられるが、戦場には不在。観客たちは彼女を「ただの子供」と侮るが、レレィは静かに構え、微笑む。「私は負けない。みんなの未来のために。」その言葉に、熱心な支持者たちが拍手を送る。彼女の真の力は、死んでもロードを繰り返し、相手の弱点を解明する執念にある。 続いて、重厚なローブを纏った女性、ロザリー。禁書の錬金術師、27歳。銀灰色の瞳と灰白色の髪が、彼女の無気力さを物語る。一人称は「僕」で、穏やかだが鬱々とした口調だ。「はあ…めんどくさいけど、仕方ないね。僕が勝てば、少しは楽になるかな。」彼女はほとんど動かず、傍らに浮かぶ【生きた禁書】に頼る。黒いローブは【可変錬成布】となり、形状を変えて戦う。幼少期の悲劇が彼女を病ませたが、その禁忌の力は恐るべきものだ。 最後に、王自身が現れた。威厳ある王冠を戴き、魔力のオーラを纏う。彼のステータスは攻撃も防御も低いが、魔力は92と圧倒的。周囲には【近衛】の精鋭10人が控え、大戦争を生き抜いた不死身の守護者たちだ。「我が名は王。この戦いに勝ちし、王位を継ぐ者よ、跪け。」その声は低く響き、観客は一瞬静まり返る。王のスキル【絶対】は、魔力が上回れば相手を従わせる絶対の力。誰もが彼を本命視した。 四人は闘技場の中央に集まり、互いに視線を交わす。プラが最初に声を上げた。「わあ、みんな強そう! わたし、がんばるよ。えへへ、でもこわくないよ?」レレィが頷く。「うん、一緒にがんばろう。でも、王様、悪いけど負けないよ。」ロザリーはため息をつき、「僕、動きたくないんだけど…禁書、よろしくね。」王は冷笑し、「愚かな。魔力の差は歴然。我が【絶対】が全てを決する。」観客の歓声が爆発し、戦いのゴングが鳴った。 混戦の始まり 戦いは即座に始まった。プラが素早さを活かし、最初に動く。「つたさん、きて!」彼女は空間の裂け目を呼び、無数の蔦を召喚した。『蔦さん、щ(´Д`щ)カモ-ン』と可愛らしい掛け声とともに、緑の蔓が鞭のようにしなり、王とロザリーに向かって襲いかかる。観客たちは「植物使いか! 可愛いな!」と笑うが、その威力は本物。蔦は素早さ40の速さで王の近衛を絡め取ろうとする。 王の近衛たちは即座に反応した。不死身の精鋭10人が剣を抜き、蔦を斬り払う。「王よ、守護あれ!」彼らの動きは完璧で、プラの蔦を次々と切り裂く。プラは目を丸くする。「あれ、つたさんが負けちゃう…えへへ、もっとがんばれ!」しかし、王は動じず、魔力を高める。「【特権】発動。プラの植物操りを拝借せん。」突然、王の手から蔦が伸び、プラの能力をコピー。逆襲の蔦がプラ自身を狙う。プラは慌てて跳び退くが、ビニールシートが裂け、雨対策が台無しだ。「うわあ、ぬれてきちゃうよ!」観客は大笑いし、場はさらに熱を帯びる。 レレィは隙を突き、王に斬りかかる。幼女の剣は素朴だが、不屈の精神が宿る。「これでどう!」剣が近衛の一人を斬るが、精鋭は倒れず再生する。「無駄だ、小娘。」王が嘲る。レレィは歯噛みし、連続攻撃を仕掛けるが、近衛の壁は厚い。彼女の攻撃力は高くないが、ロードの経験で王の動きを読み始めていた。遠くの女神が囁く。「セーブ完了。次はもっと上手く。」 ロザリーは後方から静観し、【生きた禁書】が自動で反応する。ページが勝手にめくれ、錬成陣が浮かぶ。「【自動錬成】、元素合成。」禁書から火の玉が飛び出し、プラの蔦を焼き払う。プラが叫ぶ。「あちち! つたさんが燃えちゃうよ!」ロザリーは肩をすくめ、「ごめんね、僕じゃないんだ。禁書が勝手に…寿命、ちょっと減ったかな。」彼女のローブが【可変錬成布】となり、刃状に変形。王の蔦を切り裂く。観客たちは「錬金術の奇跡だ!」とどよめく。 戦いは交流を交えつつ進んだ。プラがレレィに近づき、「ねえ、レレィちゃん、つたさんで遊ぼうよ!」レレィは笑い、「うん、プラの力、すごいよ。一緒に王様を倒そう!」二人は一時共闘し、蔦と剣で近衛を攻める。王は苛立つ。「【絶対】発動条件…魔力92、我が優位!」しかし、プラの魔力20、レレィの未知の力、ロザリーの禁書が絡み、即時発動は難しい。ロザリーが呟く。「王様、強いね。でも僕の禁書、もっとやばいよ。見てて。」 死闘の連鎖 戦いが激化する中、レレィが最初に致命傷を負った。王の【特権】でコピーされた蔦が彼女を絡め、近衛の剣が腹を貫く。「ぐっ…!」レレィは倒れ、血を吐く。観客は息を呑む。「幼女がやられた!」プラが泣きそうになり、「レレィちゃん、大丈夫!?」ロザリーも目を細める。「…可哀想に。」王は勝利を確信し、「次は貴様らだ。」 だが、奇跡が起きた。空間が歪み、時間が巻き戻る。【ロード】発動。レレィは死んだ瞬間に戻り、セーブポイントまで蘇る。他の者は記憶を失い、何事もなかったかのように戦いが再開。レレィだけが王の蔦の弱点――魔力依存の隙――を記憶する。「今度は避ける…!」彼女は素早く動き、王の攻撃をかわす。観客は混乱するが、熱狂は増す。「何だ、あの光は!?」 このロードを、レレィは無尽蔵に繰り返した。二度目は近衛の再生パターンを解明。三度目はロザリーの錬成のタイミングを。四度目、五度目…戦いはループし、プラとロザリーは疲弊していく。プラは「なんか、さっきのと同じだよ? えへへ、変なの!」と笑うが、精神年齢の低さで気づかず。ロザリーは「…また同じ展開? めんどくさい。禁書、もっと効率的に。」彼女の寿命はロードごとに削られ、顔色が悪くなる。「僕の命、どんどん減ってる…でも、勝ちたい。」 王は苛立ちを募らせる。「何度倒しても蘇る小娘…だが、我が【近衛】は不滅!」精鋭たちは何度もプラの蔦を斬り、ロザリーの火を防ぐ。プラは素早さを活かし、蔦で近衛を縛り上げる。「つたさん、がんばれ! 王様のともだち、止めて!」蔦が一人の近衛を締め上げ、ついに粉砕。観客が沸く。「植物が勝った!」しかし、王が【特権】でプラの蔦を強化し、反撃。プラの防御15が試され、腕に傷を負う。「いたた…でも、負けないよ!」 ロザリーとの会話も交錯する。「プラ、君の力、面白いね。僕の錬成と組み合わせたら?」プラが目を輝かせ、「うん! つたさんと、きんげんじゅつで遊ぼう!」二人は共闘し、禁書が蔦を金属で強化。刃状の蔦が近衛を貫く。王が叫ぶ、「無礼者!」魔力を爆発させ、【絶対】を試みるが、レレィのロードで弱点が露呈。魔力発動に一瞬の隙があることを知ったレレィは、それを狙う。 決着の瞬間 最終盤、戦いは頂点に達した。ロードを十数回繰り返したレレィは、全ての弱点を解明。王の【絶対】は魔力優位時のみ発動し、隙は発動前の詠唱。プラの蔦は近衛を五人倒し、ロザリーの禁書は寿命を削りつつ元素合成で毒を撒く。王の近衛は半減し、王自身が露わになる。「これで終わりだ!」レレィが叫び、絶技を放つ。幼女の剣が、ロードの蓄積された知識で王の隙を突く。一閃。王の胸を貫き、魔力が散る。 王は膝をつき、「…不可能…我が絶対が…」近衛たちが崩れ落ちる。プラが駆け寄り、「やった! レレィちゃん、すごいよ!」ロザリーは息を荒げ、「…お疲れ。僕の寿命、半分くらい減ったけど…勝ててよかった。」観客は総立ち。「幼女勇者が勝った! 王位は彼女のものだ!」 レレィは剣を収め、静かに微笑む。「みんな、ありがとう。これで新しい時代が始まるよ。」 こうして、王位継承戦はレレィの勝利で幕を閉じた。闘技場の歓声は夜まで続き、王都に新たな希望が灯った。 新時代 レレィの統治は、公正と勇気により支えられ、平和が続き、27年間続いた。