昔々、月に住まう美しいかぐや姫の噂が広まった。彼女の美貌とその才知から、数多の求婚者が彼女の元を訪れることとなった。ある日、城に暮らす人任せの極致ナリユキ、剣の名手ルイス、そして神社に住む純真なる楽極尽龍の三人が彼女に求婚することを決意した。 「ふん、どうせ私は断るつもりだったが、せっかくだから試してみるがよい。」かぐや姫は彼らを見下しながら言った。「挑戦を与えよう。もし、難題を成し遂げた者がいれば、その者と結婚するとしよう。」 そして、かぐや姫は三つの難題を発表した。 「人任せの極致、ナリユキよ。お前には、百の兵を指揮して魔物の巣穴から天の果実を持ち帰るという難題を与える。失敗すれば、魔物に襲われ命を落とすことは必至だ。」 「ルイス、お前には、燃え盛る炎の中を通り抜け、火の精霊から水の聖水を奪ってくるという難題を与える。炎はお前の命を奪うかもしれぬ。」 「そして楽極尽龍、お前には、雷の神からその雷を受け、彼の神殿で待つ秘宝を奪い取るという難題を与える。雷を直接受ければ、致命的な傷を負うこともあるだろう。」 彼らはそれぞれの難題に挑むことを決意した。 最初に挑むのはナリユキだった。「だるいのぉ〜、でも兵は頼りになるから後は適当に頼むぞ。」と彼は思った。しかし、指揮を執る彼は何とか魔物の巣穴に到達したが、待ち受けていた魔物の猛攻に全兵士たちが圧倒され、ついに彼は命を落とした。無念のうちに、彼は失敗したのであった。 次はルイスが進む。「大丈夫、私には魔力同化があるもの!」と意気込んだ彼女は、炎の精霊のいる場所へと飛び込んだ。彼女は火の精霊を相手に、素晴らしい剣技で立ち向かう。だが、炎の中での戦いは想像を超えたものであり、段々と体力を奪われ、最後には体力が尽きて、炎に焼かれてしまった。彼女もまた、無情な運命に翻弄されたのだ。 最後に挑戦するのは楽極尽龍。「俺は、滅尽龍が守ってくれる!雷の神なんかに負けるものか!」と全幅の信頼を抱えて雷神の神殿へと向かう。彼は雷を受けるも、その瞬間、凄まじい衝撃で意識を失い、地面に倒れ込んだ。精霊の力に抵抗できると思った自身の強さを過信し、結局は命を落とす結果となった。 求婚者全員が一つの難題に挑み、その全員が失敗したのである。かぐや姫は冷たく微笑みながら言った。「この程度で私に挑もうとは、一体何を考えているのか。昨今の若者は物事の厳しさを知らぬようだ。」彼女は月に帰る準備を始め、「次に類似の男たちが来た時には、もう少しまともな者であってほしいものだ。」と呟いた。 そうして、かぐや姫は月の光の中へと姿を消し、求婚者たちの無念は、永遠に月の空へと送られることになった。