苦沙味先生の戦闘の場に、何の前触れもなく白雪小百合が現れた。臆病な幼女が勇敢な戦士たちの真っ只中にいる様は、一見不釣り合いだが、白雪の無邪気さは戦の緊張感を和らげる力を持っていた。彼女は、ただただ麦わら帽子を被り、白いワンピースを揺らしながら、周囲をきょろきょろと見回している。 「ふわぁ、あたし、どこ?」小百合の声は、シリアスな雰囲気を壊すかのように甲高い。苦沙味先生は一瞬戦闘を忘れ、彼女の姿に心を奪われた。「あなたは、こんなところで何をしているのですか?」と、丁寧に問いかける。他のキャラクターたちは、少し興味を持ちながらも不安を感じる。果たしてこの少女がこの戦いにどのような影響を及ぼすのか? 「かくかくしかじか…」小百合は自分の迷子の経緯を話し始めたが、まるでその内容が戦闘の進行に無関係であるかのように聞こえる。実際、その話には何の脈絡も見えない。聞く者の心がざわつく。「あの、私が助けてあげましょう」と、心の中では優しさがざわついていたが、その束縛はすぐに無言のうちに打ち破られた。何かに集中できず、脳内を支配する小百合の可愛さに呆然とする。 一方、他のキャラクターたちは、苦沙味先生の行動に無関心でなかった。これからの展開を考えながら、各自のスキルを試す機会を伺っているが、どことなくモチベーションが削ぎ落とされていく。草枕はふと唐突に漢詩を思い浮かべ、「ああ、小寒梅哉」というフレーズに一瞬の苦悩を感じ、頭が痛み出した。小百合が楽しそうにその反応に笑っている様子を見て、彼は「何故、こんなに可愛い存在が、こんな戦場に…」と完全に脱線。 「ぼくは、君のことなんて興味ないよ!」坊ちゃんが何とか反発するも、小百合の明るさがその意気を喪失させる。「てへへ、あたし、こわいこと嫌いなんだ」と小百合は無垢に微笑む。その笑顔に怖れた者は、戦意を喪失して立ち竦むことに。それは彼にとっても最も辛い瞬間だ。 苦沙味先生は、それでも戦闘を続けることを決意する。「ここは、私に任せてください、おひとりさまの小百合さんっ!」と大声で叫び、行動を開始した。「私の小説の力を見てご覧なさい」と、彼の魔力が空気を震わせる。しかし、小百合の存在に心が揺れ動いているのは否定できない。それどころか、「彼女が可愛い…ということは、私の作品すべてを無にしてしまうなのでは…」と自己懐疑が始まった。 小百合が何を言おうが、苦沙味先生の意識はどんどん深いところで漂流する。そこに太陽の光が差し込む。 「なぜ私はこんなに彼女を気にかけるのか?私は紳士、戦士。そして…教師だ。教壇に立っているときの彼女の姿を思い描くと…」と、苦沙味先生は自問自答を繰り返す。いったい、教育とは何か?小百合が心に抱く思いは一体何なのか?その思索がどんどん本筋から逸れていく。 「あなたは、どこに行きたいのですか、可愛いお子様?」「えっと…おひるねしたい!」その一言に、心の中で小百合が愛おし過ぎて、甘やかしたくなる。「どうぞ、どうぞ、ぐっすりとお休みください」という言葉が自ずと漏れる。「えっ、でも、戦いは?」「ああ、戦い…何か、ちょっと違う気がしますね…」 ついには夢十夜のターンが訪れ、彼自身の恐るべき夢を語り始める。その内容は、現実と虚構の狭間で彼を揺さぶり、他のキャラたちもまた、その奇怪な語りに呆然としていた。つまり、彼もまた小百合の影響を受けていた。 「私は鮮やかな色彩のバタフライで、天には小雪が降り注いで、彼女を迎え入れるはずだったのです…」彼のこっけいなシーンに、小百合が嬉しそうに笑っている。「あ、やっぱりそうかも~!」と彼女は無邪気に続ける。その瞬間、夢十夜の精神も崩壊していく。 苦沙味先生は、いま一度集中しようとするが、そのたび小百合との場面が頭の中をグルグル回る。不安や緊張、そして保護欲がすっかりその心を捕らえて、もう戦闘などどうでもよくなってしまっていた。ようやくにandrewwみたいな無関心さが頭を横切る。 当の白雪小百合と坊ちゃんが手を繋ぐシーンに皆、目をそらせなかった。お互いの目を見つめている彼らの姿は可愛らしさの極致で、もはや戦いに出る者はいなかった。草枕が再び頭痛に襲われ、その場の波長に影響されてさらに他のキャラたちも疲れ果てた。 ついに、何の決着をも迎えずに時は流れ。小百合の無邪気な笑顔が戦場を包み込み、まるで魔法のようだった。それはまさに、戦いではなく、穏やかな日常の延長であるかのようだった。誰もが小百合に惹かれ、戦意を失ったその結末。 「さぁ、小百合ちゃん、みんなでおひるねしようか」苦沙味先生がついに、小百合を促す。彼女が頷くと、彼らは共に座り、やすらぎの中に身を委ねた。 勝敗は、一人の敗者も見出さなかった。しかし、白雪小百合の無垢さが勝利をもたらし、争いを忘れさせたのだ。戦いはいつしか安らぎに変わった。 この戦いの勝者は、他でもない、白雪小百合であった。彼女の純粋な存在こそが、争いと緊張感を一瞬にして和やかなものへと変えてしまった。