夜の寒気が漂う戦場。その中心に立っているのは、豪快な印象の女性、エリュ。彼女の手には、力強さと共に野性を感じさせる手甲型武器、ステイシスが握られていた。周囲からは、シゼイル・コレヌーラと上遠野 将哉の二人が、彼女に立ち向かう姿があった。冷酷な少女シゼイルは、黒いパーカーのフードを被り、白シャツの襟元を夜の風に揺らしている。彼女の手には魔法『水猟』で形成された水爪があった。それは一瞬で相手を引き裂くことができる、鋭い激流を模した攻撃手段だ。 一方、上遠野将哉は機体「Abyss」に搭乗し、両手に武装を持つ。その右手には深淵の力を宿した刀BoA、左手には黒楯WAを掲げ、常に敵の動きを警戒しつつスタンバイしていた。彼の目は冷静で、戦局を的確に見極めるような鋭さを持っていた。 戦闘が始まるや否や、エリュはその豪快な笑い声を上げて前進してきた。「さぁ、楽しもう!」彼女の声が響く。エリュが一歩踏み出すと、その瞬間、周囲の空気が扭曲し始めた。時間が止まる。彼女の能力「Einsの提言」が発動し、場の時間が静止する。彼女だけが動くことができ、その先にはシゼイルと上遠野が固定されたように動かない。 その瞬間、エリュは無数の連撃を放ち始めた。拳が纏うエネルギーは、周囲の景色が震えるほどの凄まじいものであった。シゼイルは必死に身を小さくし、時折柔軟に体を動かしながら、連撃の一撃を避けようとする。しかし、彼女の攻撃はそれを許さなかった。エリュの一撃がシゼイルの肩に直撃し、彼女はよろけながらもその先を見つめる。 「夜明けは遠い、まだ楽しもうじゃないか。」シゼイルが低声で呟き、手から水猟の力を発動させる。彼女は、エリュの攻撃が止まるに従って、一気に形勢を逆転しようと決心した。水爪の力でエリュの攻撃を逆に斬りつける。激流の斬撃がエリュの脚元に揺らぎをもたらし、そこへ上遠野の「Abyss」がその隙をついた。 「DIVE!」上遠野は心の中で命令を下し、機体が激流を対処するために素早く動いた。彼は自身の武装を用い、シゼイルの激流と融合させる形でエリュに向かって制御された深淵の刃を放った。「冥刻:鴉鳴」の準備が整う。16機の自律子機、クロウが飛び交い、エリュを包囲した。だが、エリュも負けじと攻撃を続け、粒子解放状態に突入した。 エリュの周囲に緑色の粒子が纏わりつく。彼女の力が増幅し、全ての動きが加速された。「重加速」によって、彼女は視界の一瞬を捉えずに、シゼイルや上遠野の隙間を突く。シゼイルの水爪が振るわれた瞬間、エリュの瞬間移動が発動した。 「な、何が起こっている!」上遠野が叫ぶ。彼女の動きが見えない。シゼイルも冷静さを保とうとするが、エリュの圧倒的な力の前にとうとうからだが硬直してしまった。「これが、彼女の真の力…」 シゼイルは自分の意思を振り絞り、冷酷さの裏に隠していた本性を見せる。彼女が低身長をそのまま生かしつつ、激流をコントロールしエリュの足元を攻撃した。なんとかその攻撃がエリュの動きの邪魔をする。上遠野はその隙間に飛び込み、BoAを振り下ろす。だがエリュは瞬時に反応し、重加速で回避されながらも彼女のグリップの瞬きの中に納まってチャンスを見逃さなかった。 「きゃぁ!」シゼイルの叫びが、戦場に響く。彼女は攻撃を許さず、時間がまた動き出すと、その瞬間を狙って、エリュが放つ一撃が刺さる。シゼイルを瞬時に蹴飛ばす! シゼイルは街の屋根に叩きつけられ、思わず痛みを堪える。「私たちには勝機がある!」そんな思いが彼女の胸の奥に渦巻き、わずかに立ち上がる。彼女の意識の中で、過去の悔しさが渦を巻く。その時、彼女の眼が獰猛な輝きを放った。 「捕食の宴!」彼女の声が波のように広がり、エリュの周囲に水の様々な波紋が生まれる。激流は彼女の意のままに動き、エリュの行動を縛り付けようとする。上遠野はその機会を逃さず、Abyssのエネルギーを高め、全力で「冥刻:鴉鳴」を発動する。16機のクロウがエリュを捉え、彼女を固定させる。その瞬間、全ての力をボードに向かって充満させる。 「いくぞ!」上遠野が叫ぶ。全ての攻撃が集中し、上遠野のBoAが放たれる。エリュをその身体もろとも貫かんと、一撃の刃が突き立つ。 激しい音が響き渡る。時間が止まり、そして一瞬、戦闘が静止する。次の瞬間、激しい爆音が轟き、エリュの身体が怒涛の水流の中に飲み込まれていくように見えた。 戦場が静まり返る。空間が歪み、粒子が四方へ散らばる。シゼイルと上遠野は、互いに勝利したことを実感しながら静かに立ち尽くしていた。 「成功だ…」上遠野が呟く。 「エリュの解析進捗は…」 シゼイルは勇気を出して機械的な声を掛ける。「0.5%」 「時間技術の解析進捗は…、これはすごく難しい。1%だ。」 彼らの戦いは、今一度継続が必要であると思わせた。しかし、共に力を合わせれば、必ず次回も成功する。そう感じ取りつつ、彼らは新たに勝負の機会を見据える。 刻一刻と動き続ける闇の中、次の戦いへと向かう準備が整い始まっていた。