第一章:黄金の誘惑と、絶望の屋敷 深い森の最奥に、ひっそりと佇む巨大な石造りの屋敷。そこはかつて、世界中の珍奇な品々を収集したという狂気的な収集家の住処であった。今や主は不在だが、中には数え切れないほどのお宝が眠っているという。 「いいっすねぇ、この雰囲気。骨董品屋の血が騒ぐっす」 水色の帽子を被った小柄な妖精、マヨが、大きなバックパックを揺らしながら呟いた。彼女の瞳は、すでに屋敷の中にあるであろう『お宝』への執着でギラついている。その隣には、白いテックウェアに身を包んだミステリアスな女性、チコニアさんが、ゆったりとした足取りで歩いていた。 「ふふ、面白いところに来たね。旅の途中でこんな贅沢な遊びに誘われるなんて、一期一会だね」 そして、場違いなほど巨大な存在感を放つティラノサウルス。彼は人間社会に馴染んでいるためか、礼儀正しく(?)静かに佇んでいる。さらに、震え上がった様子で後方を歩くのが、今回のチームの『特攻隊長』にして『生贄』、やられ役満である。 「ひいぃ! なんで僕だけこんな不安な予感がするんですか! 誰か僕を庇ってください!」 屋敷の扉が開いた瞬間、彼らを迎えたのは不気味な暗闇ではなく、意外なほどの「明るさ」だった。シャンデリアが贅沢に輝き、廊下には金色の絨毯が敷き詰められている。どうやら今日の屋敷は、幸運の風が吹いているようだった。 「よし、ルールは簡単。15000ゴールド以上集めて脱出すること。欲張れば財産になるが、やられれば全部おしまいっす」 マヨの号令とともに、一行は屋敷の深部へと足を踏み入れた。 第二章:幸運の嵐と、不協和音の舞 探索は順調だった。明るい屋敷内では、お宝が目立つ場所に配置されており、マヨの洞察力が冴え渡っていた。 「あそこにある金のお皿、3000ゴールドはいくっす! あっちのルビーの彫刻は5000ゴールドっすね!」 マヨが手際よくお宝をバックパックに詰め込んでいく。チコニアさんも《旅のオトモ》から出した不思議な道具を使い、効率的に隠し部屋を暴き出していた。ティラノサウルスは、その圧倒的な存在感で周囲を威圧しつつも、本人は至ってマイペースに、廊下に飾られた絵画を眺めていた。 だが、この静寂を破ったのは、突然鳴り響いた爆音のダンスミュージックだった。 「な、なんだこの曲は!? 体が勝手にーーっ!!」 やられ役満が悲鳴を上げる間もなく、激しいビートが屋敷中に轟いた。現れたのは、ヘッドホンを装着し、ノリノリでステップを踏む幽霊『ソフテン』である。その音楽は強力な強制力を持っており、参加者たちは抗うことなく、激しく踊り始めた。 「踊らされるっすーー!!」 マヨがコミカルに腰を振り、チコニアさんも優雅にステップを踏む。ティラノサウルスまでもが、巨大な体を揺らしてリズムに乗っていた。しかし、ここで奇跡が起きる。ソフテンの音楽があまりに心地よかったためか、別の場所から接近していた敵までもが、つられて踊り始めたのである。 「チャンスっす! この隙に逃げるっす!」 マヨが叫び、一行は踊りながらも猛烈なスピードでその場を離脱した。幸運な屋敷の状態が、最悪のタイミングで最高の笑いを誘った瞬間であった。 第三章:鏡の中の悪夢と、ふしぎ箱の罠 さらに奥へ進むと、彼らは一面に鏡が貼られた大ホールに辿り着いた。そこには、豪華な宝石箱が鎮座していた。価値は推定8000ゴールド。これで合計金額は15000を大きく超え、脱出条件を満たすことになる。 「お宝ゲットっす! これで帰るっす!」 マヨが歓喜したその時、鏡の中から「誰か」が這い出してきた。それは、チコニアさんと全く同じ姿をした偽物、『アンハ』であった。アンハはチコニアさんの能力を完璧にコピーしており、不気味な微笑みを浮かべて立ちはだかる。 「あら、私に似ているけれど、少しだけ表情が硬いね」 チコニアさんが冷静に分析するが、アンハの攻撃は容赦ない。同時に、廊下の隅にあった『ふしぎ箱』が不気味に光り、ランダムなイベントが発生した。なんと、箱から飛び出したのは大量の煙幕だった。視界が遮られた瞬間、別の敵、『ティッツ』のランプが周囲を照らし始める。 「光に照らされた者は、死にいたる……」 ティッツの攻撃範囲が狭まり、参加者たちはパニックに陥る。もはや誰が本物で、誰が敵なのかも分からない。そんな混乱の中、やられ役満が運悪く、ティッツとアンハ、そして偶然通りかかったヘリオスの三方向に囲まれてしまった。 「うわああああ! 助けてー!!」 やられ役満は超速の脚で逃げ回る。だが、彼の逃走ルートが最悪だった。逃げた先は、ちょうどヘリオスが眼光を放とうとした正面。しかし、ここで彼のスキル『役満』が発動する。 やられ役満が派手に転んだ拍子に、彼は偶然、ヘリオスの足元にあった「ふしぎ箱」のスイッチを強烈に踏み抜いた。すると、箱から巨大な反射鏡が飛び出し、ヘリオスの放った石化の眼光をそのままヘリオス自身に反射させたのである! 「ガガッ……!?」 最強の敵ヘリオスが、自らの眼光により石像となって固まった。同時に、転んだやられ役満がティッツのランプを突き飛ばし、その光がアンハを完全に照らし出した。 「今っす!!」 マヨがミニガンのような吹き矢を乱射し、アンハに猛毒を付与。チコニアさんが《旅のオトモ》で敵の注意を逸らした隙に、ティラノサウルスがその巨体で敵を(物理的に)押し出して、出口への道を切り開いた。 第四章:脱出、そして结算 「逃げるっす! 全速力で逃げるっす!!」 マヨの号令のもと、一行は出口へと猛ダッシュした。背後からは、石化したヘリオスにぶつかって転んだティッツと、毒に苦しむアンハの唸り声が聞こえてくる。 しかし、ここで最後にして最大の悲劇が訪れる。出口の扉まであと一歩というところで、やられ役満が自分の靴紐に足を引っ掛け、派手に転倒。その衝撃で、彼の上にいたマヨのお宝バックパックが口を開け、中身がバラバラと廊下に散らばった。 「ああっ! 私のコレクションがっ!!」 マヨが絶叫し、お宝を拾おうと戻った瞬間、追い付いてきたティッツの光が彼女を捉えた。一撃。マヨはあっけなく気絶し、お宝の多くがその場に残された。 「マヨさん! 行くよ!」 チコニアさんがマヨの腕を掴み、ティラノサウルスが背後から二人を押し出す形で、強引に屋敷の外へと飛び出した。やられ役満も、最後の一撃をティッツに浴びて気絶しながらも、慣性の法則で外へと弾き飛ばされた。 朝日の差し込む森の中で、彼らは目を覚ました。幸い、全員無事だったが、マヨの表情は絶望に染まっていた。 「……集めた額、いくらっすか」 チコニアさんがゆっくりと、残ったお宝を計算する。 「ええと……金のお皿と、いくつかの小物を合わせて、16000ゴールドね。ギリギリ成功、ということでいいかしら?」 マヨは、失った数万ゴールドの思い出に涙したが、最低限の成功を収めたことに安堵し、静かに天を仰いだ。 【結果報告】* ■脱出成功者: ・チコニアさん ・ティラノサウルス ■脱出失敗者(気絶により救出): ・マヨ ・やられ役満 ■集めたお宝総額: 16,000ゴールド