開廷 法廷は静まり返り、重々しい空気が漂っている。中央の席には、被告人であるストルネール・シーヴが座っている。彼女は、黒いマントと小さなシルクハットを被り、赤いリボンがアクセントとなった衣装を纏い、若干緊張した様子で周囲を見渡している。その目は明るく、自信を持った表情を浮かべているものの、心のどこかに不安を隠しているようだ。彼女がこの法廷にいる理由は、彼女の持つ特技、すなわち「恋情のリボン」を用いて他者の所持品を盗み取ったことにある。この行為は、他人の所有物を勝手に奪う犯罪として扱われ、厳しい罰が求められている。 「本日は、被告人ストルネール・シーヴの裁判を開廷いたします。この裁判の目的は、彼女が犯したとされる犯罪について審理を行い、適切な判決を下すことです。」と、邪教の祭司ヴェルダ・アトラシアが宣言する。 周囲は静まり返ったまま、法廷での進行を待ち望んでいる。これから始まる争いは、きっと熾烈なものとなることだろう。 検察側の主張 検察側の主張を行う日車寛見が立ち上がり、声を張り上げる。「被告、ストルネール・シーヴは、他者の所持品を無断で盗むという犯罪行為を行い、社会の信頼を裏切りました。この罪は、単なる窃盗とは異なり、相手の人権を侵害する重大なものであります。被告が持つ『恋情のリボン』を用いて、巧妙に鞄から物を盗み去る様子が目撃されており、その行為は計画的であり、許されるものではありません。」 彼は一旦声を潜め、小さく息を吐いた後、続ける。「そのため、我々は、被告に対し厳罰を求めます。具体的には、懲役3年、及び没収の刑を求めます。」 弁護側の主張 弁護人セフィアが立ち上がり、その目は優雅で穏やかな笑みを浮かべている。「検察側の主張をお聞きし、私には一つの点が気にかかります。確かに、ストルネール・シーヴは他人の所持品を奪ったとされていますが、彼女の意図には大きな誤解があります。彼女は愛や感謝の気持ちで行動したに過ぎません。盗んだ物は全て、彼女の大好きな家族や友人への贈り物を探しに出た過程で起こったものであり、故意ではありません。」 彼女は少し間を置いて、続ける。「したがって、私の主張としては、彼女に無罪を求め、仮に有罪であった場合には、減刑を求めます。彼女の優しい心を考慮にいれていただきたく存じます。」 法廷内は静まりかえり、非の打ち所のない美しい弁護に、聴衆の誰もがその言葉に耳を傾けた。 検察側証人喚問 検察側が証人を呼び出す。彼の声が響く。「証人を呼ぶ。篠田明、入廷してください!」 目撃証人である篠田が法廷に入って来ると、厳しそうな表情を浮かべている。彼は涙目で証言を始めた。「私はあの日、ストルネールさんを見かけました。彼女は私の鞄から、私が持っていた貴重品を瞬時に奪っていきました。幸いにも、監視カメラにその様子が映っていました。彼女はまさに、目にも留まらぬ速さで動き、私は何が起こったのかわからなかったのです。」 証人は若干震えた声で続ける。「彼女の『恋情のリボン』を使って、誰かの持ち物を何度も奪っていたのを見ています。それは、彼女が特別な意図を持っているようには見えませんでした。本当に、ただの悪戯のように見えたのです。」 弁護側証人反対喚問 弁護側のセフィアが証人に向かって質問を始める。「篠田さん、あなたは目撃したということで、どのように彼女が所持品を盗むことを確認しましたか?」 篠田はちょっと考えて、「彼女が鞄から物を持って行くのを見たのですが、本当に瞬時で、それが盗みであると確認できたのは後になってからのことです。」 セフィアは彼の証言を踏まえて続ける。「つまり、あなたはストルネールが本当に故意に物を盗んだとは断定できないのではありませんか?」 証人は頷き、「そうかもしれませんが、その瞬間は明らかに彼女の行動が疑わしいものであったことは否定できません。」 弁護側は証人の不明瞭な点をつくことで、ストルネールの無罪を得るための戦略を進めている。 弁護側被告人尋問 次に、弁護人セフィアはストルネール・シーヴに質問をする。「ストルネール、あなたはその日、何をするつもりだったの?」 ストルネールは少し緊張しながら答える。「私は、家族や友人に感謝のプレゼントを探していました。でも、それは本当に良いものであろうとしたのです。もちろん、悪意で人の物を取るつもりではありませんでした。」 セフィアは優雅に微笑み、証人に目を向けて、「ストルネールは愛や感謝の気持ちで行動していました。どうして服装を変えたかわかりますか?あれは、冒険を楽しむためのものでした。」 聴衆の視線が彼女に向き、その真剣さが法廷の空気を前向きに変えていく。 検察側被告人反対尋問 検察側の日車寛見が立ち上がり、質問を続ける。「ストルネール・シーヴ、あなたはその行動が他者にどんな影響を与えたか、考えたことがありますか?」 ストルネールは躊躇って答え始める。「それは…私がただ贈り物を探している、と考えていたけれど…他の人の気持ちを無視していたかもしれません。」 「つまり、あなたは自分の行動が与えるダメージを理解していなかったということですか?」と彼は追求する。 ストルネールは少し目を伏せ、「そうかもしれません。ただ、私には悪気がなかったのです。」 日車は自己正当化できないままの被告人に同情することはなく、冷静に最終の結論に向かう。 評議 法廷の外れにある評議室にて、裁判官3人が集まっていた。邪教の祭司ヴェルダ・アトラシアが発言する。「今回の案件は、被告のストルネールがどういう意図で行動したか、そしてその行動がどのように解釈されるかがポイントとなる。」 「彼女の行動は単なる悪戯として理解できませんが、故意ではないことを考慮に入れなければなりません。」とサボリスタユルさまユルキキが反論する。「おそらく、感謝の気持ちから始まった行動と捉えることが重要であり、無罪とする道も考えられます。」 「それでも、社会のルールは守られるべきです。」とノヴァ・クロスは真剣に言う。「適切な判断を下さなくてはなりません。私たちの役割は、法の正義を守ることです。」 3人の裁判官がしっかり意見を交わし合う中、検討を重ね、事件の真相を導き出そうとしていた。 判決 再び法廷に戻り、裁判官たちが集まり、判決を下すために前に進む。ヴェルダ・アトラシアが静かに立ち上がり、全体を見渡す。彼の声は静かだが重みのある響きで法廷に響く。「被告ストルネール・シーヴ、あなたは他者の所持品を無断で奪った罪で起訴されています。しかし、裁判の結果、あなたには功罪があり、あなたの意図が善意であったことが明らかになりました。」 観衆が息を飲む中、判決の言葉が続く。「よって、今回の裁判の結果としては、あなたに対する量刑は懲役半年、そして社会奉仕300時間といたします。」 ストルネールは驚きと安心の表情を浮かべ、裁判官たちに感謝の意を表しつつ、再び自分の道を歩き始める決意を固めた。法廷の雰囲気は瞬時に和らぎ、終焉を迎えた。