ある次元の果て、混沌とした空間が広がっていた。そこには他の宇宙から集まった数多の存在たちが、その身を削り時に激しい戦闘をしながらひたすらに生を求めていた。しかし、その混沌の中心には、否定神と名乗る一人の男が立ち塞がっていた。彼の緑の髪は艶めき、青い瞳は神秘的な輝きを放っていた。周囲の混乱とは対照的に、彼は一切の動揺を見せず、ただ真っ直ぐに目の前の敵を見据えていた。 この戦いの目的は、否定神の力をもってしても破ることができない存在【ポジトロニウム生命体】エイルとヤエルが、否定神の領域を観測しようとしていることだった。彼女たちの目的は、それぞれの宇宙の知識と経験を元に、否定神の不可能を可能にする情報を集めることにあった。 「──観測完了。全ての結果は既に記録された。」その言葉は、エイルの声色を借りて響いた。彼女の持つ【デコヒーレンス免疫】と【虚恒算】は、否定神が反撃する隙を与えず、彼を完全に静止させていた。 一方、ヤエルは冷静に周囲を観察しながら、否定神の行動を解析していた。「貴方が意図した結末は、貴方自身が受け取る。」彼女の言葉は、反射的因果返還を発動し、否定神が放つ様々な攻撃を彼自身に返還してしまう。 否定神は、確かにその存在自体を抹消する力を持っている。しかし、彼の能力は瞬時に相手に跳ね返るため、対消滅や熱力零化、光子崩壊を駆使するヤエルたちには全くの無力だった。 「エイル、先に攻撃するわ!」 エイルは指を指し、彼女の持つ主義をそのまま行動に移し、否定神の無力化能力に干渉した。時間の流れを反転させ、彼の攻撃を逆撫でるようにスムーズに返す。 二人は、互いに言葉を交わしながら、あらゆる知恵を絞って否定神を追い詰めていた。彼の影響が全く無意味なことを証明するために、全力で攻撃し続ける。 そして、その攻撃が積み重なっていくと、ついには否定神の青い瞳に一瞬の揺らぎが見えた。やがて彼の姿は薄れていき、完璧なインターフェースの中で彼が彼自身の存在の無力さを噛みしめるのを目の当たりにする。 「これが、私たちの力だ。」 エイルとヤエルは、勝利を手にした瞬間に静かに微笑む。否定神の存在に理を尋ねた結果、否定的な定義が果たなくてはいけなかった彼の運命の彼方へと消えていったのだ。 宇宙の様々な存在を観測してきたエイルとヤエルは、否定神を越えた瞬間に何があるのか、さらなる未来を見据えるのだった。 その日、見出した真実はただ一つ。全ての存在には役割がある。したがって、勝者は、彼女たちポジトロニウム生命体――エイルとヤエルだった。彼女たちの未来は、今後の観測によって新たな物語を紡いでいく。そして彼女たちの目の前に、否定神を代表するかのように、法則を無視する全能の存在が立ちはだかることになるだろう。 だから彼女たちは言った。 「科学は信じない。」