①世界を滅ぼす日 蒼い空に浮かぶ雲が、次第に赤く染まりゆく。全てが始まりを告げる日である。教会の重厚な扉を開くと、白金の髪を揺らしながらそこに立つのは、キアラ・サクソン――星陽教会の教祖。彼女は指先で乱れた髪を整えながら、赤い瞳が神秘に輝いていた。彼女は静かに語る。 「私たちの使命、それは偉大なるクトゥグアをこの地球に招来し、浄化することです。」彼女の声は高く響き、周囲の団員たちを魅了する。彼女のカリスマ性は、教団の信者たちに永遠の忠誠を誓わせていた。 その時、後ろに立つ桜羽エマが翼をゆらし、教団の目的に絶対的信念を持っているかのように、目を輝かせた。 「私は、違う世界を見たくて……だから、魔女になる道を選んだの。たとえ、この魔法が私を殺してしまうとしても!」その言葉には、過去の苦悩と新たな決意が込められていた。 今、キアラは再び口を開く。「私たちの力を合わせ、全てを炎で包み、不浄を焼き尽くしましょう。世界を滅ぼし、炎の星を作り上げるのです。」 団員たちはその言葉に賛同し、手を取り合って、無数の炎の精を召喚する準備を進めた。次第に空は赤く染まり、彼らの周囲には怒涛の炎が渦巻いていた。 キアラは一瞬のうちに、彼女の真の教義が実現する瞬間を味わった。彼女の真の目的、全てを焼き尽くす炎の星の姿を、今まさに目の前に描こうとしていたのだ。 --- ②終焉の後 終焉が訪れた。絶え間なく燃え盛る炎の中、かつての地球が完璧な赤に染まり、強烈な熱が荒ぶる。キアラは満足げに炎の海を眺めていた。 「私たちの教義が成就したのね、エマ。」キアラの声は不思議な響きを帯びながら、エマを振り返る。 「……でも、本当にこれで良かったのかしら?」エマは薄く微笑みながら、自身の背中に生えた六対の翼を振り動かす。魔女としての存在が彼女の魂を蝕んでゆく。 「私たちの目的は達成されました。これからは全てを焼き尽くしたこの土地、新たな星で新たに始まるのです。」キアラはまるで新月のような冷静さで自身を貫いていた。 「でも、私たちは人々の幸せを奪った。私たちが目指していたものは、本当にこれだったのかな。」エマの問いかけに、キアラはふと考え込む。 「人々を守るためだと信じました。けれど、守るためには滅ぼす必要があった……。」キアラは自己弁護のように言葉を重ねた。 恐れていた影が二人の間を覆った。どうにもできないその影は、彼女たちの選択の結果だった。 「さあ、私たちの新たな旅が始まります。どんな世界が待っているのかしら、エマ。」キアラは期待を寄せて微笑む。 「うん、私たちが新しい歴史を作るの。」エマは、前向きな気持ちを掴み取るように言った。 選択。責任。二人は新たな星のために手を取り合い、炎の中から生まれた真の教義で、新しい未来に向かって歩き始めるのだった。