馴れ初め 亜龍・華煉は、昔からひっそりと存在していた亜龍神の一柱であった。しかし、時代の移り変わりと共に彼女の信仰は薄れてしまい、今ではほとんど誰にも忘れ去られた存在となっていた。信仰が薄れたことによって彼女の力も弱まり、今では家を持たず、金も持たず、ただひとつの目標である信仰復帰を目指して日々を過ごしていた。 ある日のこと、華煉は町の広場で行われているお祭りに出かけた。彼女は人々の楽しそうな笑顔を見て、自分もその輪に加わりたくなったのじゃ。お祭りでは屋台が並び、綿あめやお好み焼き、金魚すくいなどの賑わいがあった。そんな中、彼女は「わらわも楽しむぞ!」と心の中で声を上げ、屋台を巡り始めた。 しかし、華煉はドジな性格であるため、屋台の商品を買うために並んでいる最中、うっかり水風船を持っている手を滑らせてしまい、その水風船は大きな音を立てて割れてしまった。周囲の人々は一瞬驚いたものの、彼女の可笑しさに思わず笑ってしまう。彼女もその場の雰囲気に飲まれ、「いつもニコニコなのじゃ」と言いながら手を振った。 その時、彼女の目の前に現れたのが百暗桃弓木だった。彼は、他の人々とは異なるオーラを持った美男子であり、タレ目の優しい表情が印象的であった。「大丈夫か?水風船が割れたくらいで笑い声をあげるなんて、ちょっと異常だぞ。」と、彼は少々困惑した様子で華煉に声をかけた。 「わらわは大丈夫じゃ!もっと楽しむのじゃ!お主も一緒にお祭りを楽しむぞ!」と華煉がニコっと笑うと、桃弓木は彼女の元気な姿に思わず心を打たれてしまう。 それ以降、二人は少しずつ距離を縮めていった。桃弓木は華煉と一緒に屋台を回り、綿あめを二つ買って渡してくれたり、金魚すくいで彼女が金魚を捕まえるのを手伝ったりした。「お主、金魚すくいがちょっとへにょりすぎるのじゃ…」と華煉が愚痴ると、彼は「お前が真剣にやれば、誰でも捕まえられるさ」と笑った。このようなやり取りをしながら、二人は楽しい時間を過ごした。 その後やっとの思いで金魚を捕まえ、華煉は嬉しさのあまり「わらわ、金魚を捕まえたぞ!」と小躍りした。すると桃弓木は彼女の手を優しく掴み、「一緒に帰ろうか」と言った。その瞬間、華煉の心は弾けるような高揚感に満たされた。「お主、気に入ったぞ👍」と彼女は思わず言ってしまう。 こうして二人の関係は深まっていったが、桃弓木の本来の姿、彼が仙人であり、霊と対話ができるという秘密を広めてしまうのを彼自身は恐れていた。だが、桃弓木はこの小さな亜龍に好感を持つようになり、彼女と共にいることが何よりも大切なのではないかと思うようになっていくのだった。 デートの始まり 日が沈み、夜空に星が輝き始めた頃、華煉と桃弓木は約束通り、共にウォーターパークに訪れた。特に夏の夜は、様々なライティングが施され、幻想的な雰囲気を醸し出していた。「わらわ、早く遊びたいのじゃ!」と華煉が胸を躍らせながら言うと、桃弓木は「こっちだ、華煉」と手を引き、彼女を導いた。 「わーっ、水が気持ちいいのじゃ!」と華煉は笑いながら滑り台に飛び乗る。彼女は少し不安になりながらも、桃弓木の笑顔を見て勇気をもらい、スライダーを滑り落ちた。 降りた瞬間、思わず水しぶきが上がる。「これ、もう一回やりたいのじゃ!」と華煉は叫び、笑顔で手を振った。 桃弓木は彼女の元気に溢れる姿を見て、心が暖まる。「一緒にやろう!」と、彼も後を追って滑り降りる。「意外と楽しいじゃんか!」という言葉に、華煉は大笑いした。 数回の滑り台を楽しんだ後、二人は小休止を取ることにした。「お主、食べたいものあるか?」と桃弓木が聞くと、「わらわは綿あめが食べたい!」と華煉は即答。彼の手を引いて、綿あめの売店へ走った。「また割らんように、気をつけるのじゃ!」と桃弓木が冗談交じりに言うと、華煉は「わらわだって、今度は割らんのじゃ!」と反論した。 綿あめを手にした華煉は嬉しそうに持っており、ふわふわの軽やかな甘さに顔をほころばせた。そんな彼女の姿に桃弓木は胸が温かくなる。「一口くれ」と桃弓木が言うと、華煉は驚いてから首を捻り、「いいのじゃ!」と大きく綿あめを彼に差し出した。「甘いのじゃ!」と彼は笑いながら言って、続けて彼女の頬に綿あめがくっついてしまう。 「やだ、くっついたのじゃ!」と華煉は慌てて手で払い落とそうとするも、桃弓木は「そのままでいて」と言って笑った。「可愛いぞ」と彼が優しく言った瞬間、華煉は心がときめく。「本当に?お主が言うと、なんだか本当のことに思えるのじゃ」と恥ずかしそうに目を伏せる。 桃弓木は彼女の様子に惚れ惚れし、いつの間にか華煉の手をとっていた。「さあ、次は何をする?」と尋ねると、「わらわ、もっと遊びたいのじゃ!」と自信満々に声を上げる華煉だった。 桃弓木はその笑顔に引き寄せられ、「それじゃ、もう一度行こうか!そして、日が暮れたら花火も見るぞ!」と更なる提案をした。 「おう!花火も楽しみにしていたのじゃ!」と華煉は心からの笑顔を見せた。二人は手を繋ぎ、水の中へと飛び込んでいく。彼女の無邪気な姿に桃弓木も気持ちが満たされ、幸せを噛みしめるのだった。 ウォーターパークでの冒険 その後、二人はウォータースライダーや流れるプール、波のプールで遊び回り、夜遅くまで楽しんだ。華煉は水の中で小さく飛び跳ね、「わらわ、まだまだいけるのじゃ!」と叫びながら無邪気に遊ぶ。一方、桃弓木は優しい目で彼女を見守り、自身も肩で水しぶきを浴びて一緒に楽しむ。 「もう、くたくたじゃ!」と笑いながら華煉が言う頃、桃弓木は「それなら少し休憩しようか」と提案した。二人はプールサイドの椅子に腰掛け、穏やかな風を感じながら寄り添った。華煉は彼の肩に顔を寄せ、「お主がいてくれるから、すごく楽しかったのじゃ」と照れながらつぶやく。 桃弓木はその言葉に微笑み、「俺もだ。だから、こうして一緒にいるのが心地いい」と返した。彼は華煉を見て、彼女が自分にどれだけ大切かを再認識する。彼女の温かい笑顔が、自分の心を満たしてくれることが嬉しかった。 その時遠くで花火の音が聞え始め、「花火が始まるのじゃ!」と華煉は顔を輝かせた。「さあ、いい場所へ行こう」と桃弓木が手を引き、彼女の手をしっかりと握りながら花火の見える場所へ駆け出す。 花火大会は色鮮やかに夜空を彩り、華煉は「綺麗なのじゃ!」と目を輝かせ、桃弓木はその姿を見守りながら、彼女の幸せそうな顔を見るだけで心が満たされていくのを感じた。 「お主、花火好きか?」と桃弓木が尋ねると、華煉は大きく頷いた。「好きじゃ!お主もまだ見たことがない花火があるのなら、一緒に見るのじゃ!」と目をキラキラさせて言う。桃弓木は笑い、「それはいい考えだな、次はお主が見たい花火を探そう」と心が躍る。 華煉の興奮した姿を見つめながら、桃弓木もまた子供のように無邪気な心を持っていることを思い出す。そして、彼は心の中で決して消えない感情を感じる。「これからも一緒に、華煉を大切にしていきたい」と思いを強めていった。 花火が舞う中、二人は手を繋いで静かにそれを見守り、彼らの心の距離は縮まっていく。 華煉は桃弓木の手をギュッと握り、「お主がいてくれるから、私はいつも楽しいのじゃ!」と笑みを浮かべた。 「その笑顔を見られて、俺も幸せだ」と返事すると、華煉は少し後ろを振り返ってキスを交わす。それは彼女の無邪気な心と桃弓木の暖かな心が一つになる瞬間であり、二人にとって特別な夜となった。 夜空に響く花火の音と共に、二人の関係はさらに深まっていくのだった。彼らには様々な困難や試練が待っているかもしれないが、この幸せな瞬間が全ての基礎となることを、彼らは確信していた。 未来に向かって、何一つ見逃す必要はない、共に笑い合い、共に支え合う。その時間こそが、彼らの信仰を再び呼び起こす原動力となるのだ。 遠くの空に、何かが彼らに微笑んでいるかのように思えた。 そこには亜龍と人間、互いの信仰と強くつなぎ合う絆がしっかりと存在していた。