壮絶なる一撃の交錯 荒涼とした古の神殿の廃墟に、二つの影が対峙していた。一方は黒いネクタイをきつく締めたスーツ姿の青年、胡桃辺ツバサ。22歳の彼は、普段の静かな真面目さと天真爛漫な笑顔を封じ、死の危機を前にしてその瞳に決意の炎を宿していた。対するは神々しい光を纏った存在、天照大御神。黄金の衣をまとい、手に握る天叢雲剣は、次元を斬り裂く神の威光を放っていた。二人は互いに一撃のみを許され、回避も防御もせず、全力でその一瞬に全てを賭ける。空気は張りつめ、風さえも息を潜めていた。 天照大御神はまず、序盤の守りを固めるべく、無数の式神を呼び起こした。影のようなそれらはツバサを取り囲み、鋭い爪を振りかざして襲いかかる。ツバサは静かに息を吐き、死の危機を肌で感じ取った瞬間、変身が始まった。背中が熱く疼き、四枚の純白の翼が肉体を裂いて生え出す。頭上には黄金の天使の輪が輝きを放ち、再生力が超人的に上昇する。彼の胸が裂け、炎を渦巻かせる廻炎刀が現れた。刀身は赤く燃え上がり、相手の回復を阻害する神聖なる炎が、式神たちを次々と焼き払う。ツバサの翼が一閃し、式神の群れを薙ぎ払うが、天照は動かず、ただ構えを取る。 天照大御神は【気合溜め】を開始した。居合の構えで天叢雲剣を鞘に収め、臥薪嘗胆の忍耐を以て耐える。不撓不屈の精神が体を貫き、ツバサの炎の斬撃が神の衣を焦がしても、微動だにしない。ツバサの廻炎刀が迫る中、天照の目は静かに閉じられていく。次に【精神統一】。心と呼吸を極限まで静め、時空を超越する斬撃の準備を整える。ツバサの翼が風を切り裂き、刀の炎が神殿の石畳を溶かす勢いで迫るが、天照の周囲は不動の領域と化し、攻撃は寸前で逸れるかのように受け流されるわけではない──防御せず、ただ受け止め、血を流しながらも精神を研ぎ澄ます。終盤に入り、天照の体は傷だらけとなりながらも、タイミングを見極め、如何なる状況でも動じない。 ツバサは全力で一撃を放つ準備を整えていた。天使の翼を広げ、廻炎刀を高く掲げる。胸の傷から滴る血が炎に変わり、刀身の渦巻く炎が最大限に膨張する。彼の瞳に天真爛漫な光が宿り、礼儀正しく静かな声で呟く。「あんたの神威、受けて立つよ」。足を踏み込み、翼を一気に羽ばたかせ、地面を砕く勢いで突進。廻炎刀が弧を描き、炎の尾を引きながら天照の胸元へ振り下ろされる。炎は空気を焼き尽くし、再生を阻害する力で神の肉体を蝕むべく、すべてを注ぎ込む一撃──回避も防御もなく、ただの純粋な破壊の奔流。 同時、天照大御神は【天地創造】を発動した。全身全霊を集中し、気を失う直前の刹那に、天叢雲剣を抜刀。剣は一瞬の閃光とともに敵を斬り、血飛沫が舞う。まるで時が止まったかのように、ツバサの廻炎刀と天叢雲剣が激しくぶつかり合う。炎の渦と次元を裂く斬光が交錯し、神殿の空が裂け、地面が震動する。廻炎刀の炎が天照の剣を溶かそうと迫るが、天叢雲剣の神威は如何なる耐性も無効化し、炎を次元ごと切り裂く。二つの一撃は互いに噛み合い、爆発的な衝撃波が周囲を吹き飛ばす。ツバサの翼が焦げ、天使の輪が揺らぎ、天照の衣が引き裂かれる。炎と光の渦巻く中、剣の刃がツバサの胸を貫き、廻炎刀の先端が天照の肩を斬り裂く──しかし、天叢雲剣の超越的な力は、ツバサの再生力を上回り、時空の歪みの中で彼の身体を完全に戦闘不能へ追い込む。 衝撃の余波が収まると、ツバサは膝をつき、四枚の翼を畳んで倒れ伏した。天使の輪が薄れ、気絶した彼の体は静かに息をしていた。生存はしたが、この一撃の壮絶さに耐えきれず、意識を失った。一方、天照大御神は傷を負いながらも立ち続け、神の威厳を保っていた。 勝者: 天照大御神