プロローグ:名津先生からの宣告 夏の強い日差しが差し込む教室。黒板の前には、眼鏡をクイと押し上げたアラサーの女性教師、名津先生が立っていた。手には分厚いドリルと、真っ白な自由研究用の模造紙が抱えられている。 「はい、みんな注目! 今日から待ちに待った40日間の夏休みです。……と言いたいところだけど、まずは私の話をしっかり聞いてね。今年のミッションは【国語・算数のドリル完遂】、【自由研究】、そして【絵日記】。これらを全部終わらせること! もちろん、『夏を全力で楽しむこと』も重要な課題よ。勉強と遊び、どっちか一方が欠けても合格点はあげませんからね」 名津先生はいたずらっぽく微笑みながら、出席簿を閉じた。 「いい? 宿題を溜めて最終日に泣きつくのはナシよ。……さて、解散! 最高の夏にしなさい!」 【参加者の意気込み】 幽宮 恋菜: 「ふん、こんな簡単なドリル、私にかかればあっという間よ。……別に、先生に褒められたいわけじゃないんだからねっ!」 クラシスト: 「……了解。任務として完遂させる。自由研究は……ホムンクルスの生態観察でいいだろうか」 イチゴ: 「わーーーい! 夏休みだー!! 突撃ちゃんで最高の旅に出ちゃうぞー!!」 メロン: 「イチゴさん、まずは計画を立ててくださいってば! ……はぁ、今年も前途多難ね」 ライム: 「気合十分だ! 宿題? そんなの特攻(ぶっこ)んで片付けるだけだー!!」 突撃ちゃん: 「せやな! うちも塗り替えられてピカピカになりたいわ!」 --- 本編:1日目【期待と混乱のスタート】 夏休み初日。誰もが意気揚々と活動を開始した。 恋菜は涼しい図書館に籠もり、ドリルを高速で解き進めていた。しかし、隣の席の小学生が「ミドリムシって虫だよね」と呟いた瞬間、彼女のペンが止まった。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! べっ、別に親切で教えてあげるわけじゃないけど、ミドリムシは鞭毛を持つ単細胞生物であって、節足動物の『虫』とは根本的に違うの! 勘違いしないでよねっ!!」 つい感情的に訂正してしまった恋菜は、顔を赤くして再びドリルに向き合う。知識への情熱と素直になれない心の間で、初日から激しい葛藤が繰り広げられていた。 一方、クラシストは自室で淡々とスケジュールを組んでいた。彼女にとって夏休みは「待機任務」に近い。念力を使って空中を浮遊する参考書を眺めながら、傍らでちょこまかと動く自作のホムンクルスに餌をやる。 「……暑いな。室温を2度下げる」 そう呟くと、念力でエアコンの操作パネルを遠隔操作し、最適温度に設定した。彼女の夏は、静寂と効率に支配されていた。 そして、街外れでは「突撃ちゃん隊」が爆走していた。戦車の中は熱気と騒音に包まれている。 「よーし! まずは海に向かって突撃だー!!」 イチゴが元気いっぱいに叫ぶが、操縦席のメロンは冷や汗をかいていた。 「ちょっと! 地図も見ずに突撃しないでください! そもそもこのルート、未舗装路ですよ! 突撃ちゃんが可哀想です!」 「あー! メロン、なんか言ったか? 『特攻せよ』って聞こえたぞ!」 ライムが砲身をガチャガチャと操作し始める。 「違うわよライムさん!!」 突撃ちゃんも「もう、あんたら賑やかすぎるわ! 揺らさんでー!」と関西弁でツッコミを入れ、賑やかな旅の幕が開いた。