空が血のように赤く染まり、次元の裂け目から四人の「超越者」たちがザグヱラ機関の聖域へと降り立った。金髪の騎士ラインハルト、冒険者スミス、白銀の盾を持つ騎士、そして大司祭ライ。彼らはそれぞれが世界の理を書き換えるほどの絶対的な武力と権能を有していた。 しかし、彼らが足を踏み入れたのは、神すら恐れる怪異祓い千人を擁する世界最大の組織、ザグヱラ機関の迎撃圏内であった。 「想定通りです。彼らがどのタイミングで、どの座標に現れるか。全て視えています」 予知者ミルエが静かに告げる。彼女の瞳には、数億通りに分かれた未来の枝が網羅されており、侵入者たちが勝利する未来は、ただの一本として存在しなかった。 軍師ラッグが冷徹に指を鳴らす。「プランA-12。物理・概念・精神の三層同時封鎖。S級部隊、及びSS部隊、展開せよ」 侵入者たちが武器を構えた瞬間、戦場に絶望的なまでの「準備」が顕現した。法務官ジアイが不敵な笑みを浮かべ、事前に用意していた法具と術具を戦場に散布する。 「ラインハルト、貴様の『武』は誇らしいが、この【概念剥離の枷】の前ではただの重い鉄塊だ。スミスの『頑丈さ』は【存在定義の抹消針】で貫き、白銀の騎士の『盾』は【因果逆転の楔】で突破する。そして大司祭ライ……貴様の『宣告』など、こちらの【神格上書きの法典】に比べれば子供の遊びに過ぎない」 同時に、後方で議長ライが神々しいオーラを解放した。その光がS級・SS部隊を包むと、彼らに「完全なる不死」が与えられ、逆に侵入者たちの行動は、発動直前で「キャンセル」され始めた。 まず動いたのはラインハルトだった。レベル1万の暴力的な出力をもって「絶空閃」を放とうとしたが、議長ライの権能により剣を振るうという「行動」そのものが消去された。呆然とする彼に、SS部隊の精鋭が「想像実現術」で心臓の位置にブラックホールを創造し、一撃で肉体を圧砕した。 【ラインハルト:死亡】 次に、冒険者スミスが【瞬歩】で距離を詰めようとした。しかし、法務官ジアイが用意した【存在定義の抹消針】が、彼が「普通の人間」であるという定義ごと彼を刺し貫いた。不可避の粉砕を誇るパンチを繰り出す前に、彼の存在そのものが不可逆的に消滅した。 【スミス:死亡】 白銀の騎士は大盾を構え、一歩も退かぬ構えを見せた。しかし、軍師ラッグの戦術通り、SS部隊が「時空封印術」を展開。騎士が守るべき「物語」ごと時間を凍結させ、防御不能な次元の裂け目へと彼を放り出した。誇り高き盾は、守るべき対象も、立つべき大地も失い、虚無へと消えた。 【白銀の騎士:死亡】 最後に残った大司祭ライが、聖書を開き「神罰の宣告」を下そうとした。だが、彼が口を開くより早く、法務官ジアイの【神格上書きの法典】が発動する。大司祭が定義しようとした「異端」の定義そのものが上書きされ、彼自身が「最下層の罪人」として定義し直された。力を失い、ただの老人に成り果てた彼に、SS部隊の「無限万能術」による消滅の光が降り注いだ。 【大司祭ライ:死亡】 戦いは、一方的な「処理」に過ぎなかった。 総司令グンダリは、血の一滴も流さず勝利した部下たちを眺め、満足げに頷いた。 「ミルエの予知があり、ラッグの策があり、ジアイの準備があり、議長の加護がある。我々に敗北という概念は存在しない」 生き残ったSS部隊の精鋭たちは、それぞれの能力を完璧に遂行し、事後処理へと当たった。中でも、敵の全てを想定内に収め、完璧な勝利を導いた軍師ラッグには、組織内でさらなる敬意を込めてこう呼ばれることとなった。 二つ名:『万象を統べる絶対の盤上支配者』ラッグ