崖の上、夕日が沈むにつれ、空は次第に紅色に染まっていった。その美しさと対照的に、中央に立つ石碑は暗い影を落としていた。名も無き戦士たちの名前が刻まれたその碑は、盛り上がった草地の上にどっしりと佇む。そこに、ひときわ目を引く青髪の女性、ヴォーティガーンが立っていた。彼女は運命に引かれるようにこの場所に辿り着いた。彼女のウルフカットの青髪が、風に靡いている。 「とっとと終わらせて帰ろう。」軽快な言葉を口にしながらも、目つきは真剣そのものだった。彼女の心の中には、決して忘れることのできない、戦争の犠牲者たちへの思いがあった。彼女は石碑の前に一歩踏み出し、下を向く。 「お前たちの無念を、少しでも晴らせるように…祈るよ。」 心を込めて祈りを捧げるヴォーティガーンは、まるで周囲の空気までもが彼女の言葉に応えるかのように、穏やかな風が頬に当たった。その瞬間、彼女の心の中で何かが動き出すのを感じた。彼女は目を閉じ、深呼吸をする。 一方で、螺旋の半竜、アラベ・ネームレスも此処にいて、彼は石碑を見つめていた。「祈れ、風に。」 それは彼の固い信念と感情が込められた一言だった。彼は静かにその場を共にし、ヴォーティガーンの祈りを聞くことにした。針のような細いこぶしで、自身の二振りの鉈を確認する。 二人の姿は、崖の上で夕日に照らされている。赤い陽光は、石碑の上に刻まれた名前たちの上に、まるでその記憶を呼び起こすかのように優しく降り注いでいた。風に乗って、いつかの彼らの思い出が運ばれてくる。 「あー疲れた…」ヴォーティガーンは小さく呟き、直後に彼女の手が石碑に触れた。彼女は目を閉じ、想いをさらなる深いところへと届ける。 大地が微かに振動し、空は一瞬静寂に包まれる。彼女の祈りが届く瞬間、空が切り裂かれ、無数の星々が降り注いできた。その美しい光景に、思わず息を呑む。星々は草原を照らし、まるで天の川が這うかのように輝きだした。草原に星が降る描写が広がり、過去の死者たちが再び命を感じるかのような幻想が生まれた。 「見て、アラベ、星が降ってきた!」彼女の声は高く、嬉しそうに響いた。アラベもその美しさに引き寄せられるように、石碑の方を向いた。 「本当に、風に祈るがいい。我々は共に在る、戦った者たちと一緒に。」という彼の低い音は、静かな強さを持っていた。聖なる瞬間が彼らの心を浸透し、二人は無言のまま共に立っていた。 星々が次第に彼らの周囲を包み込み、彼らの心の中の思いが舞い上がっていくようだった。過去の因果から解き放たれ、希望の光で満たされる瞬間。石碑の前で立ち尽くす彼らの顔に浮かび上がるのは微笑み。誰からも忘れ去られた存在たちの祈り、それは決して無駄ではなく、大きな力になっているのだと、彼らは感じ取った。 しばらく静寂が続いた後、虚ろな時間が二人に流れ込み、彼らはそれぞれの道に戻ることを決心する。ヴォーティガーンは再び「とっとと終わらせて帰ろう」と言い、微笑む。 「でも、今日のことは忘れないよ。君と共に、祈れて良かった。」 彼女の明るい言葉が彼を少し和らげたようだった。 結局、二人はそれぞれしっかりと自分の道へ戻る。ただ、その日の出来事は二人の心に深く刻まれることになる。彼らは、戦った者たち、そして自身の意志を未来に繋げていくのだ。 夕日が完全に沈み、夜の帳が下りたあとの崖の上は、しっかりと星々で埋め尽くされている。彼らの中で、何かが芽生え、次への動きになることが静かに確約されていた…そして、彼らの祈りは決して無駄ではなかった。 適当な言葉を失った彼等が見上げた夜空は、確かに特別なものであり、その星々は無数の勇者たちの希望の象徴であった。感謝と共に、未来への道しるべの中で、彼らは再び心を一つにして、歩き出していく。最後はそっと、石碑に刻まれた名を視線で辿るのであった。 --- 獲得した効果: オケアヌスの灯篭