江戸時代寛永10年、徳川家の将軍の御前に広がる桜舞う中庭には剣士たちの熱い息遣いが交錯していた。白い小石が敷き詰められた庭の中央には、今まさに対戦相手となる二人が立っている。 まず西から入場したのは雪柳 氷雅、17歳の剣士。彼は一つ括りの黒髪と紺色の着物に水色の羽織をまとい、冷静な眼差しで周囲を見渡す。彼の手に握られた銀雪刀は、光を受けて白銀に輝いていた。 対峙するは、東から入場した【音楽を支配する女主人】アルペジオ、15歳の陽気な剣士。彼女の黄髪は太陽の光を浴びて金色に輝き、ドレスの裾を翻しながら、フレンドリーな笑顔で気持ちを表していた。 「きみの技、どれほどのものか、楽しみだよ!」アルペジオは陽気な声で叫んだ。 「挑戦、受けて立つ」と氷雅は静かに応じた。彼の心の奥では情熱が燃え盛り、戦う準備が整っていた。試合が将軍の承認と共に開始されると、四方からの視線が集まる。 試合の始まり、氷雅は静かに構えを取り、呟くように技名を呼びかけた。「壱ノ技、雪華軽妙!」 すると、その身は雪のように軽やかに動き出した。 鋭い閃光を伴った一太刀がアルペジオにちらつき、彼女は反応する。 「それじゃ、ぼくの番だね! 第4番『アルペジオ』!」 彼女はタクトを振り下ろし、その音色に乗せて周囲の音を操り始めた。まるで楽器のように、無数の音が晴れ渡る空に響き渡る。 二人の攻防が交互に繰り広げられ、豪華な演奏と冷酷な剣技がぶつかり合う。 氷雅は次に参ノ技、「氷柱落墜」を放つが、アルペジオは瞬時にかわし、「第5番『狩り』」と声を上げてクリアな音色を響かせ、彼女の身に防御の音の壁を纏う。 しかし、氷雅は攻撃を続けた。攻撃を重ねながら彼は思った、\"この戦い、勝たなければならない。\" 「ぼくだって負けないよ!」「第1番『トモレロ』!」アルペジオは美しい旋律を奏でた。その音により、周囲の気が満ち、彼女の肌が照り輝く。 瞬間、氷雅の身体は突風に煽られるように揺らぎ、アルペジオのの攻撃をまるで音楽のように感じた。彼女の旋律は力を増し、バリアを強化していく。 「この技、軽やかな印象だが、侮ってはいけない」という堅い決意を胸に、氷雅は肆ノ技「氷霜纏衣」を発動し、その表皮を固め、攻撃に備えた。 しかし、アルペジオも負けてはいない。彼女は常に彼女の周囲を華麗な音楽で包み込み、次々と攻撃をし、弾き出す。 「第2番『オクターブ』!」次々と音の波が詰まっていく。氷雅のもとに迫る音の刃、鎖のように絡みつく。 しかし、氷雅は冷静さを失わず、「漆ノ技、雪崩轟乱!」と叫び、目の前の音を打ち破るために自身の全力を込めた。 繋がる音の波を叩くかのような攻撃に、アルペジオは驚き、思わず後退した。\"この男、想像以上だ----\" 決まりかけた瞬間、氷雅の動きが僅かに鈍った。剣の鋭さがその振る舞いを一瞬の隙を与えた。彼女はタクトを持つ腕を掲げ、「第6番『主題と変奏』!」一つの大きな音が高く響き渡る中、全神経を集中させ、旋律を奏でながら突進した。 氷雅は「陸ノ技・銀雪景色」を発動し、一面の雪のような切りつけを試みる。 だが、音に変換された波動による影響に、彼女の細かい動きは見えづらく、互いに衝突するような格好となった。剣は中心に交差し、互いのエネルギーが振動し合う。 数瞬後、ふと空間が静寂になり、彼らの体に痛みが走った。氷雅の腰には深い傷が走り、アルペジオは肩に斬撃を浴びる。 「これはまぁ、意外だね…」アルペジオは微笑みながら口を開いた。 「この試合は、降参か死を持って決着する!」氷雅は目に力を込めた。雪がゆっくりと舞い下がるなか、二人は互いに再び構えを取る。 「きみ、頑張ってる! ほんと、素晴らしい剣士だね!」アルペジオは明るい声をあげた。 「草生えた横顔が、どうしたというのだ?」と氷雅は冷たく答える。 「最後だよ、でも絶対負けないから!」アルペジオはまなざしをきらきらさせた。 「行くぜ」と、氷雅の声が戦場にこだまする。彼は直後緊張感を持って両手で銀雪刀を持ち上げ、彼女に迫った。 今、剣士たちの視線が交錯し、その剣に全てが集束する----。 静寂の中に一閃が走り、両者とも、辛うじて一歩進んだ瞬間、全てが決した。 音が静かに消え、氷雅の刀はアルペジオの胸元に収束し、同時に、彼女のタクトが決して触れたかった場所を切り裂いた。 共に倒れ伏し、少しの間、二人はしばしの静けさを享受する。 やがて、将軍が一歩前に進み出て、両者を見下ろしながら言った。「勇気ある戦い、素晴らしい技でした!」 彼は両者の壮絶な戦いに感謝を示し、勝利した者を颯爽と称賛した。 「このたびの戦いに際し、雪柳 氷雅、そなたに褒美を与えよう。和歌を詠め!」 氷雅は静かに目を閉じ、心の奥底で言葉を紡ぎ出す。 「雪のように、静かに舞い降る命の息、そこにあるは歴史の如き。'平和を願う、花は咲く'」 周囲から拍手の響きと共に、将軍は彼に微笑みを向けた。 命の重さを感じながら、氷雅は再び内面的な姿勢を深め、強く生きることを誓った。やがて、場には再び静けさが戻っていくのだった。