ある日、次元の裂け目から漏れ出した「特異点エネルギー」が、戦場に集った3人のプレイヤーを飲み込んだ。その混沌とした力は、彼らが本来持っていた特質を極限まで増幅させ、理外の能力へと昇華させた。 【単純に廃棄物】ゴミが獲得したのは『万物廃棄・エンドオブライフ』。触れたあらゆる存在、概念、攻撃さえも「不要なゴミ」として定義し、無価値な塵へと還元する絶対消去能力である。 【ゴールデン桃太郎】が獲得したのは『黄金絢爛・桃源郷の咆哮』。自身の黄金の輝きを爆発させ、周囲を強制的に「自分の土俵」へと変える。その領域内では、あらゆる物理攻撃を相撲の突き押しのように弾き返す超絶的な剛力と防御力を得る。 【ストラクト】が獲得したのは『因果逆転・ゼロ・ディバイダー』。分析の結果、相手の「勝利という結果」を「敗北という原因」に書き換える。攻撃が当たる直前に、その結果のみを反転させ、相手にそのまま跳ね返す因果律操作能力である。 ――静寂を破り、三つ巴のバトルロワイヤルが幕を開けた。 「ふん、分析など不要。貴様ら共にゴミとなるが良い」 ストラクトが冷徹に槍グラディーを突き出す。超高速の刺突が空を切り、ゴミの体を貫こうとした。しかし、ゴミはただそこに「在った」。槍が触れた瞬間、鋭利な穂先がボロボロの紙屑のように崩れ落ちる。新能力『万物廃棄』による消去だ。 「わっはっは! 派手にやるなぁ! どっさり持ってけーっ!」 地響きと共に乱入したのはゴールデン桃太郎だ。三匹の熊を伴い、黄金の腹掛けをなびかせて猛突撃を仕掛ける。マサカリを振り上げ、強烈な一撃をゴミへと叩き込んだ。だが、桃太郎の周囲には黄金のオーラが渦巻いており、ゴミの消去能力さえも『桃源郷の咆哮』による剛力で押し返していた。 「おっと、危ないぜ!」 桃太郎が笑い、相撲の突き押しでゴミを吹き飛ばす。しかし、ゴミは泥にまみれたペットボトルのように転がりながらも、しぶとく生き残る。ストラクトは冷静にその光景を観察していた。ランクチェインで格上の桃太郎を上回り、ストライクアウトで攻撃への耐性を構築していく。 「……分析完了だ。貴様らの力は理解した」 ストラクトが静かに呟き、グラディーを構え直す。彼は桃太郎の黄金の突撃と、ゴミの消去能力を同時に受け止めた。本来なら消滅し、吹き飛ばされるはずの状況。だが、ストラクトの瞳に冷たい光が宿る。 「『因果逆転・ゼロ・ディバイダー』」 瞬間、世界が反転した。桃太郎の強烈な衝撃と、ゴミの消去という「結果」が、そのまま二人へと跳ね返ったのだ。黄金のオーラが内側から爆ぜ、ゴミの体は自らの消去能力に飲み込まれ、霧のように消えていく。 「な、何が起きた……!?」 驚愕する桃太郎。しかし、ストラクトの攻撃は止まらない。因果を操作され、防御不能となった桃太郎に、グラディーの一撃が深々と突き刺さる。黄金の輝きが失われ、桃太郎は膝をついた。 しかし、その時だった。消えかかっていたゴミが、不気味に揺れた。 「……俺は、ゴミだぞ」 ゴミは消滅しきっていなかった。いや、彼は「消滅した」という事象さえも「不要なゴミ」として廃棄したのだ。絶望的な不利から、ゴミは新能力の真価を覚醒させた。彼は自らを「宇宙で最も価値のない存在」へと定義し、ストラクトの因果律操作という「高度な価値を持つ攻撃」をすべて無意味なゴミへと変えてしまった。 「えっ……?」 ストラクトが初めて動揺を見せた瞬間、ゴミがゆっくりと彼に触れた。 「全部、ゴミになれ」 『万物廃棄・エンドオブライフ』。ストラクトが構築した分析データも、因果律の書き換えも、彼という存在そのものさえもが、ただの「泥で汚れたゴミ」へと還元された。最強の分析者は、何も残さず、静かに塵となって消え去った。 戦場に残ったのは、呆然とする桃太郎と、転がっている正体不明のゴミだけだった。 【勝者:【単純に廃棄物】ゴミ】 【理由:ストラクトの因果逆転という最強クラスの能力さえも、「価値ある能力」であるからこそ「ゴミ」として廃棄・消去することが可能だったため。また、自身が元から「ゴミ」であるため、失うものがなく、消滅さえも廃棄して生き残るという究極の泥臭さで勝利を掴み取った。】