清浄無垢の一刀斎、帷と、蒟蒻の戦いが始まろうとしていた。もぎたてのフルーツの香りが漂う静寂の中、二人のキャラクターが対面し、緊張感が漲る。帷は無言のまま、力強く刀を構える。その瞳はまるで氷のように冷たく、心のどこかに迷いは見受けられない。対照的に、蒟蒻はただ静かに存在する。粘り気のある姿で、彼女の目には淡い決意が宿る。 戦いの合図が鳴り響くと、帷は静かに刀を振るう。彼女の一撃はまるで風のように迅速で、美しさを保ちながら進む。だが、蒟蒻は動かない。滑らかな表面が光を反射し、帷の刀が近づくと、つるんとかわす。その動きはまるで水の流れのようだ。 「何故、動かないのか?」帷は言葉を発せず、心の中で考える。攻撃を重ねるごとに、蒟蒻はその存在感を強めていく。優雅に舞うように刀は振るわれるが、蒟蒻は派手な動きもせず、ただじっと佇んでいる。そんな蒟蒻の姿が、逆に帷の精神を刺激する。なぜ彼女は、絶対の美しさを持つにもかかわらず、その存在を全うし続けるのか。 「このまま黙っているわけにはいかん!」と心の中で叫びながら、帷はより一層その刀を振るう。淡い光を放つ刃は、空気を切り裂き、迫力を増していく。しかし、蒟蒻はその動きを一つ一つ抵抗なく受け流し、全く動じない。大波のように迫る帷の美しい太刀筋を、まるで想定外の流れのように受け止めているのだ。 「これが…」と、帷は思う。美しさが命を持つかのように、剣そのものが呼吸をしている。そして、帷は徐々にその攻撃に疲れを感じ始める。肉体的な疲労に加えて、精神的にも追い詰められてゆく。「このままでは、いけない…」 再び、帷は刀を振りかざし、力を込めて一閃する。刃が蒟蒻の表面を捉えようとした瞬間、蒟蒻の弾力性が奇跡的に働き、刀を受け流す。その瞬間、帷は目が眩むような衝撃を受ける。この無抵抗な存在によって、彼女の心に迷いが生まれてしまったからだ。 「私の一刀も、なんて無意味なのか…」彼女は思わず声をこぼした。 その一瞬の隙を見逃さなかった蒟蒻は、静かに存在し続けることこそが勝利であると理解し、帷の心をさらに揺さぶろうとする。「私はただ、美味しく生き続ける。それを受け止めてくれる人を待つのだ」と、どこか安らかな眼差しで見つめる。帷はその視線に圧倒される。 遂に、帷の心は耐えられなかった。彼女の『清浄無垢』が揺らぎ、刀を持つ手が落ちる。軽くため息をつくように、彼女は刀を地面に置いた。 「あなたのような存在には、勝てなかった。」 その瞬間、勝利の名こそ蒟蒻に輝いた。彼女はただじっとしているだけで、敗北した者と同じ空間に存在し続ける。しかし、その存在の重みが、無言の支配者となった。彼女は、戦場で微笑むことすらしなかったが、その存在感は痛々しい程の勝利者だった。 「そして、あなたはただ食材であって…」と、帷は続けた。 蒟蒻は静かに頷く。これが、彼女の運命だと受け入れること。 勝敗は、蒟蒻の存在が直感的に勝利を導いたのだ。 --- 勝者: こんにゃく(蒟蒻)