ある時、かぐや姫という名の美女が村の噂となり、A、B、Cの三人の求婚者が彼女のもとに向かうこととなった。彼らは互いに錆びついた心を持ちながらも、かぐや姫の美しさに心を奪われていた。そして、かぐや姫は言った。 「あなたたちが私に求婚するというのであれば、三つの難題をお出しします。それに挑んで成功した者が、私と結婚することができるのです。」 彼女の言葉に、三人はそれぞれの想いを込めて頷いた。かぐや姫の挑戦の内容は、単なる試練ではなく、各々の特性を反映したものであった。 「第一の難題は、白峯黎壽君。君には一匹の鬼を捕らえて、私のためにその皮を持ってきてもらいます。しかしその鬼は、君の呑天の白鯨がかつて太古に封じた存在。無謀な挑戦になりかねないことを覚悟して置きなさい。」 「次は、富木島雷君。君には、空から降り注ぐ雷を操って、天から天使と呼ばれる存在を引きずり降ろすことを頼みます。君の拳がどれほどの速度で雷を捕らえることができるのか、楽しみです。」 「最後に、クトゥルフ君。君にはこの世の片隅に封じられた「神話生物」を復活させて、それを私の前に連れてくることを命じます。しかし、その生物は君の意に反して暴れまわるかもしれない。そのリスクを理解した上で挑みたまえ。」 三人は、それぞれの難題に挑むことを決意した。 黎壽は、山奥にひそむ鬼の居住地へ向かった。彼は呑天契約の力を借りて、白鯨を呼び出し、自らを助ける準備を整えた。しかしその鬼は想像を超えた強大な力を持ち、捕らえるどころか、彼に襲い掛かってきた。黎壽は白鯨の力でその鬼と対峙し、「庇い防げ」と命令するも、鬼の攻撃は激しく、傷を負うことになった。忠実な白鯨がその攻撃を防ぎ続ける中、黎壽は様々な技を駆使しても苦戦。果たして鬼を捕らえることなどできるのか、戦うほどに不安が募った。 次に富木島雷は、雷雲が覆う大地へと足を運び、空と対峙した。彼は特殊な足運びを駆使し、瞬時に雷を引き寄せることができる技を使うが、その速度は圧倒的で、初撃の瞬間には天界の力を借りてカウンターパンチを浴びせる。しかし、天使とは強力な存在であり、富木島の攻撃をしのぎつつも、彼の挑発に乗ることはなかった。意を決した彼は、「ここからが本気だよ」と言い放ち、鼓舞しながら懸命に天使を引き寄せるが、恐るべき力との接触に何度も命の危険を感じていた。 そしてクトゥルフは、封印された神話生物の元へ向かう。彼は狂気そのものを振りまく存在であり、精神的干渉を受け付けない。しかし生物を復活させることができれば、それは大きな力を秘めた者の呼び声でもあった。陽が昇り、彼はその不気味な儀式を始める。しかし途中で彼自身の狂気が増幅し、彼はその意志に飲み込まれそうになった。信者たちの叫びが至る所から聞こえる中、クトゥルフは耐えることができるのか。 何日も過ぎ、黎壽も雷もクトゥルフも、それぞれの挑戦に苦しみながらも果たすことができなかった。義務として挑んだ試練は命を分けるものだったが、彼らは自らの根源的な恐怖と向き合い続けた。しかし最終的に、黎壽は傷だらけで敗北し、富木島は精神と肉体を磨耗させ、クトゥルフは狂気の螺旋から抜け出せずにいた。 かぐや姫は結局、誰も難題を達成することができなかったため、ため息をついて言った。 「私の居場所はこの地には無いのかもしれません。月へ帰ることとしましょう。」 彼女は美しい姿を保持しながら月への道を歩み出した。と同時に、彼ら三人が求婚しただけで運命をかけた挑戦は無に帰してしまったのだった。それでも、彼らにはそれぞれの個性を生かした運命の試練として、心に刻まれ続けることとなった。