①世界を滅ぼす日 世界の終焉は、一つの小さな決断から始まった。魔王「妖魔風」真雅とその最高の側近、椿は、互いに一つの目標を共有していた。彼らの心の奥に潜む仇恨と無力感は、世界を滅ぼすことを決意させていた。彼らの過去には、彼らの大切な仲間を奪われた痛みがあった。無慈悲な運命、そしてその運命によって引き裂かれた絆。真雅と椿は、その結果としてこの世界を滅ぼすことでしか、解放されないと考えていた。 「俺たちの未来は、この世界の中では無理だ。だから、消し去るしかないんだ。」真雅は、天明之神を発動させながら、特別な風が彼の周りに渦巻く様子を見ていた。天候を変え、気流を操る力が彼の血に刻まれた運命を静かに示している。 椿は静かに頷き、冷たい笑みを浮かべる。「全てを無に帰す、ただそれだけ。私には苦しみも後悔もない。ただ、かつての仲間を想えば、どんなに美しい世界でも許せない。」そう言いながら、影刀を構え、倒すべき存在へ瞳を向ける。 真雅は自らの刀「零幻魂の刃」を構え、天の月を見上げた。「激風よ、無礼者を消し返せ!」彼の声が天を突き抜けると同時に、力強い妖風がその場を包み、恐怖を抱えた者たちに向けて放たれた。ついに、暴風が始まる。 30日間、真雅と椿はそれぞれの力を駆使して世界の各地に真の混乱を広げていった。生と死を問わず、彼らの力はすぐに広がり、恐怖と混沌が満ちる。 ②終焉の後 真雅と椿は、滅ぼされた世界の余韻に浸っていた。かつての仲間を失った痛みから逃れるために下した決断の果てに、廃墟と化した景色が広がっていた。彼ら以外の誰も生き残ることはなく、死が支配するこの静寂な土地には、彼ら二人きりの存在だけがあった。 「これが終わった後の世界なのか?」真雅は独り言のように呟く。風が過ぎ去り、静寂が広がる中、彼の心には漠然とした虚無感が芽生えていた。 椿はその様子を見て、昔の仲間のことを思い出した。彼女の目には、感情が揺らぎ、冷静さを失う瞬間があった。「真雅、これで良かったのです。私たちの痛みを忘れるために、選んだ道なのだから。」 「しかし…一体、何を得たんだろうな。」 彼は虚空を見つめ、思いの中で彼の大切な仲間たちの顔が浮かぶ。失ったものが多すぎて、彼の心はどこか重く、冷たく感じる。 椿は自らを戒めるように言った。「今は振り返る時ではありません。私たちに残されたのは、この新たな何かを作り上げることだけです。」 真雅は再び空を仰ぎ見た。星が瞬く夜空の下で、彼の心に冷徹な決意が芽生える。「そうだな。何も無いところからまた作り直す。そのために、俺たちは今ここにいるんだ。」 二人はやがて、共に新たな世界の創造を計画し始める。今度こそ失うべき存在も、無駄に痛みを抱え込むこともない、新しい明日を目指して。彼らは、滅びの先に何が待っているのか、楽しみだと思うようになった。なんて美しい未来だろうかと、彼らの心に灯った新しい光が息を吹き返した。 それは、彼らの想像の中で鮮明に映し出された、新たなる世界の誕生の兆しだった。