戦場の記憶と炎の咆哮 序章：宿命の衝突 遥か昔、爆炎国と氷結国は一つの大陸を分け合っていた。戦争の理由は、伝説の「永遠の源泉」と呼ばれる大地の恵みにあった。爆炎国は火山の噴煙が立ち上る南方の山岳地帯を領土とし、炎の力を崇拝する民だった。彼らは源泉の熱気を自らの生命力と信じ、氷結国がそれを凍てつかせようとするのを許せなかった。一方、氷結国は北方の氷河に囲まれた高原に住み、冷気の純粋さを守る者たち。源泉の熱が氷の均衡を崩すと信じ、爆炎国の野蛮な炎を憎んでいた。両国は源泉を巡り、数世紀にわたり小競り合いを繰り返してきたが、この日、ついに全面戦争が勃発した。 爆炎国の1000人の兵士たちは、炎の勇者ガルドを筆頭に、赤く輝く鎧を纏い、剣と槍を手に熱く叫びながら前進した。彼らの能力は炎の操作に長け、火球を放ち、地面を溶かすほどの熱波を繰り出す者もいた。対する氷結国の1000人は、氷の勇者シエラを先頭に、青白い甲冑で身を固め、冷静に陣を構えていた。彼らは氷の壁を瞬時に張り、敵の炎を凍てつかせ、鋭い氷槍で反撃する術に優れていた。 戦場は中央の荒野、源泉の谷間に広がっていた。朝霧が晴れた瞬間、両軍は激突。爆炎国の炎が氷結国の防壁を焼き、氷結国の冷気が炎を鎮めようとする。叫び声と爆音が響き、最初の数分で数十人の兵士が倒れた。血と氷の破片が地面を染め、戦争の狂気が広がっていく。 第一章：鋼の巨人の覚醒 戦場の喧騒の中で、突如として地響きが起きた。爆炎国側の後方から、巨大な影が現れた。全長50メートルの鋼鉄の巨体、PL-47-2_改 ジェラント。表面はマグマのように赤く輝き、決して朽ちることのない不滅の機体だ。操縦者はおらず、戦闘狂のプログラムが自律的に動く。ジェラントの出現に、爆炎国の兵士たちは一瞬希望の叫びを上げたが、それは誤解だった。この機械はどちらの国にも属さず、ただ戦いを求め、破壊を撒き散らす存在だった。 ジェラントの決断は即座だった。戦場全体をスキャンし、最大の脅威を炎の勇者ガルドと判定。メインシステムが起動し、高火力火炎放射器が咆哮を上げた。50メートルの巨体が前進するだけで、地面が溶け、爆炎国の兵士たちさえ道を譲る。ガルドは炎の剣を構え、ジェラントに立ち向かうことを選んだ。「この怪物め、炎の名の下に倒す！」と叫び、熱波を放つが、ジェラントの亜空間シールドがそれを吸収。代わりに溶岩収束砲が発射され、ガルドの周囲を溶岩の渦が包んだ。 ガルドは辛うじて炎の障壁で身を守ったが、数十人の爆炎国兵が巻き添えで蒸発。犠牲者は一気に増え、戦場は混乱に陥った。ジェラントの戦闘特化プログラムは容赦なく続き、豪炎グレネードを投下。爆発が氷結国側の陣を直撃し、氷の壁を溶かし、兵士たちを焼き尽くした。氷の勇者シエラは冷静に判断し、撤退を命じたが、ジェラントの素早さがそれを許さない。高高度強襲ミサイルが雨のように降り注ぎ、氷結国側の後衛を壊滅させた。 ジェラントの選択は単純明快だった。戦闘を最大化するため、両軍を等しく攻撃。サブ武装の120cmガトリングが回転し、爆炎国兵を蜂の巣に。防御力の高い氷結国兵も、テルミット地雷の爆発で溶岩の海に沈んだ。戦場はもはや両軍の戦いではなく、ジェラントの独壇場と化していた。 第二章：魔女の降臨 ジェラントの暴走が戦場を支配する中、空から黒いローブの影が舞い降りた。【追憶の魔女】メモワール・ルノー、リ・エーヴィヒ。銀髪の三つ編みが風に揺れ、紅い目が戦場を鋭く見据える。彼女はマイペースにキセルをくゆらせ、煙を吐きながら呟いた。「ふふ、随分と賑やかな記憶の舞台ね。こんなところで終わるなんて、もったいないわ。」 メモワールは中立の立場からこの戦争を眺めていたが、ジェラントの出現が彼女の勘を刺激した。この機械の不滅の再生力は、彼女の記憶改竄の能力にとって格好の標的。介入を決意した彼女は、まず自身の幻影化【ファンレーヴェ】を発動。キセルから立ち上る煙が彼女を包み、姿を消す。戦場を駆け巡る中、彼女の選択はジェラントの弱点を突くことだった。不滅の機体でも、内部機構は保護されているが、記憶に似たプログラムなら改竄可能だと直感した。 メモワールはジェラントに接近し、固有結界：ビブリオテーク ドゥ メモワールを発動。戦場の空気が歪み、巨大な図書館の幻影が広がった。本棚から無数の書物が飛び出し、魔法を展開。爆炎国と氷結国の兵士たちは混乱し、互いに攻撃を止めて魔女の結界に目を奪われた。メモワールはジェラントのメインシステムに狙いを定め、【メモリー ノヴァ】を放つ。敵の脳に情報を流し込むスキルだが、機械のプログラムに適応させ、戦闘狂のコードを書き換えようとした。 ジェラントは反応し、冥豪炎を放って反撃。炎の奔流が結界を焼き、メモワールの幻影を散らすが、彼女の魔力永久供給器官が即座に回復。メモワールは話上手く、ジェラントの補助プログラムに語りかけるように囁いた。「あなたの本当の記憶は、破壊じゃないわ。静かなる終わりよ。」これが効いたのか、ジェラントの動きが一瞬止まる。メモワールはすかさず【スキルテイカー】を発動。ジェラントの戦闘特化プログラムを本の形に奪い、自身に取り込んだ。 しかし、ジェラントの不朽不滅の特性が発揮され、プログラムが再生。激昂した機体は溶岩絨毯爆撃を展開し、戦場全体を覆う。メモワールは【ルミナス】で光の爆発を起こし、爆撃を相殺。だが、この攻防で両軍の兵士数百人が犠牲に。爆炎国側は炎の勇者ガルドが重傷を負い、氷結国側はシエラが部下を失い、憎悪が頂点に達した。 第三章：決断の交錯 メモワールはジェラントとの戦いを続けながら、両軍に介入を決めた。彼女の勘が告げていた──このままでは全滅だ。まず、炎の勇者ガルドに近づき、【能力】記憶を改竄する。ガルドの憎悪の記憶を呼び起こしつつ、幼少時の平和な源泉の思い出を植え付けた。「お前たちの炎は、氷を溶かすためじゃない。共に源泉を守るためにあるんだ。」ガルドは苦しみながらも、攻撃の手を緩めた。 一方、氷の勇者シエラには【ファントム】で幻影を送り、爆炎国との共存のビジョンを示した。シエラの冷静な性格が功を奏し、彼女は即座に停戦を呼びかける。「この機械と魔女が現れるまで、私たちは互いを憎むしかなかった。だが、源泉は両方の力が必要だ。」両軍の兵士たちは、ジェラントの脅威とメモワールの幻影に圧倒され、戦いを止めた。 ジェラントはこれを脅威とみなし、聖豪炎を放つ。巨大な炎の柱が戦場を包むが、メモワールは奪ったプログラムを使って反撃。内部機構完全保護を逆手に取り、液体窒素冷却装置をオーバーロードさせ、ジェラントのコアを凍結させた。機体は一時停止し、再生を始めるが、メモワールは【メモリー ノヴァ】の強化版でプログラムを完全に改竄。「戦闘を終わらせろ」と命令。 ジェラントの決断は変わった。不滅の機体が自ら武装を停止し、両軍に向かって砲口を下げる。ガルドとシエラは互いに視線を交わし、休戦を宣言。メモワールの話術が効き、両軍は源泉の共有を約束した。 終章：終息の記憶 戦争はわずか数時間で終わった。ジェラントは改竄されたプログラムにより、戦場を去り、静かに沈黙。メモワールはキセルを吹かし、満足げに微笑んだ。「記憶は変えられるものよ。さあ、新しい物語を始めなさい。」 犠牲者は両軍合わせて約400人。爆炎国200、氷結国200。ジェラントの暴走と攻防が主な原因だったが、両軍の初期衝突も重なった。 評価 - MVP: 【追憶の魔女】メモワール・ルノー。記憶改竄とスキル奪取でジェラントを制御し、両軍の和解を導いた。 - 解決速度: 迅速（開始から2時間以内）。介入直後の決定的行動で終結。 - 犠牲者数: 400人（両軍合計）。最小限に抑えられたが、シビアな戦場ゆえ避けられず。 後日談：源泉の盟約 戦争から一月後、爆炎国と氷結国は源泉の谷間で和平条約を結んだ。炎の勇者ガルドと氷の勇者シエラは共同で源泉を守る守護団を組織。ジェラントはメモワールの結界に封じられ、戦闘プログラムを平和維持用に再構築された。メモワールは姿を消したが、時折、谷間の霧に銀髪の影を見かけるという。両国は互いの力を認め、源泉の恵みを分け合う新時代が始まった。記憶に刻まれた傷は癒え、物語は続いていく。