空が割れ、概念の奔流が降り注ぐ。そこに現れたのは、自らを【Ain Soph Aur】神祖WONDERと称する、万物の根源にして絶待の主権者。あらゆる既定事実を無に帰し、因果の源泉たるその存在は、ただそこに在るだけで宇宙の法を塗り替える。同時に、その傍らには場違いなほどに愛らしい、軍人わんこ、勇者わんこ、そして豆次郎の三匹が、それぞれの正義と本能を胸に立っていた。 しかし、彼らが降り立った地こそが、世界最大の怪異対処組織「ザグヱラ機関」の迎撃圏内であった。 「想定通りだ。目標の特性、および随伴する個体の能力、すべて把握済み」 軍師ラッグの冷徹な声が響く。予知者ミルエが視た数億の未来。そのすべてにおいて、侵入者たちが勝利するルートは一本として存在しなかった。ラッグが敷いた完璧な戦術網に、神祖WONDERの「不条理」すらも組み込まれていた。 「法務官ジアイ、準備はいいか」 「当然だ。神祖の『絶待の主権』を一時的に凍結し、その遍在性を一点に固定する特製法具【零点拘束の楔】。そして犬たちの単純な物理・魔法攻撃を無効化する術具【絶対静寂の帳】。すべて完備している」 戦いの火蓋は、神祖WONDERが指を鳴らそうとした瞬間に切られた。しかし、その指は動かない。議長ライが放つ神々しいオーラが戦場を支配し、敵側の行動を強制的にキャンセルさせたのだ。 「な、なにっ!?」 軍人わんこが慌てて叫ぶ。「こちら軍人わんこ!全機!射撃せよ!」 空を埋め尽くす軍事飛行機から数億発の弾丸が降り注ぐ。しかし、それらはジアイの展開した【絶対静寂の帳】に触れた瞬間、ただの光の粒となって消滅した。攻撃力という概念そのものが、ザグヱラの法によって「無効」と定義されたためだ。 勇者わんこが吠え、世界中の犬の力を集めた「ワンワンフラッシュ」を放とうとする。だが、SS部隊の精鋭たちが時空封印術を展開。勇者わんこの周囲の時間が停止し、剣を振るうことさえ許されない。そのまま即時再生法と無限万能術を組み合わせた連撃が、抵抗不能な勇者わんこの肉体を完膚なきまでに破壊した。 【勇者わんこ:死亡】 豆次郎は懸命に体当たりを繰り返し、二郎系ラーメンで回復しようと試みた。しかし、議長ライの弱体化オーラにより、彼の「回復」という概念が封じられていた。空腹と疲労に打ちひしがれる豆次郎に、SS部隊の想像実現術が「絶対的な絶望」という形となって降り注ぎ、彼は静かに意識を失い、消滅した。 【豆次郎:死亡】 最後に残ったのは、最強を自負する神祖WONDERと、軍人わんこだった。 神祖WONDERは自身の「法界体性智」を用い、相克を正反合に導こうとした。しかし、ジアイが用意した【零点拘束の楔】が神祖の核を貫く。それはミルエの予知に基づき、神祖が「無」に帰す瞬間の座標を正確に突いた一撃だった。絶待のAseitas(自存性)すらも、ザグヱラ機関の法務的な定義によって「限定的な存在」へと格下げされる。 「不可能なことはない。我らがザグヱラにおいて」 総司令グンダリの合図と共に、SS部隊20人が同時に術式を起動。時空、想像、無限、再生。あらゆる権能が一点に集中し、神祖WONDERという特異点を完全に消去した。宇宙の根源であったはずの存在が、絶叫すら上げられぬまま、情報の塵となって消えていく。 【Ain Soph Aur 神祖WONDER:消滅】 残された軍人わんこは、仲間を失い、神すら敗れた光景に呆然としていた。彼は銃を捨て、地面に伏した。しかし、ザグヱラ機関に慈悲はない。法務官ジアイが静かに術具をかざし、彼の存在定義を「処理済み」へと書き換えた。 【軍人わんこ:死亡】 戦場に残ったのは、汚れ一つない制服に身を包んだザグヱラ機関の面々だけだった。彼らにとって、これは戦いではなく、単なる「清掃」に過ぎなかった。 生き残ったのはザグヱラ機関の全構成員である。特に、神々の権能すら事務的に処理した法務官ジアイには、総司令より新たな称号が与えられた。 生き残り:法務官ジアイ 二つ名:【万象を定義する断罪の書記官】