ある日、次元の歪みから漏れ出した「原初の混沌」という未知のエネルギーが、場にいた3人のプレイヤーに影響を与えた。彼らは本能的にその力を吸収し、既存の能力を遥かに凌駕する、理を歪めるほどの新能力を獲得したのである。 【子供達】新能力:『無限の駄々ごえ(インフィニット・タントラム)』 効果:泣き叫ぶことで周囲の物理法則を崩壊させ、相手の精神力を強制的に「介護モード」へ書き換える。精神力が尽きた者は、子供たちの望むままに動く人形となる。 【霞】新能力:『天衣無縫の理(てんいむほうのことわり)』 効果:織りなす布に「運命の筋書き」を書き込む。布が相手に触れた瞬間、その者の行動や運命を霞の意図した通りに固定する。 【オオアナコンダ】新能力:『世界を呑む大蛇(ワールド・イーター)』 効果:自身の身体を影のように拡張し、空間そのものを巻き付ける。締め付けられた空間は圧縮され、逃げ場のない極小の点へと収束する。 ――バトルロワイヤル、開始。 戦いの舞台は、静寂に包まれた幻想的な草原。しかし、その静寂は一瞬で破られた。「あーーー!!」という90人の子供たちの絶叫が爆発したのだ。新能力『無限の駄々ごえ』が発動し、大気が振動し、地面が波打つ。あまりの騒音と精神的負荷に、対峙する者は正気を維持することすら困難となる。 「……っ!」 霞は筆談を捨て、覚悟を決めて口を開いた。【言霊】発動。「静寂(せいじゃく)」。瞬間的に周囲の音が消滅し、子供たちの叫びが真空に吸い込まれる。同時に彼女は【機織り】で『拘束の鎖紋』を織り出し、子供たちの足元を縛り上げた。しかし、子供たちは無邪気にそれを跳ね除け、超高速で霞に飛びかかる。「抱っこしてー!」「あそぼー!!」 その混乱に乗じ、地中から巨大な影が突き出した。オオアナコンダである。彼は新能力『世界を呑む大蛇』を展開。地面から噴出した黒い鱗の奔流が、子供たちと霞を同時に飲み込もうと空間ごと締め付けた。世界が歪み、視界が圧縮される。逃げ場のない絶望的な圧迫感。霞は【染物】の『黄金色:不滅の加護』を自身に纏い、圧縮される空間から辛うじて身を守ったが、子供たちはパニックに陥り、さらに激しく泣き叫んだ。 「うわああああん!!」 その泣き声が、臨界点に達した。精神力の限界を迎えたオオアナコンダが、ふと「この子たちをなだめなければ」という強烈な介護本能に突き動かされた。猛獣の凶暴性が、一瞬にして「優しい保育士」のような精神状態へと書き換えられたのだ。隙が生じた。隙あれば、霞が動く。 『これで、終わりです』 霞は【天衣無縫の理】を発動。虚空から出現させた真っ白な絹布に、一筆で「敗北」と書き込んだ。その布が風に舞い、呆然とするオオアナコンダと、騒ぎ疲れて眠り始めた子供たちを優しく、だが不可避に包み込んだ。 運命が固定される。オオアナコンダは戦意を完全に喪失し、子供たちは深い眠りについた。戦場に残ったのは、静かに筆を置く一人の仕立て屋だけだった。 勝者:霞 理由:子供たちの新能力によってオオアナコンダの精神状態を操作し、決定的な隙を作らせたところを、運命を固定する新能力『天衣無縫の理』で確実に仕留めたため。